バラの増やし方
バラの害虫や病気を予防するため、丁寧に手間をかけて育てている方も多いでしょう。大事なバラを守るには、苗を増やす方法もあります。まずは、バラを増やすにはどのような方法があるか、紹介します。
バラの増やし方は2つ
バラの増やし方は、挿し木と接ぎ木の2つの方法がよく行われています。そのほかにもバラの実から取られる種から育てる方法もあります。しかし、種は市販されていない上まいても発芽率が悪く、バラの増やし方としてはおすすめできません。
バラの増やし方①挿し木
バラの花のついた枝から根が付いたバラ苗に育てる方法が挿し木です。挿し木は、バラの枝を用土に挿すだけと作業は簡単で、その後の生育管理も行いやすいバラの増やし方です。挿し木の欠点は、立派な苗を育てるのに3~5年を必要とすることです。
バラの増やし方②接ぎ木
バラの増やし方として、接ぎ木もあります。接ぎ木は、台木となるバラ苗に増やしたいバラの穂木を接ぎます。ノイバラの苗が台木として使われています。根がしっかり成長している台木がある分、接ぎ木のばらは時間をかけずに大きく育てられます。接ぎ木は主に、バラの育成に慣れている方が行っています。
初心者には挿し木がおすすめ
慣れていない方は挿し木で増やしましょう。接ぎ木は、台木の切り方やつなぎ目の管理に技術が必要です。また、接ぐのはうまくいっても穂木と接ぎ木の相性により枯れてしまうことがあり、接ぎ木は簡単に誰でも成功するやり方ではありません。ただ、バラ苗から立派に花をつけるまでに育つ時間は、挿し木よりも接ぎ木のほうが短いです。
バラの挿し木に用意する物
バラの挿し木で使用する道具は手軽に用意できます。家にあるもので代用もできますし、持っていなくても園芸店やホームセンターで入手できます。
用意する物①バラの枝
増やしたいバラの枝を用意します。枝は花が咲いていて、5~10cmの長さがあれば十分です。地植えや鉢植えのバラの場合、その年に伸びた新しい枝を選んでください。挿し木には、直径2~5mmの枝の部分が適しています。挿し木に使用する枝は、挿し穂といわれます。
用意する物②器
挿し穂を挿す器は、何本かまとめて行う場合は植木鉢やプランター、1本ずつ挿すのであればポットを用意します。挿し木をする器は、これでないといけないということがなく、手軽に家にあるペットボトルや牛乳パックを切って利用する方もいます。
用意する物③用土
挿し木の用土は、挿し木専用の培養土や鹿沼土、赤玉土などが利用されます。どの種類でも構いませんが、挿し木に雑菌が増えないように、使い古しの用土を使うのは避けてください。その他、園芸用のロックウールブロックやポット、バーミキュライトも利用できます。
用意する物④発根促進剤
発根促進剤がなくても挿し木はできます。しかし、初心者の方はぜひ利用をおすすめします。使用するのとしないのとでは、挿し穂から発根する本数や太さに違いが出ます。発根促進剤として、「ルートン」が使用されます。バラだけでなく、他の植物の挿し木にも使用できます。また、ルートンは挿し木以外にも種や球根の植え付け時にも使用でき、植物の発芽を促します。
用意する物⑤はさみかカッター
バラの枝を必要な長さにカットしたり、切り口を斜めにするときに使用します。枝を切る道具は、清潔で切れ味が良いものを用意してください。雑菌が付くのを予防し、枝の細胞が破壊されるのを防げるので挿し穂の成長がよくなります。
用意する物⑥割りばし
挿し穂を用土に植える時、差し込む穴を作るために使用します。割りばしでなくても、枝を挿す穴があけられるものであれば構いません。
バラの挿し木のやり方①時期
バラの挿し木を成功させるには、まず時期を選ぶことが大切です。バラの挿し木は、気温が20度以上で、湿度が50~60%という条件下で育ちます。また、バラの生育期中は挿し穂からの発根がよくなります。その条件を満たす暖かい季節やバラの生育期前に行うと、挿し木の成功率が上がります。
梅雨時期
梅雨の6~7月は、1年の中で最も挿し木をおすすめする時期です。気温や湿度も高くバラの生育期前でもあるため、挿し穂の発根がよく成長も早いです。この時期に行う挿し木は、夏挿し(緑枝挿し)と言われています。
秋の時期
9~10月も挿し木を行うにはおすすめの時期です。秋の挿し木は夏よりも低い気温で行うため、挿し穂が育つには梅雨時期より時間がかかりますが、挿し穂の状態が悪くなりにくいというメリットがあります。
冬の時期
11~1月の冬の時期にも挿し木ができます。この時期はバラの休眠期に入るので、挿し穂の発根や植え替えまで時間がかかります。室外では気温が低いため、挿し木は室内で管理してください。この時期に行う挿し木を冬挿し(休眠枝挿し)といいます。
挿し木を避けてほしい時期
真夏に挿し木を行うのは、おすすめできません。暑さで挿し穂が育たないだけでなく、雑菌も繁殖しやすくなり、生育管理が難しいです。
バラの挿し木のやり方②花の準備
バラの挿し木には、花が咲いている枝を用意します。自分で育てているバラでもできますし、花屋で売ってあるバラの花からとった枝でもできます。
初心者は鉢植えか地植えのバラの枝を準備する
バラを株から切って、挿し穂にするまで時間をかけないほど、発根しやすくなります。できれば、地植えか鉢植えの枝から挿し木を行ってください。挿し木は切り花からでもできますが、発根しにくいです。
枝の処理
挿し穂にするバラの枝の処理には、ちょっとしたコツがあります。手順ごとに、挿し穂を取り扱うポイントを紹介します。
枝の切り方
5枚葉を2つ付けて、長さは5~10cmに切ってください。切り口は、斜めかV字にしてください。挿し穂は、断面積を大きくすると水を吸いやすくなり、発根しやすくなります。また、枝の上下をしっかり確認しておきましょう。挿し穂にする枝の葉は、上部の葉を2~3枚だけ残します。枝を切るときに一緒に切ってもいいですし、この後の水揚げ後に行っても構いません。残した葉は、半分程度に切ってください。
枝を水揚げする
切った挿し穂を30分~1時間ほど水揚げします。枝の下部を水に挿すように注意してください。枝の上部を挿してしまうと、発根しません。元気な枝は、水に差し続けているだけで根が生えてきます。
枝の切り口に発根促進剤をつける
発根促進剤を、枝の切り口にまんべんなく付けます。ルートンは白い粉なので、付いている状態がわかりやすいです。
出典:BOTANICA