面積の単位の換算
歩、畝、反、町の換算はそんなに難しいものではありません。表にまとめました。表の中に出てくる「坪」という言葉は不動産関連でよく耳にする単位です。土地の値段のランキングなどで「1坪当たり100万円」と言って使っているのを見かけます。家や敷地の面積を表すのには坪を用い、農業関係の土地の広さには反や町を使う、というように使い分けているのです。
1歩(いちぶ) | ー | 1坪 | 3.3㎡ |
1畝(いっせ) | 30歩 | 30坪 | 99㎡ |
1反(いったん) | 10畝 | 300坪 | 990㎡ |
1町歩(いっちょうぶ) | 10反 | 3000坪 | 9900㎡ |
少し興味深いのは1畝が1歩の30倍というところです。10進法ではなく、ここだけ30進法になっています。長さの単位としても使う1歩(いちぶ)は文字通り人間の歩く歩幅から計算で出された寸法でした。2歩(ほ)分が1歩(いちぶ)と決められています。人間の体格が違うと歩幅も変わると考えられますが、そこはどうやって決めていたのだろうと、不思議に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。厳密さがそれほど求められなかったゆったりした時代だったと考えられます。
1町歩の歩って何?
1歩、1畝、1反、1町だけでも面積を表す単位として通用しますが、長さの単位にも「町」があります。1町は約109mを表します。まぎらわしいので広さ、面積を表す時は「1町歩」と言うようになりました。「米を3町歩やってるよ」というような言葉は農家の人の間でよく使われます。
面積の単位の歴史
歩、畝、反、町は古代中国で使われていた単位がもとになっています。中国が唐だった701年に、日本で「大宝律令」という法制度が整い、その中で面積を表す単位も公けに定められました。税収入を確実にするために単位を統一し、作物の収穫量を正しく知ることが必要だったのです。豊臣秀吉も太閤検地を実施して人々の暮らしを知り、税の収入を正しく把握しようとしました。
太閤検地が行われるまでは1反は360歩でした。しかし生産力が上がってきていたため、太閤検地以降は1反は300歩と定められたのです。1反で365日食べられるとされていたのが300日に変わったのでした。国を治める側は税収入のために、農家は自分たちが生きるために、町や歩といった単位は大事な単位だったでしょう。しかしこのように時代の流れの中で、単位の変更は行われることがありました。
面積の単位と米の生産量
1坪の3,3㎡は1歩です。この面積で人ひとりが1日に食べる量の米を生産できるとされていました。1反が360歩とされていた太閤検地以前の時代は、1反の面積の田んぼがあれば人ひとりが1年食べられるとされていたのです。資料によると太閤検地の時代には1反の田んぼの米の収穫量は約225kgでした。2018年では529kgと言いますから、農業技術の進歩の大きさには驚かされます。
1町歩で農家はできるの?
1町歩の土地の広さはかなり広いものですが、農家として収入を得て暮らしていくのには工夫が必要だと言われます。特に米農家としてでは1町歩では利益がほとんど出ず、10町歩ほどは必要です。米だけでなく農地を有効利用して、さまざまな野菜などの栽培をしている農家がほとんどだと言われています。海外の映像で自家用飛行機で農薬などを撒く光景を見ますが、いったい何町歩あるのだろう、と広大な土地が印象的です。
まとめ
見回してみると、普段の生活の中に日本独特の単位が生きていることに気がつきます。換算するのは少し面倒ですが、昔から伝わる伝統を感じられるよい機会ではないでしょうか。これからも大事にしていきたい文化ですね。
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出典元:unsplash