除草剤の特徴
畑や田んぼ、駐車場や庭などに生えた雑草は、定期的に草刈り・草むしりが必要で面倒です。しかも根ごと引き抜かなければいけないので、作業にも時間がかかります。このような悩みをすっきりと解決してくれるのが除草剤です。
特徴その①作業効率アップ
散布するだけで厄介な雑草を駆除してくれる除草剤は、草むしり・草刈りにかかる時間を大幅にカットする優れものです。1~2本程度の雑草なら手で簡単にとれますが、広い場所になると簡単にはできません。その点除草剤は撒くだけなので簡単ですし、作業にかかる時間も短縮できます。
草むしりでは完全駆除が難しい
お金をかけずに処理するなら、手作業での草むしりのほうがメリットは高いですが、乾燥した土や硬い土、コンクリートの割れ目などに生えた雑草は抜けにくく、しかも根が残りやすいです。根が土に残ったままでは、すぐに雑草が土の表面に現れてしまうので、完全駆除はなかなかできません。
特徴その②種類が豊富
除草剤は目的や用途によって使い分けができるよう、種類が豊富にあります。農業用に作られた除草剤もありますし、庭の手入れや家庭菜園におすすめの除草剤もあります。最近では家の周りや玄関のアプローチの雑草の駆除に除草剤を使うことも増えたため、家庭用除草剤のバリエーションも豊富です。
特徴その③毒性がある
面倒な雑草の駆除に便利な除草剤ですが、薬剤を撒くだけで雑草を枯らすので、使われている成分には少なからず毒性が含まれます。もちろん毒性にもレベルがあり、人や環境に害がほとんどないものもあります。
最強レベルの毒性を持つパラコート
成分の中にパラコートが含まれている除草剤は、散布場所のすべての植物を駆除できるため、植え付け前の雑草駆除に使われます。ただし植物だけでなく、動物に対しても毒性があります。しかも毒性の強さは、数ある液剤の中でも最強レベルです。
除草剤の注意点ってなに?
雑草の駆除に便利で種類も豊富な除草剤ですが、中には強い毒性成分を含むものもあります。また日本には「農薬取締法」という農薬関係の法律もあります。そこで使う前の確認してほしい注意点をまとめました。
注意点その①農薬取締法
除草剤には農薬と呼ばれる薬剤が使われているため、除草剤の使用や製造・販売を規制する「農薬取締法」があります。そのため毒性の強い薬物を使う場合は、製造・販売に関して農林水産省(以後「農水省」に省略)の届け出が義務づけられます。なお害がないと認められたものは「特定農薬」とされ、特別な禁止規定はありません。
注意点その②非農耕地専用
除草剤の種類には「農耕地用」と「非農耕地専用」があり、非農耕地専用にはさらに2種類に分かれます。区別の基準は農薬の有無で、農薬有りタイプと農薬無しタイプでは法律の登録規定も違います。なお畑や田んぼに使えるのは農水省登録の農耕地用のみなので、非農耕地専用タイプは使えません。
農耕地と非農耕地ってなに?
農耕地か否かの判断は、法律に基づいて行われます。「農耕地」は田んぼ・畑のほかにも放牧用の土地や庭、さらにゴルフ場などの土地も含みます。ちなみに「非農耕地」は農耕地ではない場所のことなので、法律の解釈では「意図的に木や植物を植えていない土地」の意味で使われます。
違反すると大変なことになる
農薬取締法で決められたとおり使わなかった場合、法律違反になるだけでなく重い罰則もあります。たとえば非農耕地専用と書かれた製品を田んぼに使うと、3年以下の懲役(または100万円以下の罰金)が課せられます。
注意点その③目的
使用する際の注意点には、「どこに散布するか」も関係します。製品に含まれる薬剤には作物や人だけでなく環境の安全に影響を及ぼすものもあります。そのため使用ができる場所は法律で規定が設けられ、規定に基づいて除草剤は製造されます。そのため「どこに使う(散布)か?」で製品を選ぶのが基本です。
除草剤次第でコストも変わる
目的に合った製品を選ぶことは、コストにも影響します。例えば限られた狭い範囲の雑草を枯らすだけなら、家庭用に販売された製品でも少量で効果が得られる方が節約になります。ただし同じ製品を広い庭に使うと、使う量も増えるので割高です。
スギナ駆除には要注意
トクサ属のスギナは春の野草・ツクシ(スギナの胞子茎)が生えることで有名ですが、別名「地獄草」と呼ばれるほど駆除が難しいです。根が深く横に大きく広がる上に、途中で切れても再生します。ですから草むしりでスギナを駆除するのはほぼ不可能です。しかも除草剤もスギナ専用でなければ、効果が期待できません。
注意点その④使用方法
製品によって薬剤に含まれる成分は違いますが、中には危険物・劇物に指定されている薬剤もあります。そのため安全に使うためには、使用上の注意点をよく読み、正しく使うことが重要です。もちろん危険な薬剤や農薬を含まない製品の場合も、使用上の注意点は同じです。
使う時期も重要
似たような効果が特徴の除草剤でも、製品が違うと使う時期も違います。雨が続く梅雨時期や雨上がりの方が、晴れた日よりも効果的な製品もあります。もちろん逆のケースもあります。この違いは薬剤が雑草に付着するときの特徴が関係するので、使用前には必ず散布に適した時期の確認をしましょう。
次のページでは、除草剤の種類について解説します。