テイカカズラ(定家蔓)は、日本を含むアジア東南部を原産とするつる性常緑植物です。テイカカズラには、茎から付着根を出して、木や壁に食い込みながらよじ登る性質があります。この性質が、テイカカズラの人気の理由です。フェンスに絡ませたり、緑のカーテンにしたりするなどと、さまざまな手法で庭を彩ることができるからです。
園芸部類 | 庭木、花木 |
形態 | つる性植物 |
樹高・草丈 | 5m以上 |
花の色 | 白 |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 常緑性、芳香性、耐陰性あり |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
テイカカズラは常緑性ですが、季節ごとの変化を楽しめる植物です。初夏は甘い香りを持つ花が咲きます。花は咲き始めは白ですが、咲き進むとクリーム色に変わるのが特徴です。さらに秋になると紅葉します。園芸品種には斑入り品種もあるため、葉色だけでも十分楽しめる植物です。ただし毒性成分を持つため、栽培管理する際には、樹液などに直接触れないように注意しましょう。
テイカカズラの名前は謡曲「定家」が由来です。「定家」は後白河天皇の皇女「式子内親王(しょくしないしんのう)」と貴族の「藤原定家(ふじわらのていか)」の悲恋伝説を元に作られました。叶わぬ恋と知りつつも皇女に恋い焦がれた定家は、皇女の死後も執着し続けます。その結果、定家はカズラに生まれ変わり、皇女の墓に絡みついて覆いつくしてしまいました。この伝説から、テイカカズラの名前がついたのです。
ハツユキカズラ/初雪カズラ 6ポットセット(3号)/ グラウンドカバー カラーリーフ セット販売 ガーデニング まとめ売り
参考価格: 2,180円
ハツユキカズラ(初雪蔓)はテイカカズラの斑入り品種です。新芽のうちはピンク色をしていますが、成長するごとに白くなり、やがて緑色の葉へと変わり、秋になると紅葉します。一方で花は小さく、花つきもよくありませんが、鮮やかに変化する葉色を楽しむ品種であるため、問題ありません。葉の美しさと、株がコンパクトにまとまる性質から、テイカカズラを上回る人気を持っています。
おすすめ度 | ★★★★☆ |
---|
サイズ | 3号 |
---|
黄金カズラ(オウゴンカズラ)3号苗(a8)
参考価格: 614円
オウゴンカズラ(黄金蔓)はテイカカズラの園芸品種です。鮮やかな黄色い斑模様が入る葉を特徴としています。新芽にはオレンジ色になる特徴があり、同じ園芸品種のハツユキカズラとは、また違う美しさを見せてくれます。この独特の葉色から「黄金錦(オウゴンニシキ)」という別名がつけられました。
おすすめ度 | ★★★★☆ |
---|
サイズ | 3号 |
---|
植え付け時期 | 4月~7月上旬、9月 |
剪定の時期 | 6月~7月 |
花が咲く時期/開花時期 | 5月中旬~6月中旬頃 |
テイカカズラの植え付け時期は、もっとも生育が盛んな時期でもある4月~7月上旬と、暑い時期が終わって株の状態が安定する9月頃です。テイカカズラは植え付けが遅くなると、根が寒さで傷んでしまい、最悪枯れる恐れがあります。4月~7月上旬が最適でしょう。
テイカカズラは、鉢植えでも地植えでも栽培可能な植物です。耐陰性があり、日陰の場所でも、午前中日が当たるなら問題なく成長します。つる性植物なので、地植えの場合はフェンスや壁面など、誘引させたい物や場所を確認しておきましょう。
テイカカズラにとって理想的な環境は、水はけがよい場所です。日当たりは明るめの半日陰、または午前中は日が当たる場所がよいでしょう。テイカカズラは耐陰性はありますが、ある程度日に当たらないと花つきが悪くなってしまいます。西日や真夏の直射日光などの強い光は、葉焼けを起こして枯れる原因となるため、注意が必要です。
テイカカズラが好む用土は、水はけも水もちもよい土です。鉢植えの場合は、赤玉土(小粒)6:腐葉土2:バーミキュライト2の割合で作った用土を使いましょう。市販品を利用する場合は、草花用培養土に赤玉土(小粒)を、2割~3割ほどの割合で混ぜ込みます。地植えの場合は、苗を植え付ける前に腐葉土や堆肥を混ぜ込んで、土壌改良しておきましょう。
テイカカズラは乾燥が苦手な植物です。水切れは枯れる原因となるので、水やりの管理には注意しましょう。鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたら、鉢底から水がしみ出るくらい、たっぷりと水やりします。特に水切れを起こしやすい春の生育期と夏の高温期は注意が必要です。地植えの場合は、夏の高温期や日照りが続いたときなど、乾燥する日が続くときだけ水やりします。
テイカカズラは、あまり肥料を必要とする植物ではありません。順調に成長しているなら、肥料は与えなくても大丈夫です。ただし、生育状態が悪い場合は液体肥料を与えるか、9月上旬に緩効性肥料を施しましょう。
テイカカズラは丈夫な植物なので、病気や害虫が原因で枯れることはめったにありません。強いてあげるなら、アブラムシやカイガラムシの発生に注意が必要です。アブラムシやカイガラムシは、枝同士が混み入って、蒸れる状態になると発生しやすくなります。間引き剪定などで通気性を確保し、定期的な薬剤散布などで予防しましょう。
テイカカズラの翌年の花芽は夏に作られます。時期でいえば、開花時期の終了から少し経過した頃です。このため、剪定作業は開花後、早急に行います。
テイカカズラの苗は、葉がびっしりと茂っており、葉色も光沢があってきれいなものを選びましょう。テイカカズラは丈夫な植物ですが、根は繊細です。植え付ける際は根を傷めないように、根鉢を崩さず、すみやかに作業を進めましょう。
テイカカズラの植え替えの適期は、植え付けと同じ4月~7月上旬と9月です。テイカカズラは成長が早いため、鉢植え栽培ではすぐに根詰まりを起こします。1年に1回のペースで植え替えましょう。植え替える際は、つるを切り戻し、根鉢を崩さないようにして、一回り大きな鉢に植え替えます。
テイカカズラの剪定は、目的によってやり方が異なります。フェンスなどに誘引する場合は、太いつるを2本~3本だけ残し、それ以外のつるはすべて地上まで切り戻しましょう。誘引が終わったら、あとは伸び過ぎたつるを切り戻して整理する程度で十分です。刈り込んで樹形を整える場合は、開花後すぐに剪定します。テイカカズラは翌年の花芽を夏につけるため、遅れると花芽まで切ってしまうからです。
テイカカズラは耐暑性に比べると耐寒性が低く、寒冷地での地植え栽培には向いていません。霜が当たる場所の場合はマルチングなどの防寒対策を施して、株と根を寒さから守りましょう。
テイカカズラの増やし方は、一般的には挿し木が用いられています。適期は6月上旬~8月上旬です。テイカカズラの挿し木のやり方は、まずは若くて元気な枝を10cm~15cmの長さに切り、葉を2枚~3枚残して取り除きます。30分ほど水揚げさせた後、挿し木用の用土に挿して、水切れしないように管理しましょう。新しい葉が複数出たら成功です。その後は好きな場所に植え替えます。
草花の苗/テイカカズラ:2種(白・桃) 2株セット
参考価格: 1,218円
テイカカズラの花色は、基本種の白と、少し珍しいピンクがあります。花色を上手に活かして、庭を素敵に演出しましょう。花よりも葉を楽しみたい場合は、斑入り品種のハツユキカズラやオウゴンカズラがおすすめです。
おすすめ度 | ★★★★☆ |
---|
サイズ | 3~3.5号 |
---|
出典:写真AC