ソメイヨシノの特徴
落葉高木に分類され、樹高は約10m〜15mほどに成長します。公園や学校、庭のシンボルツリーや街路樹としても広く利用されている有名な桜です。学校にも植えられているので小学生や中学生にも馴染みの深い植物ではないでしょうか?そんなソメイヨシノの花や葉、実の特徴についてご紹介します。
花
開花時期は3月〜5月で、気温や地域によって毎年異なります。ソメイヨシノの開花は「桜前線」の基準にもなっており、桜の開花情報を調べるには欠かせない存在です。花弁は5枚ではじめは淡いピンク色をしていますが、花の寿命が近づくと白色に変化していきます。花の寿命はとても短く、大雨が降ったり強風が吹いたりするとすぐに散ってしまうのが特徴です。
花びらは「桜笛」になる
なるべく大きめの花びらを探し、花びらの両端を優しく引っ張り口に当てて息を吹きこんでみてください。ソメイヨシノの花びらが振動して「ピー」や「プー」という高くてかわいらしい音が出ます。花の寿命が短く、春にしか楽しめない「桜笛」をぜひ試してみてはいかがでしょうか。
葉
葉は卵型の楕円形で、茎に交互につく「互生(ごせい)」という付き方をしています。先が尖っており、葉裏と葉柄には細くて短い毛がたくさん生えているのが特徴です。春の開花が終わると新緑の葉を茂らせ、秋には黄色やオレンジ色に紅葉します。落葉樹のため冬にかけて葉が落ち、枝だけの状態で冬越しします。
桜餅に使われている葉は「オオシマザクラ」
桜餅に使われている塩漬けにされた桜の葉は、ソメイヨシノの葉ではありません。桜の中でも有名なソメイヨシノですが、葉が硬く毛が生えているため食用には向かない品種です。そのため桜餅には葉が柔らかく、毛が生えていない「オオシマザクラ」という品種の桜の葉が使われています。
実(サクランボ)
自家受粉ができない性質のため、あまり実はつけません。しかし条件が重なると稀に花後に実がなる場合があります。ソメイヨシノの実は1cmほどの大きさで酸味が強く、食べても苦みや渋みがあるだけでおいしくないので食用には適していません。食用のさくらんぼについては、下の記事を参考にしてみてくださいね。
ソメイヨシノの繁殖方法
ソメイヨシノは品種改良されて作られた桜です。原木は「大島桜」と「江戸彼岸桜」で、鑑賞価値を高めるために原木同士を交配して作られました。この原木で作られたソメイヨシノを元にしてクローンで繁殖しているため、開花時期が揃うともいわれています。寿命は約60年とされ、人の手を借りて繁殖させる必要があります。そんなソメイヨシノの繁殖方法は以下のとおりです。
接ぎ木
ソメイヨシノの繁殖方法でもっとも有名なのが接ぎ木という方法です。接ぎ木は土台となる原木にソメイヨシノの枝を差し込み人為的に合体させる方法で、主にオオシマザクラが原木として利用されています。接ぎ木は2月下旬〜3月上旬に行いましょう。
取り木
ソメイヨシノの幹を1周ぐるっと切り取り、表皮を剥がします。切り取った部分に水苔(みずごけ)などを巻きつけてください。しばらくして切り取った部分から十分に発根したら、親株から切り離して土に植え付けます。取り木での繁殖方法は病気や害虫被害を受けやすいので、しっかりと管理してください。
挿し木
挿し木を行うのは6月下旬〜7月上旬が適期です。緑色をした若くて健康な枝を選び、15cm〜20cmの長さで切り取ります。下の方についている余分な葉を取り除けば「挿し穂」の完成です。赤玉土などの挿し木用の用土を準備して、挿し穂を挿したっぷりと水を与えて発根をまちましょう。桜を挿し木で増やす方法について、詳しくは以下の記事も参考にしてみてください。
次のページでは、ソメイヨシノの名所をご紹介します。