フレンチラベンダーは、ぽってりとした花穂の先にある、ひらひらとしたウサギの耳のような部分が愛らしい鑑賞用のハーブです。ラベンダーの中では寒さには弱いですが、暑さには強い品種なので、日本では関東以西の暖地でよく育てられています。
園芸部類 | ハーブ |
形態 | 多年草 |
樹高・草丈 | 20~80cm |
花の色 | 紫、白、ピンク、青 |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | やや強い |
特性・用途 | 暖地向き、鑑賞用 |
栽培難易度 | ★☆☆☆☆ |
この花のことを「闇落ちエビフライ」と呼んでたんだけどフレンチラベンダーというかわいい名前があったのね、ごめんね pic.twitter.com/xTBMtuTDSX
— 牛人 (@ushihito) May 13, 2020
フレンチラベンダーの大きな特徴は花穂の上のウサギの耳のような部分です。これは花びらのようにも見えますが、苞葉(ほうよう)という、花穂を守るための葉っぱです。湿気と寒さが苦手で、カラッと乾燥した暖かい気候を好みます。香りはほかのラベンダーよりも弱めです。
ラベンダーという名前は、ラテン語の「洗う(lavare)」に由来します。古代ギリシャ・ローマの人々は、洗濯に殺菌や芳香付けのためラベンダーを取り入れていました。ラベンダーの原産地は地中海沿岸ですが、栽培は主にフランスで行われているので、コモンラベンダーなどと分類する際、フレンチラベンダーと名付けられました。
植え付け時期 | 3~5月頃 |
植え替えの時期 | 12~4月頃 |
肥料の時期 | 4~7月頃 |
剪定の時期 | 5~7月、9月、12月頃 |
収穫時期 | 5~7月頃 |
フレンチラベンダーは庭植え、鉢植えともに育てられますが、季節や天候にあわせて場所を移動できる鉢植えのほうがおすすめです。3~5月に元気な苗を植え付けます。乾かし気味に育てるので、ほかの植物との寄せ植えは向いていません。
株がどんどん大きく育つので、地植えをするときは株間を50cm以上開け、40cmほど深く耕した上に水はけがよくなるように盛り土をして植え付けます。
鉢は、蒸れにくい素焼き鉢を選びましょう。初めは苗より一回り大きいサイズの鉢に植え、成長にあわせて大きなものに変えていきます。
鉢植えで栽培する場合、梅雨の長雨の時期は屋根の下に、冬の霜の頃には屋内に移動します。室内で育てる場合は、日当たりのよい場所に置き、外の風にも時々あてましょう。
置き場所、植え場所ともに風通しのよい日当たりを好みますが、強い日差しは苦手なので、夏の直射日光や西日は避けましょう。
フレンチラベンダーは酸性の土が苦手です。地植えの場合、植える2週間前に土に苦土石灰をすきこみ、アルカリ性にします。また赤土ならば腐葉土とパーライトを混ぜ、水はけをよくします。鉢植えには、ハーブ用やラベンダー用の専用土がおすすめです。
フレンチラベンダーの生育適温は12~30℃です。ほかのラベンダーより早春に咲き始め暑さには強いほうですが、湿気と寒さには弱いので過湿と防寒に気を付けて育てます。
湿気の苦手なフレンチラベンダーの水やりは、基本的に土の表面が乾燥してから与えます。植え付けや植え替え後には根が定着するまでひと月ほど毎日水やりしますが、その後は地植えの場合はほぼ降雨任せにします。ただし、乾燥させ過ぎても枯れてしまうので、放置せずに様子を見ましょう。
フレンチラベンダーはあまり肥料を必要としません。生育旺盛な4~7月に液体肥料を与える程度で十分です。
主な害虫はハダニやアブラムシ、カイガラムシ、ヨトウムシなどです。食害だけでなく、病気をもたらすので、枯れてしまわないように見つけ次第駆除しましょう。ほかのラベンダーは香りが強く、防虫に用いられますが、フレンチラベンダーは香りが弱いので悪い虫が寄ってくるようです。
主な病気はうどん粉病、灰色かび病、疫病です。それぞれ症状や薬剤は異なりますが、まずは病気にかかった部分を切り取り、それ以上感染させないように対処しましょう。症状が根元の場合は周囲の土ごと取り除きます。主な病気は水はけと風通しに注意すれば予防できるので、快適な環境作りをして管理します。
フレンチラベンダーは苗から育てるのが一般的です。春先に株がしっかりとして節間がつまっているもの、花や葉の数が多くて全体の形のよいものを選びましょう。
フレンチラベンダーは成長が早いので、秋から春までの休眠期に一回り大きな鉢に植え替えます。鉢が大きすぎるとその分、水分が過剰になってしまうので、少しずつ大きくしていきましょう。植え替え時に剪定して古い枝や枯れた枝を整理します。
開花後すぐに収穫もかねて花穂を脇芽の上で切り戻すと、その後の花も次々咲きます。残して咲かせた枝も、夏に入る前に切って、風通しをよくしましょう。
フレンチラベンダーは春の早い時期から開花するので、なるべく秋のうちに根元に近い部分の新芽を残して、短く強剪定をします。根元が木質化して、上だけに花が咲くバランスの悪い株にならないために、強剪定は大切です。
夏前に花後の枝を整理して、蒸れないように風通しよく管理します。強い直射日光や梅雨の長雨に当たらないように、地植えの株は傘や覆いをかけ、鉢植えの株は軒下に移動するとよいでしょう。暑い時間帯の水やりは避けます。
寒さには弱いので北風や霜を避け、根元に腐葉土やわらなどでマルチングして株を守ります。鉢植えの株は室内に入れますが、水枯れに注意しましょう。
フレンチラベンダーは挿し木で増やしましょう。開花前の3~5月頃、しっかりした枝の先から7~8cmのあたりでカットします。2~3時間水に浸けてから挿し木用の土に植え、土が乾かないように管理して発根を待ちます。