園芸部類 | 球根類 |
形態 | 多年草 |
樹高・草丈 | 20~100cm |
花の色 | 白、黄、橙、紫、緑 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 基本的に弱い |
特性・用途 | 鉢植え、庭植え |
栽培難易度 | ★★★★☆ |
フリチラリアは北半球を中心に栽培が盛んな花で、主に流通しているもので70~80種、フリチラリアと同じ仲間の花も含めると100種以上あります。品種によっても異なりますが、耐暑性が弱いため夏越しの際には注意が必要です。
フリチラリアは世界に100種類以上ありますが、栽培地域や品種によって栽培レベルが変わります。そのため日本国内で流通している主なフリチラリアは数種類に限られます。日本ではフリチラリアの仲間であるクロユリやバイモユリも、フリチラリアの代表品種に含まれることがあります。
フリチラリアペルシカは球周が平均20cmもある大型の球根で、春になると存在感のある大きくて濃い紫の花を咲かせます。草丈が1m前後まで成長するので鉢植えには向きませんが、庭に地植えすればインパクトのあるトールガーデンになります。
フリチラリア・アクモペタラは、鐘状の花を下向きに咲かせるのが特徴です。開花時期をむかえると、存在感のある大ぶりの花を咲かせます。草丈は60cm前後なので鉢植えにも適していますが、直射日光が当たる場所に置くと枯れやすいです。そのためフリチラリア・アクモペタラは明るい日陰で栽培するのがおすすめです。
北半球を中心に栽培されるフリチラリアは、耐寒性が非常に強いのが特徴です。そのため栽培カレンダーでは「植え付け時期=10月」とありますが、10月でも気温が高い場合は時期をずらして植え付けるような工夫が必要です。開花時期はサクラと重なるので、フリチラリアが庭にあると華やかな春の庭ができます。
植え付け時期 | 10月初旬~10月下旬 |
球根市販の時期 | 9~10月 |
花が咲く時期/開花時期 | 3~5月頃 |
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
植え付け 植え替え |
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開花期間 | ● | ● | ● | |||||||||
肥料 | ● | ● | ● | ● | ● | |||||||
成長期 | ● | ● | ● | ○ | ○ | ● | ● | |||||
休眠期 | ● | ● | ● | ● |
フリチラリアは暑さに弱く夏越しが必要な花なので、気温の低い状態が続く10月に植え付けをし、栽培の適期は冬~春です。ただし観賞用として品種改良が活発に行われるフリチラリアは、やや耐暑性の強い品種も流通しはじめています。そのためフリチラリアの栽培適期は、品種によって1ヵ月前後ずれることがあります。
害虫や病気の発生率が低い冬に生育期を迎えるフリチラリアは、管理しやすい栽培方法・成長に適した日照時間・水の管理がしやすい用土の3つが栽培環境の重要なポイントです。ただしフリチラリアの栽培環境は品種によって変わることもあるので、植え付けるフリチラリアの特徴の確認は忘れないようにしましょう。
フリチラリアは、鉢植え(寄せ植え)・庭植え(地植え)のどちらでも育てられます。品種によって草丈が1mを超えるものもあるので、種類によって鉢植えと庭植えのどちらにするか決めたほうがよいでしょう。なお夏に休眠期を迎える花なので、庭植えの場合も夏越し中は鉢植えで温度と水の管理をします。
日本で主に流通しているフリチラリアは、日当たりのよい場所のほうが丈夫に育ちます。そのため鉢植え、庭植え問わず日当たりのよい屋外を選ぶのがおすすめです。ただし日本で購入できるフリチラリアの中には、直接日が当たる場所を好まないこともあります。その場合は栽培説明書に記載された内容を注視してください。
フリチラリアの用土は、通気性のよいものを選びます。植え付け後は冬でもたっぷりと水やりをしますが、保水性の高い土だと凍結することがあります。腐葉土に赤玉土を混ぜるのもおすすめですが、基本用土にバーミキュライトを加える方法もおすすめです。
フリチラリアは気温が低い冬に成長大きく成長するため、植え付けの際の元肥と生育時期の水やりは管理のうえで重要なポイントです。開花時期が終わったフリチラリアは上手に夏越しをしないと球根がだめになってしまうので、花後の管理もしっかり行いましょう。
フリチラリアの水やりは、生育時期と休眠時期で目安が違います。生育時期は土の表面が乾燥したら、たっぷりと水やりをしてください。開花時期を終えたら夏越しの準備を始めるので、完全に乾かない程度に水やりをします。球根を掘り出した後は過湿しすぎないよう、霧吹きを使った水やりがおすすめです。
フリチラリアは夏越し中に栄養をたっぷりと球根に蓄えるため、植え付けの際の元肥のほかは生育時期に2回ほど追肥を行うだけでOKです。元肥には効果が長期間持続する緩効性の肥料を使いますが、生育時期の追肥は液体肥料を使います。追肥する際に液体肥料は、根元に直接施さないようにしましょう。
フリチラリアは害虫が発生しにくい冬が生育適期なので、害虫の被害を受けにくい特徴があります。ただし春先になると大量発生しやすいアブラムシは、フリチラリアにとっても注意すべき害虫です。アブラムシが大量発生すると開花時期になっても花が咲かないこともあるので、発見したらすぐに駆除しましょう。
フリチラリア特有の病気はありませんが、フリチラリアの葉や茎に付着するアブラムシが病気の原因となるウイルスを持っていることがあります。そのためフリチラリアでは、アブラムシが大量発生しないように注意することが病気の対策になります。
耐暑性が弱いフリチラリアは5月下旬までに開花時期が終了し、夏越しをして翌年の植え付けを待ちます。そのため開花が終わったフリチラリアは早めに花茎を剪定し、梅雨入り前までに苗全体が枯れるようにします。剪定せずに残った葉が黄色になりはじめたら、夏越しの準備を始めましょう。
品種改良によってさまざまな種類のフリチラリアが流通していますが、日本で主に流通しているフリチラリアは暑さに弱いのが特徴です。そのため気温が高くなる前に夏越しの準備をし、正しく夏越しをさせることが翌年の花つきに影響します。
フリチラリアを庭植えした場合の夏越しは、花後の処理を終えたら夏越し用の土に植え替えるのがポイントです。葉が8割程度変色したら球根を取り出し、古い土を払い落として涼しい日陰で乾燥させます。乾燥したら植木鉢にバーミキュライトを入れ、球根を埋めて涼しい日陰で植え付けまで管理します。
鉢植えの夏越しは、夏越しに入る前にしっかりと球根を乾燥させることがポイントです。開花時期を過ぎ葉全体が黄色に変色したら、球根を取り出し日陰でしっかりと乾燥させます。乾燥後は日が当たらないように新聞紙などで包み、涼しい場所で植え付け時期まで保管します。
球根類であるフリチラリアは、種まきや苗で増やすことはできません。また球根を包丁などでカットする増やし方もNGです。球根は自然に分球するので、分球したら夏越し後の植え付けと同じように10月頃に植え付けましょう。自然分球が難しい場合は、園芸店から球根を購入することで計画的に増やせます。
出典:写真AC