カラシナとは?
漬菜の代表ともいえる野菜、カラシナ(芥子菜・辛子菜)。カラシナは、お浸しやチャーハンの具としても利用され、独特の風味と辛さが料理の味を引き立たせてくれる野菜です。ここでは、カラシナの種類やおいしい食べ方など、意外と知られていないカラシナの隠れた魅力を存分にお伝えしています。
カラシナは何科の植物?
カラシナはアブラナ科の植物です。中央アジアが原産といわれ、日本に現存する薬草(薬物)辞典「本草和名(ほんぞうわみょう)」の中には「芥(からし)」という項目があり、カラシナは「加良之(からし)」という漢字で記載されています。少なくとも平安時代には日本に伝わっていたとされる植物です。
カラシナの特徴
カラシナは葉や茎にピリッとした辛みがあり、カラシナがもつ独特な味や辛さを好む人も多いでしょう。しかし、カラシナが辛いのは葉や茎だけではなく、じつは、種にも辛さがあります。「和からし」として使われている粉末のからしは、カラシナの一種、オリエンタルマスタードの種子を粉末にしたもので、カラシナは葉や茎だけでなく種まで食べることのできる野菜です。
和からしとマスタード(洋からし)の違い
和からしとマスタード(洋からし)の違いは原料となる種子の違いです。オリエンタルマスタードの種子から作られた「和からし」は、鼻にツンとくるような、刺激の強い辛さがあります。一方、同じ「からし」でもマスタードと呼ばれる「洋からし」はイエローマスタードの種子から作られており、刺激が弱く、マイルドな辛さが特徴です。
カラシナは河川敷で見かけることも!
春になると、河川敷などで多く見かける黄色い菜の花。じつは、河川敷などで見かける菜の花の中には「セイヨウアブラナ」と「セイヨウカラシナ」が混ざっていることがあります。カラシナもアブラナ科。花の形はとても似ているため同じように見える2種類の植物ですが、セイヨウカラシナは葉に切れ込みがあるため、葉を見ればアブラナとカラシナの違いがよくわかります。
カラシナの種類
カラシナの種類:高菜(タカナ)
高菜(タカナ)はカラシナの変種で、おもに漬け物用として栽培されることが多い野菜です。広島菜・野沢菜とともに日本の三大漬菜のひとつに数えられ、大きく成長すると50センチ以上の大株になります。漬物用では大きな株を使うのが一般的です。しかし、間引き菜などは葉も柔らかく生でもおいしく頂けます。
カラシナの種類:サラダからし菜
みず菜によく似た葉が特徴の「サラダからし菜」は、生食用として品種改良されたものです。葉が柔らかくシャキシャキとした食感で、野菜サラダや海藻サラダによく使われています。サラダからし菜には「赤からし菜」と呼ばれる、葉が赤紫色をしたものもあり、葉の色を活かして大根とともに「刺身のつま」として利用されることもある野菜です。
カラシナの種類:マスタードグリーン
50センチほどの大株に育てると、炒め物や漬け物としても使うことができるマスタードグリーン。お店では20センチほどに成長した株の、柔らかい葉の部分だけを切り取り、パック詰めで販売しているところもあります。葉のふちがフリル状になっているのが特徴です。
カラシナの種類:レッドマスタード
レッドマスタードは、ベビーリーフとして食されることも多く、苗が小さい頃は葉の形状が丸く、成長するにしたがって葉に切れ込みが出てきます。火をとおすと赤い色が抜けてしまうこともあるため、色を活かしたい料理の場合は注意が必要です。
カラシナの種類:わさび菜
名前に「わさび」という言葉が入っていますが、わさび菜もカラシナの一種です。九州ではわさび菜、滋賀県では愛彩菜(あいさいな)とも呼ばれています。全国各地で栽培されており、家庭菜園や水耕栽培でも育てる人が多い野菜のひとつです。
カラシナの種類:博多蕾菜
九州、福岡のブランド野菜として栽培されている博多蕾菜。とても大きな株なのですが、収穫されるのは脇芽(つぼみ)の部分だけ。けれど、この蕾の部分がピリッとした辛さと、コリコリとした歯触りのよい食感で、とてもおいしく人気があります。中華料理や天ぷら、サラダなど、どんな料理にでも使える野菜です。
カラシナの旬はいつ頃?
カラシナは9月に種をまくと11月中旬頃から収穫ができますが、カラシナが一番おいしい、いわゆる「旬」といわれる時期は、開花前の2月から3月中旬頃です。冬の寒さにあたったカラシナは、旨味と辛みが絶妙なバランスで混ざりあいカラシナならではの味を楽しむことができます。
カラシナの花
桜が開花する時期になると、カラシナもいっせいに花が咲きはじめます。アブラナ科の野菜は開花する直前の、つぼみがひとつ、ふたつ、開き始めたころが「菜の花」として一番おいしく頂ける時期です。柔らかい茎の部分は手で簡単に折ることができるので、収穫が遅れ、トウ立ちしたものは菜の花としておいしく頂きましょう!
カラシナのおいしい食べ方
カラシナのおいしい食べ方:からし菜の漬け物
たっぷりのお湯にカラシナをさっとくぐらせ、水気を絞ったのち、軽く塩を振りビニール袋に入れて冷蔵庫へ。カラシナそのものに辛みがありますが、カラシナは揉みこめば揉みこむほど辛みが出ると言われます。辛いのが好きな方は、お湯で茹でたあとに揉みこんでおきましょう。2日ほどで食べ頃になります。
カラシナのおいしい食べ方:からし菜のおむすび
からし菜の漬物を細かく切って、ごはんと混ぜ合わせてもおいしく頂けますが、大きな葉があれば、ごはんを丸ごと包んでからし菜のおむすびに。ひと味違った食感が楽しめます。
カラシナのおいしい食べ方:冷しゃぶ
薄く切った大根・サラダからし菜と一緒に食べる、サラダ感覚の冷しゃぶ。カラシナの辛みがよいアクセントになり、さっぱりとおいしく頂けます。赤からし菜を添えると、料理が引き立ちますよ。
カラシナのおいしい食べ方:菜の花のお浸し
電子レンジでも簡単に作れるお浸し。電子レンジで調理すれば赤い色のカラシナでも色があまり抜けません。また、開花寸前の「菜の花」のお浸しは、辛みとほのかな苦味がマッチして箸休めに最適です。菜の花が少し咲いていても、おいしく頂けますよ!
カラシナの栄養価
カラシナにはカリウムや、カロテンが多く含まれています。カリウムには体の中の余分な塩分を排出する働きがあり、高血圧の予防・改善には欠かせない栄養素のひとつです。また、カロテン(体に入るとビタミンAに変換)は免疫力を高め、がんや生活習慣病の予防によいといわれます。カルシウムや葉酸なども多く含まれており、生活習慣病などが気になる方は積極的に取り入れたい野菜です。
カラシナについて:まとめ
カラシナはとても身近にある植物(野菜)です。葉や茎だけでなく、種や花をも食べることができ、しかも、栄養価は高い!カラシナの種類はたくさんあるため、お店では「カラシナ」という名前では販売されていない場合もありますが、高菜やわさび菜もカラシナの仲間です。体によいカラシナを、ぜひ、毎日の食事に取り入れて下さいね!
出典:筆者撮影