カラシナは、独特の苦みがある葉野菜です。カラシナの食用部分は大きく成長した葉で、炒め料理や漬物などにして食べます。カラシナの種子は香辛料の原料で、西洋ではマスタード、日本では和からしになります。
園芸部類 | 野菜類 |
形態 | 越年草 |
樹高 | 30~80cm |
花の色 | 黄色 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | やや弱い |
耐陰性 | やや弱い |
栽培難易度 | ★✩☆☆☆ |
カラシナは、大きな葉に独特の苦みがある食用野菜です。カラシナの原種は中央アジアが原産地ですが、現在では変異種も含め数多くの品種が世界各国で栽培されています。和からしの材料となるカラシナの種子は、西洋のマスタードと区別するため「オリエンタルマスタード」と呼ばれます。
カラシナは変異種のほかに品種改良されたものも多いため、近年では従来のカラシナよりも苦みを抑えた生食用の品種も人気です。
葉カラシナは、大きな葉と苦みが特徴です。葉カラシナは収穫量が多く栽培しやすいため、カラシナ栽培では定番の品種です。苗や種は園芸店でも扱いますが、ホームセンターの園芸コーナーでも購入できます。
サラダカラシナの葉は水菜のような形状で、茎も細くシャキシャキした食感があります。カラシナ特有の苦みはありますが、口に入れたときにピリッとした辛味を感じる程度なので和え物にしてもおいしいです。サラダカラシナの苗はあまり流通していませんが、種はネット通販でも購入できます。
カラシナは、暖地・温暖地・寒冷地で育てる時期が異なります。栽培カレンダーをチェックする際は、栽培地域を確認しましょう。
植え付け時期 | 9~10月(暖地・温暖地)/4~7月(寒冷地) |
花が咲く時期 | 食用は開花前に収穫 |
剪定する目安(暖地・温暖地) | 草丈20cm |
剪定する目安(寒冷地) | 草丈20~25cm |
収穫時期 | 5~6月、12~3月(暖地・温暖地)/7~11月(寒冷地) |
カラシナは耐暑性がやや弱いだけでなく、高温多湿な環境になると病気や害虫が発生しやすくなります。ただしカラシナは寒さに強いので、暖地・温暖地では夏以外が栽培適期です。寒冷地は夏でも涼しく管理がしやすいので、夏が栽培適期です。
カラシナは生命力が強い作物なので、気温の高い時期を避ければ基本的にどのような環境でも育ちます。カラシナの品種や種類によって収穫時期や葉の大きさなどに違いもありますが、栽培環境の管理は基本的に同じです。また植え付け方法(鉢植え・地植えなど)に違いがあっても、管理方法は変わりません。
カラシナは耐暑性がやや弱いですが、栽培する場合は日当たりのよい場所を選びます。カラシナは日当たりのよい場所で栽培したほうが大きく育ち、カラシナの栄養含有量もアップします。さらにカラシナに多く見られる病害虫はじめじめした環境でおこりやすいので、病害虫の予防にも日当たりのよさは重要です。
カラシナは連作障害を起こしやすい作物で、同じ畑でカラシナを栽培する場合は最低でも1~2年間隔をあけます。またカラシナの中には連作障害を起こしにくい品種もあります。この場合も同じ畑で3~4年連続で栽培すると、連作障害が起こりやすいです。
カラシナの栽培には、通気性のよい用土を使います。畑に地植えする場合は、植え付けの2週間前に苦土石灰を全体に、1週間前にたい肥と化成肥料を混ぜます。鉢植え・プランター栽培の場合は、赤玉土を混ぜた基本用土に化成肥料を混ぜてください。市販の培養土は肥料が含まれているので、初心者におすすめです。
カラシナは種から育てても発芽率がよいため、長期間大量に収穫したい場合は種から育てるほうが経済的です。またサラダカラシナのような生食用のカラシナは、プランター栽培にも適しています。ハーブ感覚で比較的簡単に栽培できるので初心者にもぴったりです。
カラシナの種まき方法は「筋まき」「点まき」の2種類です。筋まきは、深さ1cmほどの種まき用溝を作り1粒ずつ種をまきます。点まきは、空き缶などを使って深さ1cmの種まき用穴を作り、1つの穴に4~5粒の種をまきます。どちらの場合も、種まき後は覆土とたっぷりの水やりが必要です。
カラシナの育苗は間引きが重要ですが、やり方は種まきの方法で違います。筋まきの間引きは、1回目は発芽後に株間を3cmにし、2回目は本葉が2枚になってから株間を8cmにします。点まきも間引きのタイミングは同じですが、1回目の間引きは1カ所の種まき穴から丈夫なものを1本だけ残しましょう。
カラシナは早ければ種まきから2日後、遅くとも5日以内に発芽します。発芽してから収穫までの期間は平均60日なので、種まきから2カ月後には収穫時期を迎えます。収穫は草丈が20cmを過ぎた頃が目安です。草丈が30cm以上になると花が咲きますが、花が咲いたカラシナは食用にはなりません。
カラシナの水やりは、発芽まではたっぷりと行います。発芽後の水やりは、プランター栽培と庭植え・地植えで違います。プランター栽培の場合は、発芽後も1日1回たっぷりと水やりしてください。庭植え・地植えの場合、発芽後の水やりは基本的に降雨のみでOKです。
カラシナの追肥は、育苗期の2回目の間引きが終わった後から始めます。化成肥料を、2週間に1回を目安に与えてください。追肥を施す際は肥料やけを防止するため、カラシナの根元および葉に肥料をまかないようにしましょう。
食用として栽培するカラシナは葉野菜なので、花がしてしまうと商品としての価値が下がります。食用のカラシナに花が咲いてしまうのは、長期間日に当てたことが原因です。草丈が20cmに達したタイミングで早めに収穫すると、花が咲くのを防げます。
カラシナを基本どおりに育てていても生育が悪い場合は、病気に感染または連作障害の可能性が高いです。生育不良が起こりやすいのはウイルス系の病気ですが、間引きと剪定で通気性をよくすれば防げます。連作障害が原因の場合は、別の畑(別の場所)で栽培すると問題が解決するでしょう。
カラシナは葉に苦みがあるので、作物の葉を食害する代表的な害虫でもカラシナは食べないことがあります。そんなカラシナですが、葉の苦みに関係なく食害する厄介な害虫が2種類います。どちらの害虫も駆除が面倒なので、早めの害虫対策がおすすめです。
カラシナの葉には独特の苦みがあるため、葉が害虫の食害を受けることはあまりありません。ところが葉や新芽に含まれる液を吸引する害虫には狙われやすいため、吸引系の害虫・アブラムシが寄生しやすいです。しかもアブラムシは、大量発生すると病気の原因にもなります。
作物の被害 | 葉や新芽の液を吸引し全体を枯らす |
天敵 | てんとう虫、コレマンアブラバチ |
対処法 | 天敵の近くで育てる(天敵が捕食して駆除) |
アオムシはモンシロチョウの幼虫で、カラシナが属するアブラナ科の葉が大好物です。アオムシはほかの葉野菜も食べるため、葉野菜の収穫時期が集中する4~6月と9~11月に発生しやすくなります。ところがアブラナ科を栽培すると時期を問わず発生するため、カラシナの栽培では1年を通してアオムシに注意が必要です。
作物の被害 | アブラナ科の葉を好んで食べる |
天敵 | クモ、蜂、ゴミムシなど |
対処法 | マルチングや防虫ネットで予防 |
軟腐病は、カラシナに発生しやすい病気の1つです。軟腐病の初期症状は、葉が水に浸かった状態になります。その後濡れた部分が全体に広がっていくと、葉の全体が腐ります。軟腐病は農薬が効かないので、症状を発見したら周囲の作物に病気が移らないように速やかに畑から撤去しましょう。
主な症状 | 葉が灰褐色に変色し強烈な悪臭とともに腐る |
対処法 | 株ごと抜き取り畑から除去 |
予防法 | 窒素過多を避ける/株間をとる/剪定で風通しをよくする |
菌核病も、カラシナに起こりやすい病気です。菌核病の初期症状は、葉の表面に現れる茶褐色の斑点です。斑点が葉の全体にあらわれる頃には葉の色も黄褐色に変色し、やがて株ごと枯れます。菌核病の発生原因は追肥による窒素過多が多いですが、剪定不足で葉が密集しても発症するので注意してください。
主な症状 | 葉が黄褐色になり株全体が腐る |
対処法 | 株ごと抜き取り畑から除去 |
予防法 | 窒素過多を避ける/株間をとる/剪定で風通しをよくする |