シャクトリムシ(尺取り虫)とは?
幼い頃木に黒いイモムシのような「シャクトリムシ」を見かけたことはありませんか?シャクトリムシは、黒い見た目や毛が生えているものもいますが、私たちに直接害を与えることはありません。しかし植物の葉や果物などを食べて大きな被害に繋がる害虫でもあります。まずはそんなシャクトリムシの生態や尺取り虫と名付けられた由来までしっかりとご紹介します。
基本情報
目 | チョウ目 |
科 | シャクガ科 |
種類 | 約800種類 |
成虫の姿
シャクトリムシの成虫は、皆さんもよく知る「蛾」です。蛾は日本に約6000種類以上も存在しており、その中でもシャクトリムシは約800種類が生息しています。
特徴
尺取り歩行
シャクトリムシは「尺取り歩行」と呼ばれる歩き方が特徴です。ナメクジやイモムシの歩き方とは違い、体全体を曲げたり伸ばしたりしながら前進します。その姿が輪(ループ)のように見えるため、英語ではルーパーと呼ばれています。
擬態化
シャクトリムシは黒い見た目のものだけではなく、中には擬態化するものがいます。例えば木の枝に擬態化して身を隠したり、鳥の糞のような模様にも擬態化したりと天敵から身を守ります。駆除する際もしっかりと確認しないと気づかないかもしれません。
生態
1年間の動き
幼虫は年間3〜4回、4〜10月の時期に発生します。特に6〜7月と9〜10月に多く発生します。そして秋には土に潜って蛹になり冬を越します。蛾の卵は鮮やかな緑色をしており、葉脈や茎の分かれ目などに産みつけます。
生息場所
シャクトリムシは基本的に雑木林などに生息しています。4〜5月の若葉が生い茂る時期には、多くのシャクトリムシが葉を食べて成長します。だいたい私たちの目の届くほどの高さにいるので、ぜひ探してみてくださいね。
由来
シャクトリムシ(尺取り虫)の名前は、伸び縮みさせながら移動する尺取り歩行が由来しています。昔は長さを測る際に、人差し指と親指を開いたり閉じたりして測る方法がありました。その測り方がシャクトリムシの尺取り歩行と似ており、尺取り虫と名づけられました。尺取りの「尺」は長さを測るものさしを意味し、長さを測ることは尺を取ることを意味します。
シャクトリムシの被害
シャクトリムシの被害にあった際は、早期駆除が1番のポイントです。早い時期に食害を食い止めれば、被害はあまり大きくなりません。そのためにまずは、どの時期にどのような症状が出るのかなど、シャクトリムシの発生について詳しくご紹介します。
発生時期
月 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 1 | 2 |
ヨモギエダシャク | × | × | × | × | × | × | ||||||
ユウマダラエダシャク | × | × | × | × | × | × | × |
シャクトリムシは種類によって多少の前後はありますが、だいたい4月〜10月の春の時期に発生します。食害にあってしまうと、せっかく元気に育っていた植物も枯れてしまうので、この時期は特に注意してシャクトリムシがいないか確認しましょう。
症状
葉がかじられている
シャクトリムシの多くは集団でいることが少なく、分散して1匹で植物をかじり食害をもたらします。また成長した幼虫は食害の量も多く被害が大きくなってしまいます。最悪全ての葉を食べ尽くされることもあるので、注意してくださいね。
蕾がかじられている
きれいな蕾がえぐるようにかじられていたら、それはシャクトリムシの仕業です。えぐれた部分はぽっかりと黒い穴が空いてしまいます。
発生しやすい場所
シャクトリムシは基本的に植物の葉に発生します。また背が高い木の場合も、目の届くあたりにいることが多いので、ていねいに確認しましょう。
ボタニ子
次のページではシャクトリムシの種類別にその生態や食害についてご紹介します!