楓はムクロジ科カエデ属の総称で、約180種がおもに北半球温帯地方に分布しています。日本の庭や盆栽でよく見られる楓は、さらに園芸用に改良された品種です。庭などに植えて観賞したり生垣にしたりするほか、街路樹、木材、樹液をシロップにするなどの用途があります。
楓と紅葉の違いは?
楓(カエデ)と紅葉(モミジ)は学術上は分類がありません。どちらも分類は楓です。園芸界では、葉の切れ込みが深い品種を紅葉、切れ込みが浅い品種を楓と呼び、区別することがあります。園芸界にも細かい決まりはなく、見分け方は諸説あります。
園芸部類 | 庭木、花木 |
形態 | 高木 |
樹高・草丈 | 5~25m |
花の色 | 赤 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 弱い |
特性・用途 | カラーリーフ、盆栽向き、シンボルツリーなど |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
楓は気温が下がると、葉の色が赤や黄などに変わり落ちるのが特徴的です。葉は「対生」であり、単葉で手のひらのように裂けて切れ込みがあります。まれに葉に切れ込みのないものや、1年を通して葉の色が変わらない品種もあります。
ハウチワカエデ(メイゲツカエデ) 実生苗 小苗
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ハウチワカエデは、切れ込みが浅く幅が広い葉が特徴的で、おもにブナ林などに自生しています。秋に葉の色が半分緑、半分黄や赤と美しく変化して、最後にすべて赤くなり散っていきます。主な用途は庭木やシンボルツリーです。
最終樹高 | 10~15m |
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イタヤカエデ苗木 高さ30cm〜50cm程度◆【6ヶ月枯れ保証付き】
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イタヤカエデは楓のなかでも成長が早く高木になることから、庭や公園に植えられるほか、木材としてもよく使用されています。秋に葉の色が鮮やかな黄色に変わります。
最終樹高 | 6m |
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唐楓(トウカエデ)は中国原産の楓です。成長とともに樹皮がはがれていくのが特徴的で、庭木のほか公園の緑化や街路樹として植えられています。盆栽の世界では、楓といえば唐楓のことをさすことがよくあります。
最終樹高 | 7m |
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植え付け、植え替え時期 | 12~3月 |
施肥の時期 | 12~2月 |
剪定の時期 | 11月下旬~2月初旬 |
花が咲く時期/開花時期 | 4月中旬~6月中頃 |
楓の植え付けや植え替え、剪定、施肥は冬の休眠期が適しています。休眠期とされる12~2月に作業すると、樹木への負担が少なくなります。
楓は鉢植え、露地のどちらでも育ちます。おもに、庭やシンボルツリー、公園の緑化や街路樹に利用されます。盆栽として仕立てることもできます。
楓は基本的に、害虫や病気を防ぐために風通しのよい屋外で育てましょう。鉢植えや盆栽などを室内に飾るときは、乾燥を防ぐために、エアコンなどの風が直接当たらない場所に置きます。
楓はどこに植えても大丈夫?
楓は、日向から半日陰の場所で育てましょう。日陰でも育ちますが、夏の日照時間で秋の葉色の鮮やかさが決まります。乾燥に弱いため、基本的に夏の強い日差しが一日中当たり続ける場所や西日が当たる場所は避けましょう。エアコンの室外機の近くも要注意です。
ボタニ子
楓は水はけと水もちのバランスがよい肥沃な土で育てましょう。楓を地植えにするときは、植え付けのために掘り上げた土に腐葉土と、たい肥をまぜた土を用土として使います。鉢植えにするときは、市販の園芸用の土か赤玉土7、腐葉土1、黒土2の割合で配合します。
植え付け直後と降雨が極端に少ないときは、たくさんの水が必要です。鉢植えの楓は1日1回を基本に水やりをします。冬は土の乾燥、真夏は水切れに注意して、朝と夕方の1日2回水を与えましょう。
ボタニ子
楓は水切れをおこすと葉が茶色くなり枯れてきます。
楓には落葉後すぐ寒肥として緩効性肥料を施しましょう。地植えの楓は肥料を与えなくても育ちますが、株を大きくしたいときは、4~5月、9~10月にも同様に肥料を施します。
楓にはテッポウムシ、アブラムシ、シャクトリムシ、ミノムシなどの害虫が発生します。カミキリムシの幼虫、テッポウムシは幹の中を食べてしまい楓が枯れてしまうことがあります。日頃から害虫を予防して、見つけたら早めに駆除しましょう。
楓にはすす病やうどん粉病が発生します。すす病は害虫の排泄物が堆積して、葉が黒くなる病気です。うどん粉病はカビが原因で白い粉をふったように葉が白くなる病気で、葉が乾燥すると発生しやすく、きれいに紅葉しなくなります。葉が乾燥しないように、葉水をして予防しましょう。
楓は通常は苗を購入して育てます。楓の苗は、50cm程度~2m前後の大きさまでさまざまなサイズや品種が販売されています。あまり大きな苗を個人で購入すると、穴を掘って植え付ける作業が難しくなるので注意しましょう。
地植えにした楓は植え替えの必要がありません。鉢植えの楓は、2年に1回を基本に、ひと回り大きな鉢に植えます。若い木や小さい木は根詰まりしないように、1年に1回植え替えましょう。
楓は葉が落ちた11月下旬~2月初旬までに剪定をしましょう。風通しをよくして中の枝に日が当たるように、伸びすぎた枝や混み合う枝を剪定します。冬以外にどうしても伸びすぎた枝を整えたいときは、7月初旬までに手で枝を折り軽く樹形を整えましょう。
高木になる楓は、休眠期に好みの高さで切りましょう。盆栽や鉢植えの楓は、3~5月頃に新芽をつんで樹形を整えます。新芽を丁寧に開き、ピンセットで根本の芯葉を2枚残して中の芽を摘み取りましょう。
夏は楓に葉水を与えて葉の乾燥を防ぎましょう。鉢植えや盆栽の楓は西日の当たらない場所で管理します。楓は暑さに強い樹木ですが、真夏の強い日に当たると葉焼けして、葉が枯れてくることがあります。
庭植えの楓はそのまま冬を越します。鉢植えや盆栽の楓は、霜に当たると弱る場合があるので、室内の半日陰に置いて管理しましょう。
楓の増やし方は、花後にできる種からと、挿し木の方法があります。
楓は苗を購入して育てるのが普通ですが、育てると花後に種ができるため、その種をまくと芽が出ます。秋に種をとり、湿らせた砂の中にうめて冬を越します。翌年の3月頃に種を出し、1日以上水に浸したあとに、種まき用の土を入れたポットにまきましょう。
楓は挿し木で増やします。5~7月下旬に春に伸びた硬くなる前の枝を10~15cm切ってさし穂を作ります。楓は発根率が低いので、発根促進剤を塗布して清潔な用土に挿しましょう。直射日光や強い風の当たらないところで、乾燥しないように管理します。
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コハウチワカエデは、ハウチワカエデよりひと回り葉が小さい楓です。葉の色は春のライムのような色から、秋は日当たりにより赤や黄などさまざまな色が楽しめます。庭植え、鉢植えのどちらにも適しています。
最終樹高 | 6m |
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楓の葉は乾燥すると秋に美しい色に変わりません。