モッコウバラは、中国を原産とする一季咲きのつるバラです。日本へは江戸時代に渡来しました。バラの一種ですが、トゲがなく丈夫で育てやすいため、初心者にも扱いやすい品種として知られています。生育旺盛で大きく成長するつるバラで、アーチやフェンスに誘引して育てるのが一般的です。
園芸部類 | 庭木 |
形態 | つる性低木 |
樹高・草丈 | 2m~10m |
花の色 | 黄、白 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 常緑性 |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
モッコウバラは開花時期を迎えると、黄色、または白い小さな花が房咲きします。非常に花付きがよく、満開時は株が花の色に染まるほどです。モッコウバラは「黄色の一重咲き」「黄色の八重咲き」「白の一重咲き」「白の八重咲き」の4種類があります。よく見かけられるのは黄色の八重咲きですが、基本種は白の一重咲きです。
モッコウバラの名前は、原産地中国での名前「木香花(モッコウカ)」に由来しています。モッコウバラの香りが、「木香(モッコウ)」というインド原産の多年草に似ていることからつけられました。ただし、モッコウバラで香りがあるのは白花品種だけです。
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黄色い八重咲きのモッコウバラは、4種類のモッコウバラのなかで、もっとも多く流通している品種です。一重咲きの品種もあり、花色から「キモッコウバラ(黄木香薔薇)」とも呼ばれています。花付きが抜群によいのがこの種の特徴です。強健でトゲがなく、育てやすい品種ですが香りはありません。秋篠宮家のご長女・眞子様のお印(しるし)の花としても有名です。
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一重咲きの白いモッコウバラは、モッコウバラの基本種とされている品種です。八重咲きの白花品種もあります。キモッコウバラとの大きな違いは芳香があることです。花付きもよいことからホワイトガーデン作りにもよく用いられています。キモッコウバラと基本的な育て方はあまり変わらないので、好みと庭の雰囲気にあわせて選びましょう。
植え付け時期 | 10月~11月 |
肥料の時期 | 新芽が伸びる早春、開花後~9月 |
誘引の時期 | 剪定後~秋頃 |
剪定の時期 | 開花後~7月、12月~1月 |
花が咲く時期/開花時期 | 4月~5月頃 |
モッコウバラの開花時期は?
地域やその年の気候にもよりますが、モッコウバラは黄花品種と白花品種とで、開花時期が少し異なるのが特徴です。黄花品種が4月中旬~5月に対して、白花品種は4月下旬~5月と、少し遅れて開花します。
モッコウバラの植え付けの適期は10月~11月です。モッコウバラは、あまりにも寒いと葉の一部を落としてしまうなどのダメージを受けます。そのため最適期は本格的に冷え込む前、10月~11月上旬とされています。
環境にもよりますが、モッコウバラは最大10mまで成長するバラです。基本的には地植えで栽培します。モッコウバラの栽培は、開花後に剪定し、アーチなどに誘引して樹形が乱れないように管理するのが基本です。ただし耐寒性はありますが、寒冷地での地植え栽培には向いていません。
モッコウバラにとって理想的な栽培環境は、日当たりと風通しのよい場所です。半日陰でも育ちますが、花付きが悪くなってしまいます。また、風通しが悪いと株が蒸れて病気や害虫が発生しやすくなり、枯れる原因となります。モッコウバラは大きく成長するため、広いスペースをとっておくことも重要です。
モッコウバラが好むのは、水はけも水もちもよい用土です。地植えの場合は、植え付ける1週間~2週間前に庭土を掘り起こし、同時に土壌改良しておきます。掘り起こした土に油粕や骨粉、元肥として緩効性粒状肥料や堆肥を混ぜ込んでおきましょう。鉢植えの場合は、赤玉土(小粒)5:腐葉土4.5:もみ殻燻炭0.5の割合で用土を作ります。市販のバラ専用培養土の利用もおすすめです。
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こちらは、品質にこだわったバラ専用土です。根を傷めないために特殊コーティングされた肥料、植物の成長を助ける善玉微生物群、病原菌の増殖を抑制する放射菌を増やす成分を持つキチン質を豊富に含むカニ殻など、バラを健やかに育てるための良質な成分が配合されています。
モッコウバラを地植えで栽培している場合は、基本的に水やり不要です。ただし乾燥がひどい時期が続く真夏は、気温が低くなる早朝と日が暮れた後に水やりします。鉢植え栽培の場合は、土が乾いたら鉢底から水がしみ出すくらい、たっぷりと水を与えるのが基本です。ただし土が湿った状態が続くと、根腐れを起こして枯れてしまう恐れがあります。水やりする際には、必ず土の状態を確認しましょう。
モッコウバラは、あまり肥料を必要とする植物ではありません。肥料をやり過ぎると枯れてしまうこともあります。肥料を施す時期と用量には注意しましょう。モッコウバラの肥料を施す適期は、新芽が伸び始める早春と開花後~9月です。バラ専用肥料を月に1回のペースで少量施しましょう。9月以降は枝の成長が鈍るので肥料は控えます。
モッコウバラは病気や害虫に強い植物です。理想的な栽培環境を維持し、ニームオイルなどの忌避剤を定期的に散布していれば、ほぼ問題ありません。ただし湿気が多い時期に入ると、アブラムシやハダニの被害にあうことがあります。アブラムシやハダニは放置していると、あっという間に大量発生してしまうので、発見次第、薬剤散布などで早急に駆除しましょう。
モッコウバラは特に注意すべき病気はありません。水や肥料のやり過ぎなど枯れる原因になりやすい事柄に注意し、理想的な栽培環境を維持していれば問題なく育ちます。
モッコウバラの苗は、ツヤツヤした葉がよく茂っているものを選びましょう。ただし11月中旬以降に出回る苗は、葉が落ちているものが多くなるため、葉の状態で選べません。この場合は、根張りがよく枝が折れていない苗を選びます。
鉢植え栽培のモッコウバラは、根が成長して鉢いっぱいに回るようになったら植え替えます。植え替えの適期は、植え付けと同じ10月~11月です。適期に入ったら二回り大きな鉢に植え替えましょう。株が大きく成長したなら、地植えがおすすめです。
モッコウバラの剪定の適期は、開花後~7月です。モッコウバラは8月~9月にかけて花芽がつくため、開花後の剪定は7月までに完了させます。モッコウバラは前年に伸びた枝に花が咲くつるバラです。その年花が咲いた枝は半分まで切り戻し、花が咲かなかった枝は、葉芽を残して2節目のところで切りましょう。古い枝や花がつかなくなった枝は、根元から切り落として整理します。
モッコウバラの耐寒性は、寒冷地の冬に耐えられるほどではありません。寒冷地では鉢植えで育て、冬の間は暖かい場所で管理しましょう。寒冷地以外の地域は地植えでも問題ありません。ただし、霜が降りやすい場所の場合は、株元にマルチングして寒さから守りましょう。
モッコウバラを増やす際に用いられているのは挿し木です。若い枝は根腐れするため、成長を止めた硬い枝を挿し木に用います。モッコウバラの挿し木の適期は6月です。10cm~15cmほどの長さに切った枝を1時間くらい水揚げし、発根剤をつけて挿し木用用土に挿します。約1カ月間水切れしないように管理し、発根すれば成功です。
出典:写真AC