アカシデは日本全国で見られる落葉性高木です。日本原産種のため栽培管理がしやすく、春の花と秋の紅葉が美しいことから、庭木としても人気があります。葉の形状はケヤキに似ていますが、植物学上はシラカバの仲間です。個体差が大きく、木によって葉の大きさが違ったり、紅葉の色あいが異なったりします。
園芸部類 | 落葉性高木 |
形態 | 広葉樹 |
樹高・草丈 | 15m |
花の色 | 赤茶色 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 庭木、公園樹、盆栽、雑木林、混植林 |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
アカシデは関東地方の雑木林に多く見られる樹木です。雌雄同株なので開花時期になると、1つの木に雄花と雌花がつきます。花は若葉と同時に開花する特徴があり、花色は赤茶色、新芽は赤~ピンク色です。アカシデの「アカ」は、新芽の色と秋に紅葉することからつけられました。「シデ」は、垂れ下がる花穂の様子が注連縄(しめなわ)に使用される紙垂(しで)に似ていることが由来です。
イヌシデ 0.3m10.5cmポット 1本
参考価格: 440円
イヌシデ(犬四手)はアカシデやクマシデとともに「シデ」または「ソロ」と呼ばれている樹木です。名前の由来は「シデ」と呼ばれる樹木のなかで、これといった特徴を持たないことから、「劣る」「役に立たない」といった意味がある言葉「イヌ」をつけられました。樹姿がアカシデとよく似ていますが、イヌシデのほうが葉が大きいです。
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
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クマシデ 0.5m10.5cmポット 1本
参考価格: 880円
クマシデ(熊四手)はアカシデやイヌシデの仲間です。シデのなかで特に葉や果実が大きいことから、「クマ(熊)」の名前がつけられました。若い頃の幹は灰白色ですが、年を経ると黒褐色で縦に裂けます。材質が堅いため、家具材、建築材、農具の柄に利用されています。
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
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植え付け時期 | 12月~3月 |
肥料の時期 | 1月~2月 |
剪定の時期 | 12月~2月 |
花が咲く時期/開花時期 | 4月~5月頃 |
アカシデは落葉樹なので、葉が落ちている時期にあたる12月~3月が植え付けの適期です。新芽が動き始める時期に植え付けると枯れてしまいます。植え付け時期のなかでも、特に寒い時期である1月~2月が最適でしょう。
高木種のアカシデは地植えが一般的です。栽培方法は種まきと苗植えの2種類があります。しかし種まきは時間がかかるため、苗植えがおすすめです。アカシデはシンボルツリーとして栽培するのもよいですが、自然な樹形の美しさを活かして、雑木林風に仕立てても趣深い庭ができあがります。
アカシデが好むのは、日当たりと水はけがよい場所です。日本原産種のため、日本の気候にあっていますが、過湿な環境は好まないので通気性に注意しましょう。アカシデは丈夫な樹木ですが根は繊細です。植え付ける際、地中に小石が混じっていたら取り除きましょう。小石で根が傷つくと枯れる恐れがあるからです。植え替えも枯れる恐れがあるため、控えたほうがよいでしょう。
アカシデにとって理想的な用土は、肥沃で水はけと水もちがよく、通気性にもすぐれているものです。植え付け前に庭土に腐葉土や堆肥を混ぜ込んで、水はけと水もちをよくしておきましょう。アカシデは丈夫な植物なので、一度根付けば、ほぼ問題なく育ちます。後々の栽培管理を楽にするためにも、土作りは丁寧に行いましょう。
アカシデの水やりは、植え付け後~根付くまでが基本です。土や根の状態を観察して定期的に水やりしましょう。根付いた後は自然の降雨だけで十分育つので、水やりの必要はありません。
アカシデはあまり肥料を必要としない樹木です。2月に寒肥を与えるだけでよく育ちます。肥料の種類は堆肥や化学肥料がおすすめです。肥料の適期である2月になったら、アカシデの根元に肥料をすき込んで与えましょう。
アカシデは害虫に強い樹木です。虫がつきにくいため、理想的な栽培環境を維持できていれば、ほぼ心配ありません。しかし、まったく害虫がつかないわけではないため、日頃から木を観察し、発見次第薬剤散布などで駆除しましょう。
アカシデは病気に強い樹木です。病気で枯れる心配はほとんどありません。ただし、通気性や土の水はけが悪いと根腐れを起こして枯れる恐れがあります。風通しや土の状態に注意しましょう。
開花後のアカシデは特別な手入れをする必要はありませんが、混み入った枝や不要な枝があれば剪定しておきましょう。強い剪定は生育障害や病気の原因になる恐れがあるので、枝先を切る程度の弱剪定で十分です。
アカシデの苗は根の部分に麻布が巻かれていることがあります。根を傷つけないためです。麻布はそのまま外さなくても、外してから植え付けても問題ありません。ただし、ナイロン紐や針金が巻いてある場合は植え付け前に外しましょう。アカシデの根はとても繊細です。傷つかないように扱いに注意しましょう。
アカシデは自然樹形に観賞価値がある樹木です。強い剪定は必要ありません。混み入った枝を剪定する程度で十分です。アカシデの剪定は落葉期の12月~2月と開花後の5月~6月に行います。このときもいきなりバッサリと切り取らず、枝先から少しずつ切っていきましょう。
アカシデは日本原産種のため、日本の気候に順応しています。夏越し・冬越しともに特別な対策は必要ありません。
アカシデの増やし方は種まきと挿し木と取り木の3種類です。種まきの場合は8月~9月に実が熟すので、秋に種を採取して落葉期に植え付けます。挿し木と取り木の適期は5月下旬~6月上旬です。この時期は伸び過ぎた枝を軽く剪定する時期にもあたります。同時に行うと効率的です。
【5本】 アカシデ苗木 高さ0.5m程度
参考価格: 6,820円
アカシデは高木種で花と新芽と紅葉が美しいため、単独で植えてシンボルツリーに育てることが多い樹木です。しかし、雑木林で自生する樹木であるため、3本~5本をまとめて株立ちに仕立て、雑木林の雰囲気を出すこともできます。好みや庭の広さにあわせて用いましょう。
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
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出典:写真AC