化学肥料とは?成分や特徴・メリットをご紹介!有機肥料との違いは?

化学肥料とは?成分や特徴・メリットをご紹介!有機肥料との違いは?

化学肥料には様々な種類がありますが、種類が多すぎてどう使い分ければいいのか分からない、と思ったことはありませんか。有機肥料との違いを整理しながら、化学肥料の長所・短所を解説します。化学肥料の特徴を知ることは、有機肥料を効果的に使うヒントにもなるでしょう。

記事の目次

  1. 1.化学肥料とは
  2. 2.化学肥料と有機肥料の違いを整理
  3. 3.化学肥料の種類と選び方
  4. 4.「無機肥料」を使った有機農業
  5. 5.まとめ

化学肥料とは

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突然ですが「化学肥料」とは何でしょう。

有機肥料の対義語みたいな扱いだよね。「有機」の逆で、「無機」の肥料なのかな。

・・・と、思いますよね。ところが「化学肥料」と「無機肥料」、実はイコールではありません。また、「化学肥料」は「有機肥料」の対義語という訳でもありません。

線引きは「化学的加工」

化学肥料とは、肥料成分に対して何らかの化学的加工を施したものです。たとえ無機物でも原料が天然で化学的加工をしていなければ「化学肥料以外」。一方、原料が有機物でも化学的加工をしていれば「化学肥料」であり、これを使えば「オーガニック」「有機野菜」は名乗れません。

「化学肥料」の逆が「有機肥料」じゃないの!?じゃあ有機肥料って何者?

有機肥料は、有機物を原料とした肥料、かつ、化学的加工をしていないもの

有機肥料は「化学肥料以外」のうち、植物遺体や動物の排泄物などの有機物を原料としたものです。堆肥(たいひ)、油粕(あぶらかす)、草木灰(そうもくばい)などが該当します。

なお、化学的加工とは、薬品処理したり物質同士を反応させたりすることを指します。鉱物の粉砕や堆肥の発酵は化学的加工に含まれません。

化学肥料と有機肥料の違いを整理

「化学肥料」と「有機肥料」は対義語ではありませんが、「化学肥料とは何者か」を理解するには、やはり有機肥料と対比してみるのがわかりやすいですね。

シンプル指向の化学肥料、土作り重視の有機肥料

選択と集中に強い化学肥料

化学肥料は1〜3種類程度の有効成分だけ含むシンプルな組成です。成分を選んで集中的に補給できるメリットがあります。

植物の生育には17種類の必須元素があり、中でも「窒素(N)・リン(P)・カリウム(K)」は「肥料の三要素」と呼ばれるほど重要です。

N・P・Kは知っているよ

植物の生育は「もっとも足りない養分」に制限される!

植物の生育は「もっとも足りない養分」に制限されるため、生育不良が起きた時は「もっとも足りない成分を補給する」のが最短距離の解決策です。たとえばNとPが十分にあり、Kが不足している場合は、Kをピンポイントに補うだけでも改善します。

化学肥料を使えば、与えたい栄養だけをピンポイントに補えるわけだ

でも、植物の生育が、もっとも少ない養分によって、制限されるというのは驚きだわ

一方、シンプルゆえに対症療法で終わってしまうデメリットもあります。土壌がそもそも劣化している場合は土作りに投資した方が結果的にコストパフォーマンスが上がります。

団粒構造を育てる有機肥料

「良い土」の条件を一言で言えば「団粒構造」です。

また、難しい言葉が出てきたね。

土壌粒子の核は無機物ですが、植物や微生物のはたらきで有機物の衣をまといます。有機物の衣は水分や金属を捕まえながら成長し、大きな粒子になります。さらに粒子どうしが電気的な引力や水の凝集作用によって引きつけ合い、保水力・保肥力に富む「団粒構造」を作ります。

な・・・なるほど(わからん)

詳しくは下のスライドを見てみよう!

団粒構造の維持には有機物が必要なので、直接植物の養分にはならなくても有機物が必要なのです。有機肥料は養分補給だけでなく土作りの側面が強いのです。

機動性の化学肥料、持続性の有機肥料

天然のN・P・Kは植物が吸収できない!そのためには微生物による分解が必要

N、P、Kは天然にも存在しますが、植物が吸収できない形になっています。植物に届くためには微生物による分解が必要です。

天然のN・P・Kは微生物に分解されないと植物が吸収できないのか・・・

アンモニア態窒素が硝酸態窒素になることで植物に吸収される

例えば、天然の窒素はアミノ酸やタンパク質などの有機物に組み込まれており、植物は吸収できません。有機物が微生物に分解されると「アンモニア態窒素」という無機物になります。アンモニア態窒素が硝化菌というバクテリアに分解され「硝酸態窒素」になることで、ようやくスムーズに吸収されます。

あ・・・アンモニア態窒素?(つまり・・・どういうことだ?)

また、下のスライドにまとめてあげたよ!

天然のリンは「不動態」というほとんど溶けない形で存在し、植物は吸収できません。動物の骨や灰が微生物に分解されてリン酸が溶け出し、植物に吸収されます。

化学肥料は分解のプロセスをショートカットできる!

化学肥料は微生物による分解のプロセスをショートカットできます。有効成分はすでに無機物になっているので、すぐ植物に届きます。

しかし植物が吸収しやすいということは、言い換えれば「水で流されやすい」ということ。そのため効果が長続きしないデメリットがあります。

あえて遠回りする有機肥料

有機肥料の場合、Nはアミノ酸やタンパク質、Pはリン酸三石灰などの形で含まれます。これらの成分は植物がすぐに吸収することはできませんが、水に溶けにくく土壌中に長く留まります。微生物に少しずつ分解されて少しずつ植物に吸収されます。あえて微生物に分解させることで、流されやすいという無機体のデメリットをカバーし、効果が持続するようにしているのです。

化学肥料と有機肥料、どっちが上か下かというわけじゃなくて、どちらもメリット・デメリットがあるわけだ

ただし土壌中には病原菌もいます。堆肥や油かすなどは格好の餌になり、病害発生の危険もあります。施用した後に土壌消毒するか、消毒済みのものを使いましょう。

土壌消毒方法には消石灰散布、太陽熱、燻蒸、薬剤処理などがありますよ。

次のページは、化学肥料の種類と選び方ね。

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化学肥料の種類と選び方

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