初夏の訪れと共に食卓を彩る、酸味と甘みのさわやかな味わいが楽しめるブルーベリーは、家庭菜園でも人気の果樹です。庭植・鉢植えでも育てられ病害虫に強く、果樹の中では早く収穫が見込める管理しやすい品種です。健康効果も高く生食にも加工にも向くブルーベリーは、デザート作りにも人気があります。
園芸部類 | 果樹、庭木 |
形態 | 半常緑性低木 |
樹高 | 30cm〜3.0m(品種による) |
花の色 | 白〜薄ピンク |
耐寒性 | 強い〜弱い(品種による) |
耐暑性 | 普通〜やや弱い(蒸れに弱い) |
耐陰性 | 普通 |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
家庭菜園でも観光農園でも特に人気が高いのが、大粒のブルーベリーです。粒のサイズはS12mm・M15mm・L18mmが基本ですが、2cmを超える500円玉サイズと呼ばれるほどの特大粒も見かけます。品種にもよりますが木の成熟度によっても、味わいや大きさは異なってきます。
ローブッシュブルーベリーはワイルドブルーベリーとも呼ばれる、カナダなどに自生する野生種のブルーベリーです。樹高が30〜40cmと低くとても寒さに強い品種です。国内で苗木を見かけることはまれな品種ですが、ジュースやジャムなどの加工品に多く利用されています。
ノーザンハイブッシュ系は、1〜2ヶ月間冬の寒さに当てて育てる寒い地域向きの品種です。樹高は1.0〜2.0m、pH4.5前後の酸性土で育ちます。ブルーベリーの中では自家受粉率が高いため、同一品種や同一系統の2本以上の栽培が可能です。栽培地域は北海道南部から、東北・関東・甲信越・中部地方の冬は氷点下になる地域が適しています。
サザンハイブッシュ系は、冬がやや温暖な地域向きの品種です。樹高は1.0〜2.0m、pH4.5前後の酸性土で育ちます。ノーザンハイブッシュと同様にブルーベリーの中では自家受粉率が高いため、同一品種や同一系統の2本以上の栽培が可能です。栽培地域は東北南部から九州(沖縄)までが適しています。
ハーフハイブッシュ系は、冬の寒さが厳しい寒冷地や標高の高い地域向きの品種です。樹高は1.0m前後と低く、pH4.5前後の酸性土で育ちます。ノーザンハイブッシュとローブッシュ(原種系)の交配種で、自家受粉率が低いため、同一系統の2種類以上の栽培が適しています。品種ごとのばらつきはありますが、他の系統と比べて樹形が小さいため、1株あたりの収穫量はやや少なめです。栽培地域は北海道北部から東北、関東北部や甲信越などの標高の高い地域にも適します。
ラビットアイ系は、冬がやや温暖な地域向きの品種です。樹高は1.5〜3.0mとやや大きく成長するタイプで、pH4.5〜5.0の酸性から弱酸性土で育ちます。ラビットアイは自家受粉率が低いため、同一系統の2品種以上の栽培が最適です。栽培地域は東北南部から九州(沖縄)までが適しています。
品種選びで悩んだら、花の咲くタイミングで選ぼう!
ブルーベリー チャンドラー 接木5号 1本(入荷予定:2020年3月下旬頃)
参考価格: 3,650円
チャンドラーはノーザンハイブッシュ系の中でも、特に大粒になる品種として人気があります。樹高は1.8mの直立性で管理しやすく、甘味があり大〜特大粒の中生〜晩生種です。
育てやすさ | ★★★ |
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サイズ | 5号鉢(直径15cm) |
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ブルーベリー 苗 【サンシャインブルー (サザンハイブッシュ系)】 2年生 挿し木苗 苗木 ベリー 果樹 果樹苗
参考価格: 1,518円
サンシャインブルーは、暑さに強いラビットアイの性質を合わせ持つハイブリッド系のブルーベリー品種です。土質は弱酸性でも育ち、樹高は1.5mとコンパクトで鉢植えにも向いています。実は中〜大粒で、甘さと香りが強い早生種です。
育てやすさ | ★★★ |
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苗 | 2年生挿し木苗 |
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フレンドシップ ブルーベリー 挿し木 苗木 2年生 ハーフハイハイブッシュ系品種 果樹苗
参考価格: 990円
フレンドシップは寒さに強いハーフハイブッシュ系の中では、暑さにも適度に耐えられます。樹高は90cmと低く実は小〜中粒で、香りが強く酸味と甘みのバランスがよい中生の品種です。
育てやすさ | ★★☆ |
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形状 | 2年生挿し木苗 |
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国華園 鉢植え向き果樹苗 ブルーベリー ピンクレモネード 挿木2年生 1株
参考価格: 2,330円
ピンクレモネードは実付きのよいハイブッシュ系とラビットアイ系の交配種で、ピンクの果実が特徴です。実は中粒で酸味が少なくジューシーで食べやすい、中〜晩生種です。ラビットアイ系の別品種と2株以上育てます。
ボタ爺
ワイルドブルーベリーと呼ばれて販売されている苗木の多くは、ブルーベリーやハックルベリーの近縁種「ビルベリー」じゃよ!
植え付け時期 | 4〜6月(寒冷地)、10〜11月(温暖地) |
植え替え時期 | 休眠期(1〜2月を除く) |
花が咲く時期 | 4〜5月 |
収穫時期 | 6〜9月(品種による) |
休眠時期 | 11〜3月 |
ブルーベリーの主な栽培適期は、3〜10月です。桜の花が咲き始める頃から、ブルーベリーの新芽や根っこが動き始めます。植え付け時期についてはさまざまな説がありますが、基本的には寒冷地は春植え、温暖地では秋植えをおすすめします。接木や挿し木してから1〜2年目の幼木は、花を咲かせても実は育てず根の成長と翌シーズンの新芽の展開を優先させましょう。
ブルーベリーの栽培方法は、露地栽培(庭植え)や鉢植え・プランター栽培も可能です。大型の野菜用プランターでは、2種の混植も可能です。
ブルーベリーを育てる場所は春から秋の成育期には、屋外でよく日の当たる場所が最適です。北海道以外の収穫時期と梅雨が重なる地域では、水はけのよい場所がいいでしょう。
ブルーベリーを複数本植え付ける場合、畝(うね)を20〜30cmの高さにすると水はけよく管理できます。ブルーベリーの根は繊細であまり深く根を張りません。畝を作ったらワラやバークチップなどでマルチングして、株元を踏みつけないようにしましょう。
ブルーベリーを育てる用土は酸性から弱酸性の、適度に水持ちがよく通気性と排水性に優れた土質です。鉢植えやプランター栽培では、市販のブルーベリーの土が便利です。系統別におすすめの用土の配合を紹介します。
赤玉土の小粒3:鹿沼土3:ピートモス3:堆肥1
赤玉土の中粒3:鹿沼土4:ピートモス2(pH未調整を使用):堆肥1
赤玉土の中粒4:鹿沼土3:ピートモス2:堆肥1
ブルーベリーの植え付け時期は、寒冷地は春・温暖地は秋がおすすめです。春と秋は果樹苗の流通量が多く、さまざまな品種の中から管理しやすいので好みの品種が選べます。植え付け後2〜3週間は水やりして、しっかりと根付かせましょう。1〜2年目の小さな幼木も、3〜4年大きく育てるとたくさんの実が採れるようになります。
ブルーベリーの元肥は、有機質の専用肥料か果樹の肥料が最適です。有機質肥料は微生物の働きを促して、土質を柔らかくします。化成肥料は肥料過多や、生育不良になることもあり注意が必要です。肥料は1株当たりの適量を守って与えましょう。
ブルーベリーの水やりでは、ノーザンハイブッシュ系が特に乾燥に弱いため水切れに注意します。猛暑の夏場だけでなく雨の少ない冬も、適度に水やりをして根の湿度を保ちましょう。ブルーベリーの根は繊細であまり深く張らないため、庭植えでも雨の少ない時期は水の管理が欠かせません。
ブルーベリーの追肥は年3回が目安です。時期は3月・5月・9月ですが、1〜2月頃に寒肥(かんぴ・かんごえ)を与える場合は、3月を飛ばします。ラビットアイ系の晩生種は9月の追肥ではなく、収穫後の10月上旬にずれ込んでも問題ありません。肥料は元肥と同じ、有機質の専用肥料や果樹の肥料がおすすめです。
ブルーベリーの実付きをよくするためには、定期的な剪定作業が欠かせません。時期は2〜3月の冬剪定と、8〜9月(収穫後)の夏剪定や整枝です。ハイブッシュ系は冬剪定で株全体をすっきり整え、夏はシュート(徒長枝やひこばえ)を切る整枝が最適です。木が大きくなり形が乱れやすいラビットアイ系は、冬剪定と同様に収穫後に夏剪定をしましょう。具体的な方法は下の記事をご覧ください。
花が咲いても実がならない場合は、受粉不良が考えられます。マンションのベランダなどの虫が来ないところでは、人工授粉して実付きをよくしましょう。花付きの悪い古い枝は、株元近くで剪定してよい枝を成長させます。
実の大きさは品種と株の成熟度にもよります。植え付けて3〜4年目の若木は、株を成長させるために栄養を使うため、実が大きく成長しなかったり生理落果といわれ実が落ちたりすることもあります。鉢植えの場合や若木では、摘果で花房の先端1/3を剪定して数を調整しましょう。肥料不足でも生理落果が起こるため、適切なタイミングでの追肥が必要です。
ブルーベリーに発生しやすい病気は、灰色カビ病です。実が成熟するまでの期間が梅雨時期と重なるため、水はけよく管理して病気を防ぎましょう。見つけたら病気の葉や実を取り除き、収穫後に殺菌剤を散布します。
ブルーベリーは育てやすく害虫の発生は少ないですが、毛虫類の発生には気をつけましょう。ケムシは蝶や蛾の幼虫で葉を食害する害虫です。実がついている期間は殺虫剤が使えないので、見つけたら葉ごと取り除いて捕殺します。
その他の害虫 | |
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アブラムシ | 小さな虫が葉やつぼみに群生して吸汁加害します。モザイク病を媒介するため注意が必要です。 |
ハダニ | 小さな虫が葉裏に群生して吸汁加害します。梅雨時期から多く発生します。 |
ボタ爺
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鉢植えのブルーベリーは植え替えが必要です。植え替えのタイミングは株を大きく育てる3年目までは毎年、10号鉢以上のサイズになったら2〜3年に1回行います。時期は極寒の1〜2月を避けた休眠期間中です。具体的な植え替え方法は下の記事をご覧ください。
出典:Unsplash