ケト土とは
ケト土、苔玉を作ったことのある人は知っていますよね。すこし湿り気のある真っ黒い土…。ケト土の成分は湿地や川辺の植物、葦やヨシ、マコモ等が水中に堆積し炭化したものです。植物が完全に分解されていないので、繊維質や栄養分も多く、泥状なので粘り気もあります。
ケト土の特徴
ケト土、なんだか珍しい土ですね!
ケト土は一般的な園芸では、ほとんど使用することがない土です。しかし、たいへん特徴的な土なので、ケト土を使う園芸では、他に代用できるものがない唯一の土です。そんなケト土の特徴を説明します。
特徴①保水性
ケト土は、葦やヨシ、マコモなどの水草などの水辺に育つ植物が枯れて、長年、水底に堆積してできた土です。繊維質をたいへん多く含んでいるので、とても保水性に優れています。買ってきた袋をひなたに出しっぱなしにしておくと、すぐに結露がびっしり付きます。
特徴②通気性
保水性に優れている反面、通気性は全くと言っていいほど、ありません。そのためケト土は単体で使用することは、ほとんどありません。赤玉土や水苔など、作るものにより混ぜるものを使い分けて使用します。
特徴③粘り気
ケト土は、はじめに袋から出して触ってみると、湿り気があって繊維質の多いボソボソっとした印象です。水分をスポイトなどで少しずつ加え、丁寧にこねていくと粘り気が出てきます。この粘土のような性質を生かした使い方をします。
特徴④固まる
ケト土は放置して乾燥するとカチカチに固まってしまいます。固まってしまうと使えなくなってしまうので、保管には注意が必要です。
特徴⑤豊富な栄養分
長年、葦やヨシ、マコモなどの水草が自然に堆積し、炭化したものなので栄養分が豊富です。腐葉土の代用にもなり、土を多く使えないところでも植物を培養することができます。
ケト土の用途
そんなケト土、どんな使い方ができるの?使うのがむずかしそうです。
ケト土は単体で使用することは、ほとんどありません。用途によって混ぜる土などが違うので、作るものや苗の種類により使い分けをする必要あります。腐葉土の代用になりますが、無臭です。ケト土をつかう園芸の代表的なもので使い方を説明します。
用途①苔玉
苔玉はケト土の代表的な園芸です。ケト土に通気性のある土や水苔などを混ぜて用土を作り、苗の根を包むように丸めます。ボールのように丸めたら、はいゴケを貼り付け、糸を巻いて出来上がり。そのまま何年も持ち込めます。腐葉土の代用でもあるケト土ならではの園芸です。
用途②石付き盆栽
ケト土は盆栽にも使用されます。傾斜した岩場に根付いた樹形を表現するときに、苗木を石に固定する接着剤のような使われ方をします。これは、石付き盆栽と呼ばれるものです。皿のように薄い石にケト土で土手を作り、そこに用土を入れて鉢の代用のような使い方もできます。樹種により、赤玉土や短く刻んだ水苔などを混ぜて使います。
用途③ビオトープ
ビオトープはケト土が本来あった場所を再現する園芸です。ケト土8:と赤玉土2で混ぜ、睡蓮鉢などの底に敷きます。用土の高さに変化をつけると自然の水辺の風景に見えます。そこに水性植物をレイアウトして植え付けます。水が濁ることが気になりますが、水中で流れが当たらないよう気をつければ、澄んだ水を維持することができます。
睡蓮を育てるときに鉢底にケト土を敷くと水中に鉢を沈めたときに重りにもなります。
ケト土の入手方法
ケト土は盆栽園や大きいガーデニングショップ、ネットショップでも手に入れることができます。だいたい2Lで300円くらいで購入できるでしょう。また、苔玉用として売っていることもあります。植物によって使い分けが必要なので、何を作るか決めてから、そのとき使う分だけ購入することをおすすめします。
ケト土を使用するときの注意
ケト土には硬い繊維質や分解されていない小枝、小石などがまざっています。それらで指に怪我をしてばい菌が入る可能性があるので、使用するときは厚手のゴム手袋を必ず着用します。食器洗い用のゴム手袋を用意すると良いでしょう。
ケト土の保存方法
ケト土が余ったときの保存方法としては、放置し乾燥させないことが大切です。土を一つにまとめてサランラップで空気が入らないように二重に包み、さらに空気が入らないよう厚手のビニール袋に入れて密封し、暑くならないような場所に保管します。他の土などと混ぜたものも同様に保管できます。
だいたい半年を目安に使い切りましょう。やや乾燥していたら、少しずつ水を加え、耳たぶくらいの柔らかさに練り直すと良いです。
ケト土って、よく聞くけど…どんな土なの?