ケマンソウは「タイツリソウ」や「フジボタン」という別名でも親しまれている多年草です。開花時期になると、ピンク色や白色のハートが連なったかわいらしい咲き姿を楽しめます。
園芸部類 | 草花、山野草 |
形態 | 多年草 |
樹高・草丈 | 30cm〜80cm |
花の色 | ピンク、白 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 普通 |
特性・用途 | 落葉性、耐陰性がある、初心者向け、耐寒性が強い |
栽培難易度 | ★☆☆☆☆ |
ケマンソウは草丈が30cm〜60cmほどで、寒さに強く耐陰性もあるため、初心者でも育てやすい植物です。葉がボタンの葉に似ているので「フジボタン」という別名でも呼ばれています。花はピンク色や白色で、4月〜5月にかけて茎からぶら下がるように咲くのが特徴です。
名前の由来は?
ケマンソウは、漢字で「華鬘草」と表記されます。華鬘とは、仏堂や欄間(らんま)を装飾するための飾りです。ケマンソウの咲き姿が、華鬘に似ているのが名前の由来になっています。また、鯛が釣り竿にかかったように見えるため「鯛釣り草(タイツリソウ)」という別名がつけられました。
花言葉は?
ケマンソウには「あなたに従う」や「流れにまかせて」「魅惑する勇ましさ」という花言葉がついています。ケマンソウは、長い花茎に花が連なるように咲くのが特徴です。タイツリソウの名前の由来にもなっているとおり、釣り竿に鯛が連なっている様子から連想してつけられた花言葉といわれています。
白花ケマンソウ
参考価格: 712円
白花ケマンソウは「シロバナタイツリソウ」や「ケマンソウ・アルバ」という名前でも流通している品種です。純白の花を咲かせるのが魅力で、花壇に爽やかな印象を与えてくれます。成長すると80cmほどまで高く成長するので、寄せ植えにする場合は、ほかの植物の背景になるように植え付けましょう。
花色 | 白 |
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草丈 | 20cm〜80cm |
ピンクケマンソウ
参考価格: 1,098円
ピンクケマンソウは、かわいらしいピンク色のハート型をした花を咲かせる人気の品種です。和名で「鯛釣り草・桃花」という名前で販売されている場合もあります。花弁の上部はピンク色をしていますが、下部は白色をしており、きれいなコントラストを楽しめるのも魅力です。
花色 | ピンク、白 |
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草丈 | 30cm〜50cm |
植え付け時期 | 3月〜4月 |
植え替え時期 | 3月〜4月 |
肥料の時期 | 3月〜4月、9月〜11月 |
剪定の時期 | 4月〜6月 |
花が咲く時期/開花時期 | 4月〜5月 |
ケマンソウは、地植えでも鉢植えでも育てられます。やや湿った環境を好むため、寄せ植えにする場合は、同じような性質をもつ植物と一緒に植え付けましょう。鉢植えの場合は、基本的には1つの鉢に1株ずつ植え付けます。根が太く伸びるため、深さのある鉢を使用するのがポイントです。
ケマンソウは、木漏れ日が当たる程度の半日陰で管理します。地植えにする場合は、直射日光が当たらないような木の株元や、ほかの植物の陰になるような場所に植え付けてください。室内の場合は、レースのカーテン越しの窓辺など、優しく日光が降りそそぐ置き場所で管理するのがおすすめです。
葉が黄色く変色する原因は?
ケマンソウは耐陰性がありますが、日光が全く当たらない場所で育てると、株が弱ったり葉が黄色く変色したりします。一日中日陰になっている場合は、置き場所を移動させてください。
ケマンソウは、水はけと水もちのよさを兼ね備えた用土で管理しましょう。市販されている「草花用培養土」や「山野草用培養土」を使用しても構いません。自分で配合する場合は、赤玉土の小粒と腐葉土を混ぜ込んでから、少量のピートモスを加えた用土を使用してください。
地植えにする場合の用土は?
ケマンソウを地植えにする場所が粘土質の場合は、排水性をよくしてから植え付けないと枯れる恐れがあります。腐葉土や堆肥をたっぷりとすき込み、よく耕してから植え付けましょう。
ケマンソウは、季節ごとに水の量を調節しながら管理するのがポイントです。春〜秋にかけては、土の表面が乾燥する前に水やりをします。地植えで育てている場合でも、降雨だけでなくしっかりと水やりをしましょう。冬は落葉期に入り、地上部が枯れた状態になるので水をあまり吸わなくなります。そのため、水やりは控えめにしてやや乾燥気味に管理してください。
肥料は3月〜4月と9月〜11月にかけて、緩効性の化成肥料を株元に適量施します。夏と冬に肥料を与えると、株が弱る可能性があるので避けてください。株を大きくしたい場合は、植え付けのときに元肥を与えましょう。元肥は、リン酸とカリウムが多めに配合された固形肥料がおすすめです。
アブラムシは、年間を通して発生しやすい害虫です。集団で寄生し、ケマンソウの栄養分を吸汁しながら成長します。アブラムシの数が少ない場合は、ガムテープなどに貼り付けて駆除しましょう。大量発生した場合は、殺虫剤を散布して駆除してください。
ヨトウムシは、漢字で「夜盗虫」と表記されます。昼は土の中で休んでいますが、夜になると活動を始めるのが特徴です。ケマンソウの葉や茎を食害するため、穴だらけになり枯れてしまう恐れがあります。夜しか姿を見せないので、暗くなってから見回りをして駆除するか、株元の土に殺虫剤を散布してください。
うどんこ病は、カビの菌糸が原因で発生する病気です。感染した部分が、うどん粉をまぶしたように白く粉をふくため「うどんこ病」と呼ばれています。葉の光合成が妨げられて、ケマンソウが弱ったり枯れたりする病気です。感染した部分は、薬剤を散布しても治せないため、ほかの部分への感染を防ぐためにも早めに切り取って処分しましょう。
花後に花がらを放置すると、カビが発生しやすくなります。カビの菌糸が原因で発生する「灰色カビ病」に感染する恐れがあるので、花後はこまめに花がら摘みを行いながら管理しましょう。
ケマンソウをポット苗の状態で購入する場合は、葉につやがあり、花芽のたくさんついている苗を選びましょう。葉の裏側までしっかりとチェックして、病害虫被害を受けていない苗を購入してください。
落葉期の場合は?
ケマンソウを落葉期に購入すると、地上部が枯れて根だけの状態で販売されてる場合があります。根を傷めないようにポットから取り出しすぐに植え付けると、株を大きく育てられるのが利点です。花が咲いていないので、花色や種類をきちんと確認しておきましょう。
植え替えは、植え付けと同じ3月〜4月に行います。根を傷つけないように丁寧に掘り起こし、根についている古い用土を落としてください。傷んでいる部分や枯れている部分を切り取ったら、ひと回り大きな鉢に新しい用土を入れて植え替えます。完全に根付くまでは、水切れを起こさないようにしましょう。
植え替えは必要?
ケマンソウを地植えで育てている場合は、植え替えの必要はありません。鉢植えの場合は、根詰まりを防ぐために1年〜2年に1回は植え替えましょう。根詰まりを起こすと成長が滞ったり、花付きが悪くなったりするので注意してください。
ケマンソウの剪定は4月〜6月に行います。花後に茎が枯れ込んでくるため、茶色く変色し始めたら株元から剪定しましょう。また、葉が込み入っている部分や、茎が伸びすぎている部分を剪定して草姿を整えます。梅雨前に剪定して風通しをよくしておくと、病害虫被害を予防できますが、花芽を切らないようにしてください。
ケマンソウは耐暑性やや弱いので、日差しが強くなる5月〜9月にかけては対策が必要です。鉢植えの場合は、暑さをしのげる軒下や室内に移動させましょう。地植えの場合は、寒冷紗や遮光ネットを使用して、40%〜60%程度遮光してください。直射日光に長く当てると、葉焼けを起こして枯れる恐れがあります。
ケマンソウは耐寒性が強く、耐寒温度は-10℃といわれています。そのため、地植えでも冬越しできますが、雪や霜が当たると株元から枯れ込んでくるのが特徴です。寒冷地の場合は、ビニールやバークチップを利用して、マルチングをしてから冬越ししましょう。
ケマンソウの株分けは3月〜4月か9月〜10月が適期のため、植え替えと同時に行うのがおすすめです。大きく成長した株を選び、手で簡単に分かれる部分で株分けします。新しい用土に植え付けたら、水をたっぷりと与えてください。発根するまでは水切れを起こさないようにして、風通しのよい日陰で管理しましょう。
ケマンソウの挿し木は、3月〜4月に行います。若くて健康な茎を選び、先端から15cmほどの長さに切ってください。切り口を水につけてしっかりと水を吸わせたら、赤玉土などの挿し木用の用土に挿していきましょう。
出典:写真AC