さつまいも栽培<収穫>
収穫時期
収穫時期は、植え付けてから120日ほど経った10月~11月頃です。マルチング栽培は成長が早いので9月下旬頃から収穫できます。畝の端を掘り返して太さを確認してみましょう。初霜が下りるまでに全部掘り終えるようにします。霜に当たると、いもが腐ってしまうのが理由です。作業は、晴れた日の午前中に行うのがいいですね。
収穫の手順
まず、株元でつるを切り取ります。この作業は収穫1週間前にしておくと、なおいいでしょう。理由は、養分をいもに貯めるためです。次にスコップで、いもを傷つけないように掘り上げます。小さなガーデンスコップや手も使って、丁寧に収穫しましょう。収穫したら、新聞紙などに広げて乾かし、日が暮れる前に取り込みます。乾かす理由は、しめったまま保管するとカビがつきやすいからです。
収穫後に熟成
収穫してすぐは、まだ水分が多くて甘くないと感じます。すぐに食べずに、少し寝かせましょう。理由は、熟成させるとデンプンが糖に変わり、甘くなるからです。保管方法は、土を手ではたく程度で水洗いせずに新聞紙などにくるみ、通気性のよい場所に2~3週間置きます。
さつまいも栽培<失敗と対策>
失敗①つるぼけ
つるぼけとは、つるが必要以上に伸びて葉も繁り過ぎてしまう状態です。さつまいもだけでなく、かぼちゃなどもつるぼけになることがあります。順調に生育しているように思えますが、つるぼけになると肝心のいもに養分が回らず、太らないことがあるのです。
つるぼけの原因
つるぼけの原因は肥料の多すぎが考えられます。とくに葉肥えとよばれる窒素分が多いと、つるぼけを起こしがちです。また、肥料をほとんど与えていなくても、つるぼけになることがあります。雨の日が続くことによる日照不足と降水量の多さが原因です。
つるぼけ対策
窒素の割合が少ない肥料か、窒素・リン酸・カリが同率で配合されている肥料を施します。肥沃な土地なら、肥料なしでもいいでしょう。つるぼけになったら必ずつる返しをして、余計な不定根が増えないようにします。
失敗②小さい・少ない
いもが小さい原因と対策
収穫まで120日は必要です。初霜が降りるまでに収穫し終えなければならないので、植え付けが遅いと太くなる時間が足りず小さいままです。また、つるぼけで余計な根を出させると養分が分散して、いもが小さくなってしまいます。つる返しを必ずしてあげましょう。
収穫量が少ない原因と対策
1つの苗からの収穫が少ないのは、つる苗の節が少なすぎたことが原因でしょう。土に埋めた節から出た根を太らせて収穫するので、節が少ないと収穫も少なくなります。3~4節部分まで埋めるように植えつけると、収穫を増やせます。
量と太さの関係
同じ苗でも、植え方で量と大きさに若干の違いが生じます。つるを水平に植えると収穫量が増えますが、いもの大きさは若干長細くなりがちです。垂直に植えると量は少なくなりますが、いもは太くなります。
失敗③虫食い跡がある
虫食い跡の原因
さつまいもの食害は、コガネムシやコメツキムシの幼虫などの仕業でしょう。虫食い跡があっても、その部分を取り除けば食べられます。とはいっても、きれいな状態で収穫したいですよね。被害にあってからでは遅いので、できるだけ予防しておきましょう。
虫食い対策
育てる前の予防・対策は、土の中に住み着かせない、近くに卵を産ませないように工夫することです。
- 耕す際に、土の中に幼虫がいないかチェックして取り除く
- よく耕し畝を高くする(理由:土中が過湿状態にならないようにする)
- 有機肥料を使わない(理由:有機肥料には虫が寄ってきがち)
- 赤シソを一緒に植える(理由:ビロウドコガネムシが嫌がる)
ボタニ子
コガネムシの幼虫は、カブトムシやクワガタの幼虫に似てるよ!
失敗④枯れる
枯れる原因
植え付け直後、根付くまでに葉の1部が枯れるのは問題ありません。また、収穫間近になると黄色く色づいて枯れるのでこちらも自然です。ただ、葉やつるの繁茂期に、萎れ気味に枯れる場合は、病気が原因の可能性があります。
立ち枯れ病対策
立ち枯れ病は、葉が黄色くなって萎れ、やがて全体が枯れる病気です。糸状菌による病気です。頻繁に発生するわけではありませんが、もし見つけたら隣の苗が感染して枯れる前に、根こそぎ取って処分しましょう。予防としては、ネギを一緒に植えると病原菌を抑える効果があります。
失敗⑤甘くない
甘くない原因その1
収穫直後のさつまいもは、まだそれほど甘くないので、少し置いてから食べましょう。1~2週間寝かせておくと、デンプンが糖化して甘くなります。また、品種によってはそれほど甘くない種類もあります。
甘くない原因その2
甘くない原因としてもう1つ考えられるのは、肥料の与えすぎです。家庭菜園は、前に栽培したときの肥料が残っていたり、土壌自体が豊かであったりする場合もありますね。さつまいもは、肥沃な土地よりも痩せ地で育った方が甘くなる傾向があります。
出典:写真AC