骨粉の概要
骨粉は動物の骨から作る有機肥料です。牛、豚、鶏などの動物の骨を加工して作るのですが、加工方法によって「蒸製骨粉」「生骨粉」「肉骨粉」の3種類にわかれます。どの加工方法でも窒素やリン酸などの栄養成分を豊かに含む、有機肥料であることに変わりありません。
骨粉の種類と加工方法
種類名 | 加工方法 |
蒸製骨粉 | 粉砕した骨を高温で長時間加圧して蒸製する |
生骨粉 | 生の骨を乾燥させてから砕く |
肉骨粉 | 骨を内臓やくず肉、血液などと一緒に粉砕し乾燥させる |
生産中止になったことがある
骨粉は、かつては農家や園芸家に人気の高い有機肥料でした。ところが2000年代に起こった「BSE(牛海綿状脳症)」問題で状況が一変します。BSEは牛がかかる感染症の一種です。BSEにかかった牛の骨やくず肉が骨粉に使用された場合、感染源となってしまう危険性が懸念されたため、一時的にですが骨粉(肉骨粉)は生産中止となりました。
当時の骨粉の原料は牛の骨が主流だったんだ。だから感染源となる可能性を懸念されたんだね。今は豚や鶏の骨が主流になっているよ。
骨粉の生産はすでに再開されていますが、生産量も使用量もBSE問題以前に比べると低下しています。
骨粉の成分
成分①窒素
骨粉には窒素が豊富に含まれています。窒素は「肥料の三要素」と呼ばれる重要成分の1つです。窒素は光合成に必要な葉緑素や、たんぱく質を作るアミノ酸を作ります。特に葉や茎を大きく成長させることから「葉肥(はごえ)」とも呼ばれています。そのため、植物の生育初期には特に必要です。窒素が不足してしまうと、葉の色や茎の成長が悪くなるので注意しましょう。
反対に窒素が多過ぎると、葉が成長し過ぎて花つきが悪くなったり、害虫がつきやすくなったりといったトラブルが起こってしまうんだ。
成分②リン酸
リン酸も窒素と同じく「肥料の三要素」と呼ばれる主要成分です。骨粉はほかの肥料と比較すると、リン酸の割合が非常に多いという特徴があります。リン酸は遺伝情報の伝達やたんぱく質の合成を行う「核酸」を構成する重要成分です。開花結実を促す働きを持つため「花肥(はなごえ)」「実肥(みごえ)」とも呼ばれています。骨粉のようにリン酸が豊富な肥料は花木や野菜、果樹の栽培に欠かせません。
リン酸が不足すると花つきや実つきが悪くなります。しかし、逆に多過ぎると土壌障害を起こしやすくなるので注意が必要です。
ちなみに「肥料の三要素」の残る1つはカリウム(カリ)だよ。根の発育を促進する働きを持つことから「根肥(ねごえ)」と呼ばれているんだ。
成分③カルシウム
骨粉は動物の骨から作るため、カルシウムも豊富に含みます。カルシウムというと、栄養学では骨や歯を丈夫にする成分として有名です。一方、園芸の世界では土壌の酸度を調整し、細胞膜を強化して病害虫への抵抗力を高める効果があるとされています。野菜や果樹の栽培でも重要視される成分です。
カルシウムが不足すると、新芽や根の生育が悪くなります。特にトマトなどの果実は「尻腐れ症」が発生するので注意しましょう。
骨粉の効果的な使い方
使い方①元肥が基本
骨粉は土に混ぜてから効果が発揮されるまで、長い時間がかかる緩効性肥料です。そのため、元肥として使用するのが基本となります。骨粉を使うタイミングは、苗や種を植え付ける前です。最低でも植え付ける1カ月前までには、土に混ぜ込んでなじませておきましょう。
骨粉は効果が出るのに時間がかかるけど、そのぶん効果が長続きするんだよ。だから玉ねぎみたいに栽培期間が長い野菜の栽培に向いてるんだ。
花つきや実つきをよくするリン酸が豊富なので、バラやサツキなどの花木、ミカンなどの果樹にも効果を発揮します。
使い方②ほかの肥料と併用する
骨粉には、肥料の三要素である窒素とリン酸は非常に多く含まれていますが、カリウムはほとんど含まれていません。そのため骨粉を使用する際は、カリウムを多く含む肥料や有機物と一緒に混ぜて使うのが基本です。一般には草木灰がよく使用されています。骨粉は堆肥との併用も多いです。堆肥には肥料の分解を促す微生物を活発化させ、肥料の効果を早く引き出す効果があります。
堆肥の微生物を活発にする効果は、肥沃な土作りにも役立つんだ。そういう意味でも、元肥にピッタリなんだよ。
使い方③追肥には不向き
追肥は、生育盛んな植物に不足しがちな栄養を与えるためのものです。そのため即効性のある肥料が求められます。骨粉は即効性に欠けるため、追肥には向いていません。また、植物のなかには追肥の必要がないものもあります。骨粉に限らず肥料は不足しても与え過ぎても、生育に悪影響を与えてしまいます。植物の成長具合をよく観察し、適切な施肥を心がけましょう。
骨粉のおすすめ商品4選
骨粉を使った商品にもいろいろな種類があるため、選ぶ際には迷ってしまう方もいるでしょう。骨粉に限らず、育てる植物の性質や栽培環境にあったものを選ぶのが、肥料選びの基本です。自分が育てる植物にあった骨粉肥料を購入しましょう。
おすすめ①サンアンドホープ「骨粉肥料」
サンアンドホープ 蒸制骨粉(オール有機100%) 4kg
参考価格: 968円
サンアンドホープの「骨粉肥料」は、有機質100%の蒸製骨粉です。葉や茎を丈夫にし、花つきや実つきをよくする効果があります。窒素4:リン酸16:カリ0と、リン酸が非常に多く含まれているのが大きな特徴です。バラなどの花木はもちろん、野菜や果樹の栽培にも向いています。ただし、この骨粉肥料にはカリウムがほとんど含まれていません。草木灰のようなカリウムを含む資材を一緒に使って補いましょう。
おすすめ | ★★★★☆ |
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内容量 | 4kg |
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おすすめ②東商「粒骨粉」
東商 粒骨粉 1kg
参考価格: 602円
東商の「粒骨粉」は、名前が示すように骨粉を粒状に固めたものです。畑や花壇に使う際に、手で簡単にまけます。ほかの肥料と混ぜて使うときも扱いやすいですよ。また、この商品の最大の特徴はBSE対策済みの原料だけを使用するなど、安心・安全面に考慮していることです。小さなお子様やペットがいる家庭でも、安心して使えます。
おすすめ | ★★★★☆ |
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内容量 | 2kg |
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おすすめ③日清ガーデンメイト「魚粉+骨粉+油かす」
日清ガーデンメイト 魚粉+骨粉+油かす 1kg
参考価格: 608円
日清ガーデンメイドの「魚粉+骨粉+油かす」は、骨粉に魚粉と油かすを加えた有機質100%の天然配合肥料です。配合の割合を考える必要がなく使えるため、園芸初心者でも楽に扱えます。容量が1kgと少なめなので、鉢植えやプランターなど小スペースでの栽培に最適です。袋がチャックつきなので、保存もスムーズに行えます。
おすすめ | ★★★★☆ |
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内容量 | 1kg |
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おすすめ④日清「骨粉入り天然リンカリ肥料」
日清 骨粉入り天然リンカリ肥料 5kg
参考価格: 2,410円
日清の「骨粉入り天然リンカリ肥料」は、骨粉を配合した有機肥料です。リン酸17・カリウム17と、リン酸とカリウムが非常に高い割合で含まれており、根を丈夫にし、花つきや実つきをよくする効果が期待されます。骨粉を含め原料はすべて天然の資材を使用しているので、植物や自然環境にも配慮した肥料といえるでしょう。
おすすめ | ★★★★☆ |
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内容量 | 5kg |
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「骨粉入り天然リンカリ肥料」は、リン酸とカリ特化の肥料であるため、窒素成分がほとんど含まれていません。
「骨粉入り天然リンカリ肥料」を使うときは、窒素成分を多く含む有機肥料と併用しようね。
おすすめ商品一覧
商品 | ||||
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商品名 | サンアンドホープ 蒸制骨粉(オール有機100%) 4kg | 東商 粒骨粉 1kg | 日清ガーデンメイト 魚粉+骨粉+油かす 1kg | 日清 骨粉入り天然リンカリ肥料 5kg |
価格 | 968円 | 602円 | 608円 | 2,410円 |
おすすめ | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★★☆ |
内容量 | 4kg | 2kg | 1kg | 5kg |
商品リンク |
まとめ
骨粉は花つきや実つきをよくするリン酸を豊富に含む肥料です。天然の有機質肥料なので、自然環境に優しい点も魅力でしょう。一方で追肥に向かないことや、ほかの肥料との併用など、よりよい効果を引き出すためには使い方にいろいろと注意する点があります。骨粉を使用する際には用法・用量をきちんと守りましょう。そして大切な植物たちを、より美しく健やかに育ててくださいね。
BSEは別名を狂牛病という感染症です。BSEに感染した牛は脳の組織が海綿状になり、異常行動を起こした後、死亡します。