アルストロメリアは南米原産の球根花です。多彩な花色と花びらに入る独特の模様が織りなす個性的な美しさが好まれ、切り花として多く流通しています。花束やフラワーアレンジメントでも人気です。日本へは明治時代~大正時代に伝来しました。非常に種類・品種が多く、常緑性の品種もあれば落葉性の品種もあるなど、種類・品種によって特徴や性質も異なっています。
園芸部類 | 草花、球根植物 |
形態 | 多年草 |
樹高・草丈 | 0.1m~2m |
花の色 | 赤、黄、ピンク、白、オレンジ、紫、複色 |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | やや弱い |
特性・用途 | 常緑性 |
栽培難易度 | ★★★☆☆ |
アルストロメリアの特徴として、真っ先にあげられるのは花びらの模様です。花びらの一部に入る独特の模様は、受粉してくれる虫を誘うためのものといわれていますが、品種によっては模様がないものもあります。1本の茎に複数の花をつける「スプレー咲き」という咲き方もアルストロメリアの特徴です。豊富な花色もあって、華やかな雰囲気が漂います。
アルストロメリアの名前は、南米大陸でこの種を発見したスウェーデンの植物学者リンネが名づけたものです。リンネには、長年に渡って支え続けてくれた親友がいました。その友情と恩義に報いる意味で、親友の名前「アルストレーマー(アルストロメール)」にちなみ、アルストロメリアと名づけたのです。
2016年珍しいペルーのユリアルストロメリアリグツバルクフラワーシード49%
参考価格: 1,899円
リグツ系は南米チリを原産とするアルストロメリアの原種を改良した品種群です。アルストロメリアのなかでは草丈が高く、花に独特の模様がない品種が多いという特徴を持っています。耐寒性があるので地植えも可能です。花色も非常に豊富で、カラフルな花壇を作りたいかたにおすすめの品種といえるでしょう。
国華園 花苗 ガーデンアルストロメリア インディアンサマー 2株
参考価格: 2,739円
インディアンサマーはアルストロメリアの園芸品種です。エキゾチックな雰囲気あふれるオレンジの花を、春と秋の年2回咲かせます。紫がかったチャコールグレーという珍しい色をした葉も魅力的です。満開時はもちろん、花のない季節も十分に楽しめますよ。
植え付け時期 | 3月~4月/9月~10月 |
植え替えの時期 | 3月~5月/9月~10月 |
肥料の時期 | 5月~7月、9月~10月 |
剪定の時期 | 開花後 |
花が咲く時期/開花時期 | 5月~7月、9月~10月(四季咲き性) |
アルストロメリアの開花時期は?
アルストロメリアの開花時期は、品種によって異なります。一季咲き性品種の開花時期は5月~7月です。四季咲き性品種は、5月~7月と9月~10月の年2回開花します。
アルストロメリアは3月~4月、9月~10月の年2回が植え付けの適期です。春は本格的に成長が始まる前、秋は夏の休眠期が終わり、アルストロメリアが苦手とする暑さも湿気も和らいで、株が安定していく時期にあたります。どちらも適期に入ったら早めに植え付けましょう。球根苗が早く成長して、根の張りがよくなります。
アルストロメリアは深く根を張る植物なので、深めの鉢に苗を植え付けます。草丈の低い品種は5号~6号鉢に1株、草丈の高い品種は9号鉢に1株が基本です。品種によって差はありますが、アルストロメリアは耐暑性も耐寒性も強くありません。夏は涼しい場所、冬は霜の当たらない暖かい場所に移動させましょう。
アルストロメリアを地植えする場合は、日当たりと風通しのよい場所を選び、植え付ける前に土壌改良しておくなど事前準備をしっかりしておくことが重要です。アルストロメリアは多湿な環境を苦手としています。複数の株を植える場合は、株間を20cm~30cmはあけておきましょう。
アルストロメリアは品種によって性質が異なりますが、日当たりと風通しのよい場所を好む点は共通しています。暑さと湿気に弱いため、高温多湿な環境下だと根腐れを起こして枯れる可能性が高いです。寒さについては暑さよりも耐性はあるものの、土が凍ったり、霜にあたったりすると、やはり枯れてしまいます。地植えの場合は、冬の間はマルチングなどの防寒対策をしましょう。
アルストロメリアは、水はけがよく有機質豊富な用土を好みます。自分で作る場合は赤玉土(小粒)4:鹿沼土(小粒)3:腐葉土3の配合がおすすめです。市販品を使う場合は、草花用培養土に、水はけをよくする川砂を混ぜましょう。地植えの場合は植え付け前に完熟堆肥、腐葉土、川砂、緩効性肥料を庭土に混ぜ込んで、水はけのよい土壌に改良します。
アルストロメリアは、乾かし気味に管理するのが基本です。アルストロメリアは過湿を嫌うため、水のやり過ぎは枯れる原因になるので注意しましょう。鉢植えの場合は、生育期の間は土の表面が乾いたら水やりし、休眠期に入ったら水やりを止めます。開花後、茎葉が枯れたら休眠期に入った証拠です。地植えの場合は基本的に水やりする必要はありません。
アルストロメリアは、あまり肥料を必要とする植物ではありません。地植えの場合は植え付け時に、元肥専用の緩効性肥料を施せば十分です。鉢植えの場合は春~開花までの間、月に1回のペースで緩効性化成肥料を置き肥するか、7日~10日に1回のペースで液体肥料を追肥として与えます。四季咲き性の品種や常緑性品種の場合は、10月~11月の間にも追肥を施しましょう。
アルストロメリアを栽培管理するうえで、注意すべき害虫はアブラムシです。アブラムシは植物の養分を吸汁し、植物の生育を阻害するだけではなく、病気の発生原因となることもあります。発見次第、薬剤などで早急に駆除しましょう。
アルストロメリアの栽培で注意すべき病気は灰色かび病と、根腐れや茎腐れなどの土壌菌が原因で発生する病気です。これらの病気は、高温多湿な環境や肥料のやり過ぎが原因で発生します。予防法として、風通しがよく湿気が少ない環境の維持に努めましょう。
アルストロメリアの球根には、クラウンと呼ばれる基部に複数の貯蔵根がついています。貯蔵根は繊細でちぎれやすいので、丁寧に扱いましょう。植え付ける際は地面から10cmほど掘ったところに、クラウンが上になるように球根を置きます。土をかぶせたら水やりをして、植え付け完了です。
アルストロメリアの植え替えの適期は3月~5月、または9月~10月です。アルストロメリアは根詰まりしやすいため、鉢植えは1年に1回、地植えは2年~3年に1回のペースで植え替えましょう。ただし、アルストロメリアの球根は毒性成分を持つため、手で触れると皮膚炎を起こす恐れがあります。作業の際は直接触れないように、ゴム手袋をしましょう。
アルストロメリアは、開花後に花がら摘みと花茎の剪定を行います。球根を肥やすためには、種ができる前に花を摘み取る必要があるためです。花は咲き終わったものから摘み取っていき、すべての花が終わったら花茎を引っ張って抜き取りましょう。
アルストロメリアを増やす場合、株分けによる増やし方が一般的です。株分け作業は、植え替えと同時に行います。根茎で芽の出ている部分を確認し、2つ~3つの芽が1株になるように切り分けていきます。あとは球根苗と同じ要領で植え付ければ作業完了です。
出典:写真AC