ハヤトウリは、洋ナシのような果実ができるつる性の植物です。海外では有名な野菜で、日本には大正時代に鹿児島県にはじめて持ち込まれました。沖縄や鹿児島などの温かい気候で栽培され、炒め物から煮物までさまざまな料理に使用されます。
園芸部類 | 野菜 |
形態 | つる性/多年草 |
樹高 | 4~10m |
花の色 | 黄緑色~クリーム色 |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 普通 |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
ハヤトウリは鹿児島出身の男性をさす「薩摩隼人」が名前の由来とされています。別名である「千成瓜(せんなりうり)」は、ハヤトウリが1回の栽培期間で1株から100~200個とたくさんの収穫できることが由来です。
ハヤトウリの果実の表面は凹凸があり、縦筋が入っています。果実には水分が多く含まれており、シャキシャキとした歯ごたえのある食感です。また果実からは種を取り出さずに、そのまま植えるという特徴的な栽培方法をします。
品種 | 色 | 大きさ | 青臭さ |
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青皮種 | 緑 | 大きめ | あり |
白皮種 | 白 | 小さめ | なし |
ハヤトウリには見た目が緑と白の2種類の品種があり、色と味が異なります。果実はAmazonや楽天で購入可能です。
青皮種の緑色の果実は青臭さがあり、大きめの果実です。白皮種に比べるとたくさんの果実ができます。青臭さがあるため食べにくいかもしれませんが、加熱や塩もみをするなど調理方法を工夫することでおいしくいただけます。
白皮種の果実は小さめで、刺毛が多い果実です。青皮種と比べると病気になりやすく、収穫量や流通量も少なくなります。青臭さがないため、青皮種よりも食べやすいのが特徴です。
植え付け時期 | 4~5月 |
花が咲く時期 | 9~10月 |
実がなる時期 | 9~10月 |
収穫時期 | 10~11月 |
ハヤトウリの栽培期間は長く、植え付けから収穫時期が4~11月までとほぼ1年中です。開花後2~3週すると実ができ、重さが300~500g、大きさが5~8cmほどに成長した熟す前の果実を収穫します。ハヤトウリの旬は10~11月です。
ハヤトウリは寒さには弱いため、中間地の場合は霜の心配がない4月下旬に植え付けるのがおすすめです。暖地の場合は4月頃より植え付けてもよいでしょう。
ハヤトウリは種を取り出すことなく、果実をそのまま植えて栽培します。完熟させた果実は冬の間、新聞紙に包んで12℃以下の冷暗所で保管することで、翌年の果実として保管が可能です。また保管中に発芽することもあります。株の増やし方も同様に種からではなく果実です。
果実を発芽させるには、春に果実の半分くらいが土から出るように横に寝かせて植えます。用土には水分を含ませ、その後は発芽するまでは水をあたえないようにしましょう。発芽適温は15~25℃とされています。
ハヤトウリはつる性の植物のため支柱が必要です。広いスペースが必要なため、畑や庭に地植えして育てましょう。鉢植えでも育てられますが、根が張りきれず収穫量が少なくなります。鉢植えで育てる場合は、深さのある大型のサイズに1株で育てましょう。
ハヤトウリは1日中日があたるような、日当たりのよい場所を選びます。
ハヤトウリは連続して同じ土壌で育てると連作障害を起こし、生育障害や病気・害虫の原因になります。収穫後の果実を翌年も育てたい場合は、土壌消毒や有用性微生物を増殖させるなど、同じ土壌は避けましょう。
地植えでは、植え付ける2週間ほど前に苦土石灰と堆肥を施します。プランターでは、野菜用の培養土か赤玉土を用土に使用しましょう。
ハヤトウリの苗はあまり流通していません。植え付けは畑へ果実を直まきするか、鉢植えで苗として10cmほど成長させてから畑へと定植させましょう。
株間は60~100cmほどあけて、畑や庭に1~2株を植え付けます。定植させる場合は、鉢植えの真ん中に1株を植え付けましょう。ハヤトウリは1株でたくさんの果実ができるので、1回の栽培に1~2株で十分です。
畑では元肥として、有機質肥料を施しましょう。プランターでは植え付け時に緩効性の化成肥料を施します。
ハヤトウリの水やりは、土が乾いたら水をあたえます。夏は水きれを起こしやすいので、朝と夕方の2回するなど、水やり方法を工夫して土を乾燥させないようにしましょう。
ハヤトウリは収穫前になると果実で重くなるため、丈夫な支柱が必要になります。ネットには果実の重みに負けないようにつるを誘引して管理しましょう。
ハヤトウリはつるの手入れをしないとどんどん伸びてしまうため、剪定します。葉が5~7枚頃になったら親づるを剪定し、太いつるを残すように管理しましょう。孫つるが伸びるように剪定すると果実がたくさんできます。
ハヤトウリは寒さに弱いため、霜が下りないように植え付け時にはマルチングして管理します。
ハヤトウリは栽培期間が長いため、秋には追肥が必要です。地植えの場合は緩効性の化成肥料をあたえ、鉢植えの場合は液肥をあたえましょう。追肥によるハヤトウリの果実の増やし方は、特に孫づるの剪定後と開花後のタイミングにあたえると、たくさんの果実ができます。
果実を土に植える際、半分以上植えてしまうと発芽しなくなってしまいます。果実の芯の落ちたくぼみ部分から発芽するので、その部分が土から出るようにし、深く植えすぎないようにしましょう。
ハヤトウリは植え付け時後の水のやりすぎは、果実が腐り発芽しない原因となります。果実自身も水分を含んでいるため、植え付け時の用土に水をしっかり含ませたら、その後は芽が成長するまでは水をあたえすぎないようにしましょう。
新芽や葉の裏に小さな虫を見つけたらアブラムシの可能性があります。アブラムシはウイルスを媒介して葉を枯らす害虫です。風通しがよくなるようにつるの剪定や誘引を行い、必要であれば殺虫剤を使用して予防しましょう。アブラムシの他にもハヤトウリの葉につく害虫がいるので、葉を観察します。
その他の害虫 | |
ハダニ | 特に梅雨明けに葉の裏につく |
ウリハムシ | ウリ科につく害虫で葉を食害する |
ハヤトウリの多い病気の中にうどんこ病があります。ウリ科の植物に多い病気で、葉に白いカビができます。特に梅雨の時期には葉を注意しましょう。その他にもハヤトウリには以下の病気があります。
その他の病気 | |
炭疽病 | 円状の病斑ができる。伝染しないように被害にあった葉や茎は除去する。 |
つる枯病 | つるの色が変色し、黒い斑点ができる。広がると枯れる恐れがある。 |
出典:写真AC