日向土(ひゅうが土)とは
宮崎県でつくられる軽石の一種
日向土(ひゅうが土)は黄褐色で多孔質の園芸用の軽石の一種で、ボラ土という名称でもよばれている土です。日向土の産地は九州の宮崎県で、宮崎大地の下層土を天日干ししたものです。日向(ひゅうが)とは昔の地名で、現在の宮崎地方のことですので日向土(ひゅうが土)とよばれています。
基本用土の欠点を補う改良用土
日向土(ひゅうが土)は園芸の土の分類では、改良用土とされています。改良用土とは基本用土の欠点を補うための用土のことで、一般に基本用土に混ぜて使います。基本用土とは栽培の基本となる土のことで、赤土や黒土、赤玉土、鹿沼土などの火山灰土がこれにあたります。
日向土(ひゅうが土)の特徴
水はけがよいが保水性が悪い
日向土(ひゅうが土)は軽石の一種で粒の中に小さな穴が無数にあいており、とても水はけがよいです。また通気性もよいです。しかし保水性が悪く、肥料もちが悪いです。野菜などを育てる農業では、保水性が悪く邪魔になる存在の土であったため、役に立たないという意味のボラ(土)とよばれるようになりました。
硬くくずれにくい
根腐れ防止になる
日向土(ひゅうが土)は硬く粒がくずれにくい特徴があります。粒がくずれると粉になってすきまのない土になってしまいます。その結果、水はけや通気性が悪い状態になり根腐れの原因になります。日向土(ひゅうが土)はくずれにくいので、根腐れ防止の目的で使われます。
いろいろな粒の大きさ別に販売されている
日向土(ひゅうが土)は硬くくずれにくいため、いろいろな粒の大きさ別に袋分けされて販売されています。細粒(2〜3mm)、小粒(3〜6mm)、中粒(6〜12mm)、大粒(12〜25mm)と分けられているので用途によって使いわけます。
これは大粒です。
pH(酸度)は弱酸性
ph6前後
日向土(ひゅうが土)のph(酸度)は6です。中性がph(酸度)7、それより数字が小さくなると酸性、数字が大きくなるとアルカリ性ですので、日向土(ひゅうが土)は弱酸性です。
園芸栽培に最適のph
土をふかふかの状態にする微生物や細菌の多くは、ph(酸度)5.0〜6.5を好みますので、日向土(ひゅうが土)は園芸栽培に適したph(酸度)といえます。比較的酸性よりを好む植物、アルカリ性を好む植物もありますが、ほとんどの園芸栽培で土の酸度調整を気にせず使うことができます。
軽い
日向土(ひゅうが土)は軽石の一種で、その名の通りとても軽いです。粒のなかにたくさん穴のあいた多孔質だからですね。鉢植えなどに使う際に、軽くなり持ち運びやすくなります。
日向土(ひゅうが土)の特徴
- 水はけがよい
- 保水性が悪い
- 肥料もちが悪い
- 硬くくずれにくい
- phは6前後の弱酸性
- 軽い
日向土(ひゅうが土)の用途・使い方
日向土(ひゅうが土)の用途と使い方について具体的にご紹介します。
鉢底石に使う
植物の根腐れ防止になる
大粒の日向土(ひゅうが土)は鉢底石として売られている軽石や黒曜石の代わりに使うのがおすすめです。通気性があり水はけがよいので、植物の根腐れを防ぐことができます。日向土(ひゅうが土)は硬くくずれにくいので、粒の間にすきまができて鉢底石に最適です。
大粒の方が水はけがよい
鉢穴の上に害虫の侵入をふせぐための網をしき、その上に日向土(ひゅうが土)を入れます。粒の大きさは中粒か大粒を鉢の大きさや植物にあわせて選びます。大粒の方がすきまができるので、より水はけがよくなります。
草花や野菜の栽培に使う
日向土(ひゅうが土)を赤玉土と腐葉土に混ぜて使います。この場合、粒の大きさは細粒のものを使います。土の配合割合は、日向土:赤玉土+腐葉土=3:2くらいです。植え込みの際に長く効く肥料を底の方の土に混ぜ込んでおくとよいでしょう。鉢底石には大粒か中粒の日向土(ひゅうが土)を使うと水はけがよくなります。
多肉植物の栽培に使う
多肉植物は根腐れしやすい
日向土(ひゅうが土)は近年多肉植物を育てる人の間で人気の土です。多肉植物の一番よくある失敗は根腐れで、特に小さな容器でそだてようとすると根腐れをおこしやすいですが、日向土(ひゅうが土)を使うと根腐れの心配が少なくなります。
多肉植物の植え方
多肉植物の土には日向土:赤玉土+腐葉土=7:3くらいに配合します。粒の大きさは細粒がおすすめです。まず鉢底石には大粒か中粒の日向土(ひゅうが土)を入れます。つぎに植え込みの際に長く効く肥料を混ぜ込んだ配合土を少し入れます。最後に植物を配合土で植え込みます。
ラン類の栽培に使う
ラン類の土の配合は、水ゴケや軽石、バークを混ぜたものを用います。しかし水ゴケは2年くらいで傷んでしまうのでとりかえなければならず、最近価格も高めですので、代わりに日向土を用いることがおすすめです。鉢底石に大粒の日向土(ひゅうが土)を入れ、日向土:ラン用バーク=8:2の配合土で栽培します。日向土(ひゅうが土)の粒の大きさは中粒を用いますが、株が大きくなったら大粒にします。
花木・盆栽の栽培に使う
日向土(ひゅうが土)は花木・盆栽の栽培にもおすすめです。花木・盆栽には、肥料分が少なく雑菌のない土が適していますので、日向土(ひゅうが土)が適しています。土の配合割合は日向土:赤玉+腐葉土=3:2くらいで、粒の大きさは細粒か小粒を用います。鉢底石に日向土(ひゅうが土)の中粒か大粒を入れます。
日向土(ひゅうが土)と鹿沼土(かぬまつち)の違い
日向土(ひゅうが土)と同様に水はけがよい鹿沼土という土があります。日向土(ひゅうが土)との違いについて以下にまとめてみました。
基本用土と改良用土の違い
鹿沼土は日向土(ひゅうが土)と同様に水はけのよい土ですが、基本用土として使われる土です。基本用土とは植物栽培の基本となる土です。水はけを好む植物に単独で使うことができますし、赤玉土などと混ぜて使うこともできます。日向土(ひゅうが土)は改良用土でしたね。鹿沼土の産地は栃木県鹿沼地方。関東ローム層でとれる軽石状の黄土です。軽石状ですので、水はけがよいです。
保水性の違い
鹿沼土と日向土(ひゅうが土)は同様に水はけのよい土ですが、保水性が違います。鹿沼土は日向土(ひゅうが土)に比べると保水性があります。水はけと保水性のバランスがよいともいえる土です。保水性がよいことから、肥料もちもよくなります。日向土(ひゅうが土)は保水性が悪いので肥料もちも悪くなります。
ph(酸度)の違い
鹿沼土はph4〜5で酸性の土です。日向土(ひゅうが土)より酸性よりですね。酸性を好む山野草やブルーベリーの栽培には適していますが、酸性土を嫌う植物には使うことができません。水はけをよくするために赤玉土に混ぜて使われることが多い土ですが、酸性土を嫌う植物には鹿沼土の代わりに日向土(ひゅうが土)を使うことがおすすめです。
硬さの違い
鹿沼土は日向土(ひゅうが土)と違い、やわらかく崩れやすいです。水はけのよい鹿沼土ですが、くずれると粉になってすきまのない土になってしまいます。よって鹿沼土はその水はけのよさが長く続かないので、土を適宜入れ替える必要があります。日向土(ひゅうが土)はくずれにくいので、水はけのよさを長く保つことができます。鹿沼土の代わりに日向土(ひゅうが土)を使うと土の入れ替えの手間を省くことができますね。
ひゅうがつち | 鹿沼土 | |
土の種類 | 改良用土 | 基本用土 |
産地 | 宮崎県(日向) 宮崎大地の下層土 |
栃木県鹿沼地方 関東ローム層 |
形状 | 黄褐色、軽石状(多孔質) | 黄土、軽石状(多孔質) |
水はけ | ◎ | ◎ |
保水性 | 悪い | 適度にある |
ph(酸度) | 6 | 4〜5 |
硬さ | 硬くくずれにくい | やわらかくくずれやすい |
日向土(ひゅうが土)の値段
日向土(ひゅうが土)は手頃な価格の土です。小さな多肉植物の寄せ植えをつくるのでしたら、2ℓのものが200円くらいで購入できます。
まとめ
日向土(ひゅうが土)は、かつては役に立たないという意味のボラ(土)と名付けられてしまいましたが、現在はその特徴を活かして重宝される存在の土となっています。
日向土(ひゅうが土)とは?
- 日向土とは「ボラ土」ともよばれる軽石
- 日向土の産地は宮崎県
- 日向土は水はけがよさが長く続く
- 日向土は保水性が悪い
- 日向土のphは6前後の弱酸性
- 日向土は多肉植物の栽培におすすめ
- 日向土と鹿沼土の違いは保水性、ph、硬さ
これは細粒です。