はじめに
花は美しい花びらや素敵な香りで見る人の心を癒してくれます。しかし、花の役割は「癒し」だけでしょうか?多くの植物は、成長し花を咲かせ実を結ぶことで種を保存します。種を残す方法として、自家受粉と他家受粉の2種類があり、この受粉という作業のために花は美しく咲くのです。そんな花の役割について詳しく見ていきましょう。
花のつくり
植物における花の役割とはどのようなものかご存知ですか?花は種子をつくり仲間を増やすための大切な器官です。花をつけ種子を作り繁殖する植物、これを種子植物と呼びます。種子植物はさらに、被子植物と裸子植物に分けられます。
被子植物
被子植物とは花びらのある花を咲かせる植物を指します。例えば、桜やタンポポなどが被子植物です。被子植物は内側から、めしべ、おしべ、花弁、やくがあり、全て合わせていわゆる「花」を形成しています。めしべは花の真ん中に位置し、それを取り囲むようにおしべが並んでいます。
裸子植物
裸子植物とは花びらのない花を咲かせる植物です。例えば、マツ、イチョウ、スギなどが裸子植物です。裸子植物は、1つの花にめしべ、おしべが存在せず雌花、雄花がそれぞれ存在します。雌花には子房がなく胚珠(種子)の元がむき出しになっています。雄花は花粉嚢と呼ばれる袋があり、中には花粉が詰まっています。
めしべ
めしべは花の中心にあり、とても目立ちますね。めしべは、細かく分けると柱頭、花柱、子房に分けられ、それらの集合体をめしべと呼びます。子房の中には胚珠と呼ばれる種子のもとが入っていて、受粉したのち、花粉菅から花粉が送られ胚珠と混ざることで受精が成立します。
おしべ
おしべとは花粉の入った袋である「やく」とそれを支える「花糸(かし)」からなるものを指します。写真の茶色いものがやく、それに付属する細長いものが花糸ですね。中央の一番長いめしべを取り囲むように配置されています。
その他の花の名称
花弁
花びらは花弁(かべん)といい、鮮やかな色合いで虫などを惹き付ける役割をしています。惹き付けられた虫たちが花粉を運ぶ重要な役割を果たしてくれます。花が1枚1枚離れているアブラナやエンドウ豆のような花を「離弁」、花びら同士がくっついている花を「合併花」といい、ツツジやアサガオはこの種類です。
子房
子房はめしべ根元のふくらみを指します。中には胚珠と呼ばれるものが入っていて、植物が受粉し受精が成立すると子房が実になる仕組みです。実の中には種がありますね。この種は胚珠が受精後に変化したものです。子房は「花びら」や「ガク」の上にあるものと「花びら」の下にあるものがあります。
やく
やくは、おしべの先端部で袋状の構造をしており、中には花粉が入っています。やくには「葯隔」と呼ばれる仕切りがあり2分割されているため、1つではありません。それら1つ1つを半葯と呼び2つで「やく」です。やがて、やくの中で作られた花粉は開口から外へ放出されます。放出の仕組みは、やくが破れ花粉が飛散する場合、小孔から放出される場合、やくに弁がありそこから放出される場合の3つです。