シバゲンの効果的な使い方②ほかの除草剤との混合
シバゲンに含まれているフラザスルフロン水和剤はたくさんの雑草に対し効果的な成分ですが、以下のような雑草には効きめが小さいです。効きめが小さい雑草が確認できた場合は、別の除草剤と混合して散布することがおすすめです。
シバゲンが苦手な雑草
苦手な雑草①タンポポ
タンポポはキク科の多年草です。上の画像のようなセイヨウタンポポは、庭などでよく見かけられるかわいらしい草花ですが、防除する場合は骨が折れます。太い根が多くの栄養を蓄えているため、シバゲンで枯らせないからです。濃いめのシバゲンを散布しても、50%程度しか駆除できません。
苦手な雑草②ヤハズソウ
マメ科のヤハズソウは、かわいらしい花をつける雑草です。茎は細いですが刈り込みに強く、匍匐茎をのばして生息域を広げます。種子から発生しますが、シバゲンでは80%程度の駆除しかできないため、侵入を許してしまいます。
苦手な雑草③生育期の雑草
シバゲンは5葉期以降の生育期の雑草には、茎葉処理効果が弱くなります。そのため、芝生に生えていることがわかるくらいの大きな雑草に対しては、散布の効果が小さくなります。その場合は、成長期に効果のある除草剤を散布してください。
ボタニ子
大きな雑草に使う除草剤は、雑草ごとに効果的なものがあるから上の記事を参考にしてみてね。
効果的な組み合わせ
シバゲンはほかの除草剤と組み合わせて散布することで、苦手な雑草も防除できます。下表を参考にしてください。いずれも石原バイオサイエンスから販売されている農薬で揃えられます。
シバゲンとほかの除草剤との組み合わせ散布における雑草抑制率
組合わせ除草剤 | 使用量 | タンポポ | ヤハズソウ | イネ科雑草生育期 |
---|---|---|---|---|
シバゲンDFのみ | 0.2 | 50~80% | 50~80% | 90% |
アージラン液剤 | 0.8 | 90% | 80% | 95%以上 |
ザイトロンアミン液剤 | 0.4 | 95%以上 | 95%以上 | 90% |
苔類の防除について
シバゲンDFの有効成分フラザスルフロン水和剤には、苔類に対する適用効果は確認されていません。芝生に生える苔類を防除したい場合は、芝生用の殺菌剤と混合することをおすすめします。
シバゲンの安全性
製造会社である石原産業株式会社にて公表されているシバゲンDFの安全性については、以下のとおりです。
健康に対する有害性
発がん性 | 区分1A |
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | 区分1(呼吸器系) |
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | 区分1(肝臓、呼吸器系、腎臓) 区分2(造血器) |
水生環境急性有害性 | 区分1 |
水生環境慢性有害性 | 区分1 |
作業時の服装
シバゲンDFは顆粒状の水和剤のため、誤飲するようなことはありませんが、取扱い時は手袋を装着する必要があります。また、安全性確保のため散布作業時は、手袋、保護マスク、ゴーグル、カッパなどの作業衣を装着して散布液が身体につかないようにし気をつけてください。庭に散布したあとも、薬剤が乾く半日程度は子どもやペットを入れないよう注意が必要です。
シバゲンの注意点
効果の発現時期
シバゲンの使い方の注意点として、効果が現れるのが遅いことがあげられます。フラザスルフロン水和剤は遅効性のため、雑草が枯れるまでに春夏期で20~30日、秋冬期で30~40日程度かかります。散布後効果が出てないと思って、まき直しがないように気をつけてください。
庭木での使用
シバゲンの使い方としては、庭木や街路樹が生育している箇所での噴霧ができます。これは、茎葉処理剤として散布する際にドリフト(本来散布する植物以外に飛散すること)の影響が小さいことを指します。ただし、庭木や街路樹の新芽には薬害が発生するため、春時期の散布には注意が必要です。
西洋芝への使用
シバゲンDFはティフトン芝を除く西洋芝を枯らしてしまうため、使い方には注意が必要です。西洋芝が混合して設置されている場所では、ドリフトが起こらないよう細心の注意を払い、散布後の薬液についても近くに西洋芝など有用作物がない場所に流してください。
せっかく植えた西洋芝が枯れてしまったら大変!使い方を間違わないようにね!
芝生用除草剤の価格別表
シバゲンはわずか20gという量にもかかわらず、値段の高い除草剤だと思う人もいるでしょう。しかし、面積当たりの単価はほかの除草剤と比べても大きな差はありません。安全性についても使い方さえ注意すれば、使用は難しくないといえます。
除草剤名 | 価格 | 使用量 | 1へいほうめ当たり価格 |
MCPP液剤500mL (丸和バイオケミカル) |
2,480円 | 0.5~1.0mL/㎡ | 3.71円/㎡ |
グリーンアージラン液剤1L (石原産業) |
3,291円 | 0.4~1.25mL/㎡ | 2.71円/㎡ |
シバキープⅡ粒剤420g (レインボー薬品) |
1,014円 | 20~40g/㎡ | 72.4円/㎡ |
シバゲンDF20g (石原産業) |
3,450円 | 0.02g/㎡ | 3.45円/㎡ |
1㎡あたり価格は1mLおよび1g当たりの価格を算出して、使用量の平均値に乗算したもの
ボタニ子
くれぐれも、散布量を間違えないようにね!使い方は大切だよ。あとは、西洋芝かそうでないかもきちんと把握しておこう!
シバゲンで美しい芝生を保とう
シバゲンの有効性は非常に高く、値段も特別高価なものではありません。使用量や適期などの使い方を間違えなければ、薬害の心配もないでしょう。ハマスゲの侵入など、芝生の管理に手を焼いている方は、ぜひ一度試してみることをおすすめします。
出典:Wikimedia Commons