カタクリの育て方!季節ごとの水やりのコツや種まきや分球での増やし方 | 植物図鑑

カタクリ(日本カタクリ)
カタクリ(西洋カタクリ)
カタクリ(つぼみ)
学名Erythronium japonicum
和名片栗
別名カタカゴ
英名Dogtooth violet
科・属名ユリ科・カタクリ属
原産地日本、東アジア
花言葉初恋、寂しさに耐える、消極的、嫉妬

カタクリの概要

出典:写真AC

カタクリは雪解けの季節になると、白色やピンク色の花をひっそりと咲かせる山野草です。日本や東アジアが原産の多年草で、球根の管理をきちんとすれば毎年開花を楽しめます。

基本情報

園芸部類 草花、山野草
形態 多年草
樹高・草丈 10cm〜35cm
花の色 紫、白、ピンク、黄
耐寒性 強い
耐暑性 やや弱い
特性・用途 落葉性、球根植物、花壇の寄せ植え
栽培難易度 ★★☆☆☆

特徴

カタクリは「春植物」の中でも代表的な植物で、雪がまだ残る季節に早々と花を咲かせるのが特徴です。花はうつむき加減に開く控えめな咲き姿をしており、初夏には花が終わり地上部が枯れた状態で休眠期に入ります。

名前の由来は?

カタクリの名前の由来はいくつかあります。カタクリはユリ科に属しており、花がうつむいて咲くのが特徴です。「かたむいて咲くユリ科の花」で「カタコユリ」から変化して「カタクリ」と名付けられました。また、カタクリの地下茎が、栗の片割れに見えたために「片栗」と名付けられたという説もあります。

花言葉は?

カタクリには「初恋」「寂しさに耐える」「消極的」「嫉妬」という花言葉がついています。どれもカタクリの花が下を向いている様子からつけられた花言葉です。カタクリの花が恥ずかしがっているように見えたり、じっと寂しさに耐えているように見えたりする様子からつけられました。

カタクリの代表品種・種類

①日本カタクリ

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日本カタクリは「ジャポニカ」とも呼ばれている品種で、ピンク色や紫色の花を咲かせるのが特徴です。清楚で優しい咲き姿は、和風や洋風などどんな庭にもよくあいます。宿根草のため、植えっ放しでも毎年開花を楽しめるのが魅力です。

花色ピンク色、紫色
草丈10cm〜20cm

②西洋カタクリ

西洋カタクリ(エリスロニューム)

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西洋カタクリは、淡いクリーム色や黄色の花を咲かせるため「黄花カタクリ」とも呼ばれています。学名の「エリスロニューム」という名前でも流通しており、カタクリの品種の中でも草丈がやや高いのが特徴です。

花色黄色、クリーム色
草丈15cm〜35cm

カタクリの育て方①時期

出典:写真AC

植え付けから開花までの時期

植え付け時期 8月〜10月
植え替え時期 9月〜10月
肥料の時期 11月〜4月
剪定の時期 4月〜5月
花が咲く時期/開花時期 3月〜4月

栽培スケジュールカレンダー

時期1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
植え付け
植え替え
肥料
剪定
開花時期
休眠期

栽培適期は?

カタクリは活動期間がとても短く、芽が出てきたと思ったらすぐに花を咲かせて、あっという間に休眠期に入ってしまいます。かわいらしい花を見逃さないように、芽が出ていないかを毎日しっかりと観察しながら育てましょう。地上部が枯れた状態のときでも、地中で球根は生きているので、水やりを欠かさないように管理してください。

カタクリの育て方②栽培環境

出典:写真AC

栽培方法

プランター・鉢植え・露地

カタクリは球根が成長する過程で、下へ下へと潜り込んでいく性質があります。鉢植えの場合に浅い鉢を使用すると、球根が上手に成長しなかったり枯れたりするので、深さのある鉢を使用しましょう。地植えの場合は、直射日光の当たらない木の株元や、ほかの植物の陰になるような場所に植え付けてください。

育てる場所

室内・屋外

カタクリは耐陰性があるため、室内でも育てられます。完全に日光が当たらないと、発芽しなかったり枯れたりするので、レースのカーテン越しの窓辺で育てましょう。エアコンの風が直接当たる場所に置くと、用土が乾燥しやすくなるので注意してください。

置き場所・日当たり

カタクリは、種まきや植え付けをしてから開花するまでは、日当たりと風通しのよい場所で管理してください。乾燥が苦手なため、地植えでも鉢植えでも午前中は日当たりがよく、午後からは半日陰になるような場所が適しています。夏は休眠期に入るので、球根が傷まないように温度変化の少ない涼しい場所で管理するのがおすすめです。

用土

カタクリは、水もちと水はけのよさを兼ね備えた用土で育てましょう。市販されている「草花用培養土」や「山野草用培養土」を使用しても構いません。自分で配合する場合は、赤玉土に鹿沼土や腐葉土を混ぜ込んでから、少量の軽石を加えた用土を使用してください。

地植えにする場合の用土作りは?

カタクリを地植えにする場所が粘土質の場合は、腐葉土や川砂をたっぷりとすき込み、排水性を高くしてから植え付けましょう。水はけが悪いと球根が腐りやすくなり、弱ったり枯れたりします。また、用土が硬いと球根が下に育ちにくくなるので、よく耕してふかふかの状態にしておくのもポイントです。

カタクリの育て方③管理のポイント

出典:写真AC

水やり

カタクリを鉢植えで育てている場合は、土の表面が乾ききる前にたっぷりと水を与えます。常に用土が水分を含んでいる状態をキープしましょう。地植えで育てている場合も、降雨のみでなく、しっかりと水やりをしながら管理します。しかし、あまり多湿にすると球根が腐ってしまうため、水の与えすぎには注意しましょう。

季節ごとの水やりのコツは?

カタクリの開花時期には、花弁に直接水がかからないように水やりをしてください。カタクリの花弁は繊細で、濡れた状態が続くと茶色く変色する恐れがあります。また、落葉期や休眠期は水をあまり吸わなくなるため、やや乾燥気味に管理するのがコツです。

肥料

カタクリは、秋頃にリン酸を多く含んだ液体肥料を株元に適量施します。植え付けの用土に元肥として、緩効性の化成肥料を混ぜ込んでおいても構いません。春が成長期のため、2月や3月から早めに肥料を与えておくのがポイントです。休眠期に肥料を与えると肥料やけを起こすので、夏に肥料は与えないでください。

害虫対策

アブラムシ

アブラムシは年間を通して発生しやすい害虫です。集団で寄生するのが特徴で、カタクリの成長に必要な栄養分を吸汁しながら成長します。数が少ない場合はガムテープに貼り付けて駆除しますが、大量発生した場合は殺虫剤を散布してください。

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ナメクジ

ナメクジは、梅雨時期などの湿度が高い時期に発生しやすい害虫です。葉や茎の柔らかい部分を食害するため、発見が遅れると葉が穴だらけになる恐れがあります。ナメクジには塩をかけるイメージがあるかもしれませんが、小さくなるだけで駆除はできません。ナメクジを発見したら箸でつまんで、株から引き剝がしてください。

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病気対策

さび病

さび病は2月〜3月に発生しやすい病気です。感染した部分が茶色や褐色に変色するのが特徴で、葉に発生すると光合成が妨げらます。さび病に感染した部分は薬剤を散布しても治せないため、早めに切り取って処分しましょう。

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花後の管理

カタクリは、花後に花がらを放置するとカビが発生しやすくなります。カビが原因の「灰色かび病」に感染する恐れがあるため、花後はこまめに花がら摘みを行い、株を清潔に保ちましょう。

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カタクリの育て方④詳しい栽培方法

出典:写真AC

苗の選び方

カタクリをポット苗の状態で購入する場合は、葉につやがあり茎が太くて健康な苗を選びましょう。葉の裏側までしっかりとチェックして、病害虫被害を受けていない苗を購入してください。

植え替え

植え替えは、カタクリが球根の状態になっている9月〜10月に行います。球根を傷つけないように丁寧に掘り起こし、新しい用土を入れたひと回り大きな鉢へ植え替えましょう。球根が乾燥すると発芽率が下がるため、掘り起こしたらすぐに植え替えるのがポイントです。球根から根が伸びている場合は、根を切ったり折ったりしないように注意してください。

剪定

カタクリは開花時期が短く、地上部に葉が出ている期間が短いため、剪定の必要はとくにありません。葉が茂っているようならば、適度に剪定をして株が蒸れるのを防ぎましょう。

夏越し

カタクリは、春の開花が終わると休眠期に入るのが特徴です。夏は地上部が枯れた状態になり、球根のみが土の中で夏越しします。土の中の温度や湿度が上がりすぎてしまうと、球根が腐って枯れる原因となるため、鉢植えの場合は半日陰に移動させましょう。地植えの場合は、木の陰などの涼しい場所で夏越しさせてください。

冬越し

カタクリは耐寒性が強く、地植えの場合でも屋外で冬越しが可能です。雪が降ったり霜がおりたりしても、地上部に葉は出ていないので問題ありません。春が近づくと雪の間から芽を出すので、日当たりのよい場所で冬越しさせましょう。

増やし方

種まき

カタクリは花後に種子をつけるため、種を採取すると種まきで増やせます。種を採取するには、花後に花がら摘みを行わずに、立ち枯れるまでそのまま育ててください。種子が黒くなり完全に立ち枯れたら、軽くふって中から種を採取します。種まきでの増やし方は、種をまいてから開花するまでに6年〜7年程度かかるため、しっかりと管理しながら育てましょう。

分球

カタクリは球根植物のため、分球で増やすのがおすすめです。品種によっては、勝手に分球して次々と増えていく場合もあります。自分の思い描く場所に増やしたい場合は、大きく成長した球根を掘り起こして、子球を取り外しながら分球していきましょう。球根が乾燥すると発芽率が低くなるため、分球したらすぐに植え付けてください。