イヌシデとはどんな樹木?
イヌシデはカバノキ科のクマシデ属に分類される落葉高木の樹木です。古くから炭材や建材として使われてきた樹木ですが、近年では樹高が高くなり過ぎない性質を生かして街路樹や公園などでも見かけるようになりました。また、盆栽としても人気の樹木です。
イヌシデの開花時期
イヌシデの花は4月から5月に開花時期を迎えます。雄の花はふさのように垂れ下がって、とても目立つシルエットです。イヌシデは新しい葉や芽を出す若葉の時期に、花も開花するのが特徴です。
イヌシデの名前の由来
イヌシデは「犬四手」という和名をもちます。四手(紙垂)というのは、しめ縄などにつるされている細い紙のことです。イヌシデの花や実がこの四手に似ていたことから連想されました。犬という言葉がつくのは、同種のクマシデと比べて小型だったこと、用途が少なかったことからつけられました。
イヌシデの分布
イヌシデは本州の東北より南に分布しています。山野などの日当たりのよい場所に多く生育していて、近年は公園や街路樹にも使われています。中国や朝鮮半島にも生育しているイヌシデは、古くから炭材や建材などとして使われてきた樹木でもあるのです。
イヌシデの葉の特徴
イヌシデの葉はぺったりとした楕円形で、表面には無数の毛がついています。裏面は葉脈が目立ち、それに沿ってまばらに毛が生えているのが特徴です。葉のふちは細かくぎざぎざが入っていて、秋には黄色く紅葉します。
イヌシデの幹の特徴は?
イヌシデの幹は灰褐色で、深く亀裂の入った固い表皮をしています。まっすぐ刻まれた幹の溝は、波のようにうねりながら縦にしま模様を描いているのが特徴です。
イヌシデの花の特徴
イヌシデの花は春の季節に、雌花と雄花を一本の木で別々につけます。雄の花は黄緑色で、4cm程度のふさを垂れ下げて、いくつもつけるのが印象的です。雌の花も同じように垂れ下がりますが、雄花より短く淡い色なのが特徴です。
イヌシデの実はどんな特徴?
イヌシデの実は名前の由来にもなった通り、しめ飾りの紙のようにざくざくした形を垂れ下げてつけます。実が熟して茶色くなると、一枚一枚が散り、くるくる回って落ちてくるのです。固く薄い紙のような形の実の中には、それぞれに種子が入っています。
イヌシデの見分け方
一般的に「シデの木」と呼ばれる樹木は、クマシデ属の総称です。イヌシデのほかにもクマシデやアカシデなど5種が日本で生育しています。その中で、イヌシデを見分ける方法を見ていきましょう。
アカシデとイヌシデの見分け方
アカシデはその名にもある通り、新芽や紅葉時の葉が赤みがかかっているのが特徴です。また、アカシデは葉の付け根の柄の部分も赤くなります。イヌシデは黄色く紅葉し、葉の柄には毛が生えていて赤くないので、アカシデとの見分け方は難しくないでしょう。
クマシデとイヌシデの見分け方
クマシデはイヌシデと比べて、葉脈が多いのが特徴です。イヌシデの葉脈が12本ほどなのに対して、クマシデは20本ほどの葉脈があります。
ボタニ子
クマシデの葉の葉脈は細かく並んでいるわね!
ボタ爺
残りの二種は高山の沢沿いに生育するサワシバと、岩が多い場所に生育するイワシデじゃ。この二種類はあまり身近では見かけないのぅ。
まとめ
イヌシデの名前は知らなくても、その特徴的な花や果実を見かけたことのある人は多いのではないでしょうか。稲穂のように垂れ下がって咲く花や、くるくる回りながら落ちてくる実は子供のころに遊んだ記憶がある人も多いはずです。シデの仲間たちは公園や街路樹でも植えられているので、ぜひ上を見上げて見つけてみてくださいね。
イヌシデの実は熟して乾燥するとくるくる回りながら落ちてきます。