はじめに
庭の芝生や空き地に生えてくる厄介な雑草の代表格にスギナがあげられます。スギナは土の深い部分に地下茎をはわせて繁殖するため、抜くことを繰り返しても次から生えてきます。スギナの根の枯らし方には除草剤に頼るしかありませんが、いろいろと種類があるためどれを選べばよいか困ってしまいますよね。この記事では、スギナを効果的に駆除できる除草剤について紹介します。
スギナの生態
スギナの枯らし方をみる前に、まずはスギナがどのように生育しているのか確認しましょう。スギナを駆除するためには、スギナのことをよく知る必要があります。
スギナの胞子茎萌芽期
気温がまだ低い2月のおわりごろに地面を注意深くみるとツクシが顔を出しているのが確認できます。ツクシは「胞子茎」とよばれており、緑色の胞子を風に飛ばして繁殖をおこないます。3月になるとあちこちから芽生えてきて、一つの胞子のうから放出される胞子の数は10万個にもなりますので、ツクシ一本の繁殖力は膨大です。
スギナの栄養茎生育初期
3月末から4月初旬ごろは、ツクシがある程度伸びてきて春の山菜として収穫しようかという時期です。この時期は、緑色のスギナも地中から顔を出してきます。一般的にスギナとよばれているのは正式名は「栄養茎」であり、全身で光合成をして栄養分を地中へ送ります。初期の栄養茎は草丈3cm〜13cm程度で、茎から枝が出かかっている時期になります。
スギナの栄養茎生育盛期
4月末になるとツクシが枯れて、いよいよスギナの生育が盛んになります。草丈が45cmまで伸長し、枝が放射状に伸びて地面を覆いつくすようになります。この時期から栄養茎が養分を地下茎に送り出し、地下茎からの繁殖もすすむことで、抜く作業をしても栄養茎が地下から再生します。
スギナの栄養茎衰退期
8月近くになると、青々としていたスギナも先端が壊死して元気がなくなります。この頃になると、地下茎に栄養分の塊である根塊をたくさん蓄えて次の年の生育に備えます。そのまま秋になるにつれて地上部の栄養茎は枯れますが、根元を掘ると胞子茎が形成されており、春への準備ができていることがわかります。
スギナ駆除におすすめ除草剤①MCPP液剤
基本情報
雑草処理方法 | 茎葉処理 |
選択性の有無 | 選択性 |
有効成分 | MCPP50.0% |
性状 | 褐色澄明水溶性液体 |
効果の早さ | 普通(2週間程度) |
持続性 | なし |
人畜毒性 | 普通物 |
除草剤の種類
MCPP液剤の種類①
MCPP液剤の種類②
MCPP液剤250mL
理研 グリーン 芝生用 除草剤 MCPP液剤 250ml
参考価格: 1,705円
1mLあたり単価 | 5.9円 |
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MCPP液剤の種類③
MCPP液剤の種類④
除草剤の特徴
MCPP液剤は広葉雑草などに適用のある除草剤で、イネ科の植物を枯らさずに広葉雑草などを除去できます。特に、高麗芝や野芝などの日本芝、ブルーグラスの西洋芝に生えた雑草を除去できる除草剤として広く利用されています。植物の葉や茎から有効成分を移行させ根から枯らすことができるうえ、土壌中では速やかに分解され環境への負荷の少ない除草剤です。
適用表
作物名 | 適用場所 | 適用雑草名 | 使用時期 | 使用薬量 | 希釈水量 | 使用回数 | 総使用回数 |
日本芝 西洋芝(ブルーグラス) |
クローバー 畑地一年生雑草 |
雑草生育期 | 500~1,000mL | 100~200L/10a | 3回 | 3回 | |
樹木等 | 公園、庭園、堤とう、駐車場 道路、運動場、宅地、のり面、鉄道など |
スギナ | 750~1,000mL |
駆除方法
MCPP液剤は芝生に生えたスギナを枯らすときにおすすめです。希釈液を噴霧器などの道具を使って散布することで、スギナの茎葉にまんべんなく有効成分がかかるため枯らすことができます。スギナが生育しきってしまうと地下茎の伸長抑制効果が下がるため、春の栄養茎生育盛期の初期に散布できるように心がけましょう。
散布の目安
面積 | 50m2(15坪) | 100m2(30坪) | 500m2(151坪) | 1000m2(303坪) |
薬量 | 25mL | 51mL | 375mL | 750mL |
水量 | 5~10L | 10~20L | 50~100L | 100~200L |
注意点
MCPP液剤はジョウロなどの道具を使って散布すると、撒きむらが生じて芝生に薬害がでることがあります。散布時は霧状になる道具を使用してください。また、気温が10℃以下だったり、1日以内の雨にあたったりすると除草効果が下がります。除草剤の効果があるときは、3日目には葉がよれだし、7日目には褐変しだすため、変化が表れないときは再度散布しましょう。
ボタニ子
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出典:AC