腐葉土の作り方
次は、具体的な腐葉土の作り方です。ここでは、空気が必要な微生物で発酵させる「好気性」腐葉土の作り方を説明します。ポイントをしっかりと抑えれば、意外と簡単に土作りができますよ。
腐葉土を作る際のポイント
量と水分量を正確に
少ない材料だと発酵熱が逃げるため、最小で畳1枚分、高さ50cm程度の量から始めましょう。発酵熱は中の雑草種や病原菌を死滅させます。水の分量は全体の50~60%までで、握ると水がじわっとにじむ程度が目安です。多すぎると葉が腐ってしまうので注意が必要です。
酸素により微生物を活性化させる
また、好気性微生物は酸素を使い葉を分解します。適切なタイミングで切り返しを行い、土壌の中に酸素を供給しましょう。熱の発生で水分が少なくなっているときは水を補給します。
腐葉土作りのポイント
- 作る量は少なすぎず
- 水の分量を正確に
- 切り返しにより空気を送って微生物を活発化させる
作り方①準備
まず、必要なものを準備しましょう。主なものは以下の通りです。
- 落ち葉
- 米ぬか
- 赤玉土(カキの殻や草木灰でもよい)
- もみがら(おがくずやビートモスでもよい)
- 古じゅうたんなど(熱を逃さないようにかぶせる)
- バケツ
- デジタル体温計
- スコップ
- シャベル
- 計量カップ
何種類かの葉を混合して使う
落ち葉は、発酵しやすい広葉樹(ブナ・ナラ・ケヤキなど)がおすすめです。竹や松などの針葉樹やイチョウは分解しにくいので、なるべく入れない方がよいでしょう。いろいろな種類の葉を入れる方が、多種多様の生物が共存する土壌環境になりますよ。
作り方②手順
腐葉土作りを成功させる鍵は、「分量を正確にはかること」です。
- 材料をはかって混ぜる(落ち葉7:米ぬか・赤玉土・もみがら各1)
- 全体の分量に対して、50~60%の水を入れてしっかり踏んで湿らせる
- 堆肥枠を作って入れるか、山積みにしてから古じゅうたんをかぶせる
- 始めは1週間後に切り返し、徐々に間隔を広げていく
- 温度が40度程度に安定したら月1回のペースで切り返す
※「野菜が甘く育つ土づくりPart2(P32~P33)」を参考
作り方③期間
完成までは、仕込みをしてから約1年かかります。手で触って葉の形がぽろぽろと崩れ、無臭か山林にいるような香りがすれば完成です。未完熟のものは、畑の中の窒素を使って発酵が続き窒素不足になるため、完熟したのを確かめてから畑にほどこしましょう。
嫌気性腐葉土について
嫌気性腐葉土の特徴
空気を必要としない「嫌気性」微生物である、酵母や乳酸菌などを使った方法もあります。好気性腐葉土と比べて有機物が腐りやすく、雑草種や病原菌が残る可能性はありますが、切り返しが不要で手間がかららず、低温で発酵させるため栄養分がより多く保たれます。
嫌気性腐葉土の作り方
嫌気性腐葉土は落ち葉と水に、嫌気性微生物を含むぼかし肥や発酵促進剤を混ぜ合わせて作ります。踏んで空気を抜きながら土のう袋に入れたら、水が蒸発しないように日陰の雨が当たらない場所に積んで、ビニールシートをかぶせて放置します。
腐葉土の使い方
腐葉土は畑で使うだけでなく、いろいろな用途があります。ここでは、実際にどんな使い方をするのか具体的に見ていきましょう。
使い方①植える前の土づくりに
腐葉土は元肥として作物を植える前に用いることで、土壌改良して水はけ・水持ちがよく、保肥能力がある良質の土に生まれ変わります。腐葉土は畑にある程度多めに混ぜても問題ありませんが、根の支持力を保つため2割から3割程度にしましょう。
使い方②マルチ代わりに使う
冬場の寒さ対策のため、ビニールマルチや抜き取った雑草・稲わらを使って保温される方も多いでしょう。腐葉土には空気が含まれているため、保温効果がありマルチ代わりに使えます。風などで飛ばされやすいため注意が必要です。
使い方③カブトムシの幼虫を育てる
広葉樹の葉のみで作ったものを使う
カブトムシの幼虫を育てるためには、広葉樹の葉のみを使用したものを使いましょう。針葉樹の葉の中には、虫を死滅させてしまう成分が含まれているものもあります。市販のものを使用する場合は、殺虫成分が入っていないか確認することが大切です。
腐葉土の入れ替え方法
産卵から幼虫の活動期である10月・11月の間は、1ヵ月~1ヵ月半に1回腐葉土を入れ替えます。乾燥していると食べにくいので、適度な水を入れて混ぜ合わせましょう。土を握って形がまとまる程度が理想です。
まとめ
腐葉土を作るには時間と手間がかかりますが、土がふかふかになることで大きくて優しい味の野菜が育ち、病害虫が発生しにくい畑になります。あなたの家庭菜園でも、土から手作りの野菜を育ててみませんか?きっと、その野菜で作った料理の味は格別なものとなるでしょう。
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出典:写真AC