アントシアニンとは?
アントシアニンとは、ポリフェノールの1種で、花や果実の色素成分です。ブルーベリーやブドウ、りんご、いちご、などの赤・紫・青の色は、アントシアニンにより構成されています。以前は色素としての研究がさかんに行われていたアントシアニンですが、近年は目の働きを高める効能など健康機能が注目されるようになりました。
色素にかかわる研究
色素としての研究がさかんに行われた結果、アントシアニンは食品用の天然着色料としてよく利用されています。また、園芸では花色の変換に利用され、青いバラなどの作出をもたらしました。
アントシアニンの健康機能に注目
近年では、アントシアニンの健康機能の研究がさかんに行われています。よく耳にするのが、アントシアニンの疲れ目や視力回復の効能です。また、抗酸化作用・肥満予防・花粉症予防・美容効果などさまざまな健康機能の効能があることがこれまでの研究により明らかになってきています。
アントシアニンの効果
アントシアニンには次のような健康機能の効果があるといわれています。
- 抗酸化作用
- 視覚機能改善作用
- メタボリックシンドローム予防
- 花粉症の予防
- 美肌効果
抗酸化作用
アントシアニンは抗酸化物質の1つであり、強い抗酸化作用があります。抗酸化作用とは体内の活性酸素の発生を抑えたり発生した活性酸素の働きを抑制したり、活性酸素そのものを除去する作用です。この抗酸化作用によって、病気予防や老化予防さらには免疫機能低下の予防などが期待されます。
活性酸素とは?
活性酸素は体内で作られ、細胞伝達物質や免疫機能という重要な働きをしています。しかし、ストレスなどによって過剰に活性酸素が増えると、細胞を酸化させて傷をつけてしまうため生活習慣病などの疾患の要因となります。また、老化・免疫機能の低下も引き起こしてしまうのです。
視覚機能改善作用
アントシアニンは眼精疲労によい、視力が回復する、眼病の予防効果がある、などさまざまな視覚機能の改善作用があるといわれていますが、現段階では研究中です。ただし、眼精疲労に関しては、アントシアニンを多く含むビルベリーを摂取したヒトによる臨床試験において疲れ目の回復に効果があることが報告されています。
ブルーベリーの実に含まれる主成分アントシアニンに、目の網膜にある血管や神経の細胞を保護する作用があることを、岐阜薬科大の原英彰教授(薬効解析学)が突き止めた。
俗に「ブルーベリーは目にいい」と言われてきたが、動物実験などで実証したのは初めてという。……
アントシアニンが、細胞や動物の体の中で、一部の病的刺激に対して保護的に作用するということを示した画期的な報告。今後はメカニズムの解析や人体での作用など一層の研究が期待される。
メタボリックシンドローム予防の効果
アントシアニンは、メタボリックシンドローム予防に効果があることが研究で明らかになりました。高脂肪のえさにアントシアニンを混ぜてマウスに与えたところ、脂肪の合成の低下・内臓脂肪と血液中の脂肪の蓄積抑制・血糖値の上昇抑制という結果が得られたという報告があります。
花粉症予防の効果
アントシアニンには花粉症の予防効果があることが明らかになっています。花粉が体内に入ると、ヒスタミンという物質が花粉を洗い流そうとして鼻水・くしゃみ・目のかゆみを引き起こします。研究により、アントシアニンにはヒスタミンの量を抑える働きがあることが報告されました。
美容効果
しみ・しわ・たるみなどの肌の老化の原因の1つとして、活性酸素による細胞の酸化が考えられます。アントシアニンの強い抗酸化作用によって細胞の酸化を防止する効果があります。また、アントシアニンにはコラーゲンを安定させる作用もあり、美容効果が期待されています。
アントシアニンを多く含む食べ物の多くは、美容効果のあるビタミンCも豊富に含んでいます。アントシアニンとビタミンCの相乗効果も期待できそうですね。
出典:写真AC