ホップの栽培②日常の育て方
苗の植え方の次はホップの日常の育て方についてのご説明です。成長していく苗の手入れで気をつけたいのは、つるや葉に生えている登はん毛がとげのように鋭いことです。長袖や手袋を着用し、首筋を手ぬぐいなどで保護して作業しましょう。
水やり・肥料
ホップは成長が早く、生育期にはたくさんの水が必要です。鉢やプランターでの育て方の場合は、土の表面が乾いたら底から水が出るまで水やりします。特に夏は日の当たり具合によって、朝と夕方2回の水やりが必要です。地植えの場合は基本的には降雨だけで十分ですが、日照りや乾燥が続いた場合は水やりをします。
肥料を追加する時期
肥料は、成長が活発になり小さな花がつく6月頃に追加します。化成肥料なら1回、液体肥料なら月に2~3回が目安です。芽が出る前の2月にも緩効性化成肥料を施します。
つるの誘引
ホップは植え付け1年目は約3m、2年目以降は6~8mまで伸びます。つる性植物ですので、絡みつくものが必要です。伸びたつるをフェンスや支柱などに、麻紐などでゆるめに縛ってあげます。斜めに伸ばす場合は角度によって自力で巻きつきにくくなるので、こまめな手入れが必要です。また、葉が風に弱い特徴があるので、風で揺れにくいように適宜テープ留めをしましょう。
剪定の方法
ホップの芽がたくさん伸び始めたら、剪定をします。つるが多すぎると株の栄養が不足して、毬花がつきにくくなってしまうからです。太く健康そうなつるを選んで残し、その他のつるは根元から除去します。地植えの育て方の場合は5~6本、鉢植えでは2~3本に絞るのが目安です。後から出てくる芽も剪定します。
地上1.5mまでは脇芽を取る
地上1.5mくらいまでは毬花もつきにくいので、そこまでは脇芽を剪定して栄養分の分散を防ぎます。「これ以上高くしたくない」という高さになる前にはつるの先端を剪定して、上方向への成長を止めるか、ひもを張って横方向に誘引しましょう。主幹の成長が抑制されて脇芽が出るので、つるの先の方につきやすい毬花の収量が上がります。
病害虫と対策
ホップにはアブラムシがつきやすいです。栄養を吸い取られて株が弱るだけでなく、アブラムシの分泌物がすす病の原因となります。うどんこ病やベト病、ハダニやアオムシにも注意しましょう。毎日観察して早めに手入れするのが肝心です。食用目的で栽培しているものに農薬を使う場合は、記載の使用方法をよく読み、残留に注意します。
夏の手入れ
ホップは高温多湿には弱く、収量を増やすためには暑さ対策が必要です。強い日差しは遮光ネットで日よけをします。収量は落ちますが、最初から半日陰で育てると水やりも楽になるので選択肢の一つです。二重鉢にするのも有効ですが、大きな鉢では重ねる鉢の入手が大変かもしれません。その場合は発泡スチロールの箱を利用する方法もあります。
ホップの栽培③収穫
ホップの収穫時期は7~9月で、開花後40~45日が経過した頃です。毬花の苞葉のつけ根のルプリンが淡黄色になり、特有の芳香が感じられるようになったら収穫します。収穫後に速やかに乾燥させる必要があるので、晴れた日の朝に行うのが肝要です。毬花が熟し切るとばらばらになるので、時期を逸しないように緑のうちに収穫しましょう。
株が育てば毬花も増える
収穫方法は、毬花がついたつるを切り取って下ろし、毬花のつけ根をはさみで切り取るだけです。植えた年にはたくさん収穫できないかもしれませんが、2~3年を経過して株が育ってくると収量も増えていきます。
収穫後の保存
収穫後は速やかに乾燥させるか冷凍保存しましょう。冷凍保存が一番手軽で、袋に入れてストローで吸うなどして空気を抜いてから冷凍します。最も長持ちするのは、45~55℃の温風を合計10時間程度当てて乾燥させる方法です。食器乾燥機や布団乾燥機などを利用するのもよいでしょう。自然乾燥では毬花の劣化に追いつかず、酸化して悪臭に変わることもあります。
ボタ爺
ホップは宿根草じゃから冬の手入れも大切じゃ。ホップの利用方法についてもご紹介するぞ。ビールが美味しく飲めそうじゃわい。
出典:写真AC