ケイカルとは?
ケイカルはケイ酸質肥料
公定規格でケイ酸質肥料として定められているものは以下の5種類になります。
- 鉱さいケイ酸質肥料
- 軽量気泡コンクリート粉末肥料
- シリカゲル肥料
- シリカヒドロゲル肥料
- ケイ灰石肥料
ケイカルの原料
高炉や電気炉で鉄をはじめとした各種金属を製錬するときや、特殊鋼や合金を製造するときに副産物として生成する「鉱さい」が原料となります。現在では製銑鉱さい、シリコマンガン鉱さいを原料とするものが多いです。
ケイカルの成分
主な成分としてケイ酸、石灰(カルシウム)、苦土、マンガン、鉄等が含まれており、原料とする鉱さいにより微量要素が変わります。保証成分は可溶性ケイ酸が10%以上、アルカリ分35%以上が含有することが必要と定められています。微量要素が含まれる場合は、アルカリ分の含有量が変わりますので主なものを表にまとめてみました。
可溶性ケイ酸 | アルカリ分 | その他微量要素 |
10%以上 | 35%以上 | 保証成分量以下 |
10%以上 | 30%以上 | く溶性苦土1%以上 |
10%以上 | 25%以上 | く溶性マンガン1%以上 |
10%以上 | 25%以上 | く溶性苦土1%以上+く溶性マンガン1%以上 |
ケイカルの特徴は?
土に溶けやすいケイ酸を多く含む
岩石を構成しているケイ酸は水分に溶けづらく、植物が直接根から吸収することはできません。しかし、ケイカルには可溶性ケイ酸が多く含まれ、土壌水分中の酸に溶けやすいため根からの吸収が容易という特徴があります。
カルシウム供給の効果がある肥料
カルシウムは植物にとって必須元素であり、欠乏すると様々な生理障害を引き起こします。ケイカルは石灰を多く含むため、施用によるカルシウム供給効果が期待できます。
様々な微量要素も多く含む優れた肥料
植物には少量ながらも必ず必要な元素があります。人間で言えばミネラル源であり、欠乏すると特徴的な症状が出てきます。ケイカルには苦土、マンガン、鉄、ホウ素といった植物の生長に必要な微量要素も含む優れた肥料です。
土壌改良剤としての効果は?
ケイカルはアルカリ性の土壌改良剤
ケイカルはアルカリ性の性質を持ちます。その性質をいかし畑作物の土壌改良剤として用いられることが多く、酸性矯正の効果を目的に施用されています。
酸性矯正の効果は?
石灰質肥料である炭酸石灰や消石灰と比較して、酸性矯正の速度は緩やかで効果が長続きする特徴があります。炭酸石灰などの代わりに施用する場合は、10~20%程度増量します。
リン酸の肥料効果を高める
火山灰土壌などでは、植物の生育に必要なリン酸がアルミニウムに固定されやすく、根から効率よく吸収されません。ケイ酸を施用すると、固定されたリン酸は植物が吸収しやすい状態になり肥料効果が高まります。
ケイカルの肥料としての効果は?
米作りにケイ酸は欠かせない
植物にとってケイ酸は必須成分ではありませんが、イネ科植物では吸収量が多く重要な成分の一つとされています。そのためケイ酸を多く含むケイカルが水稲栽培に用いられています。
水田施用ではどのような効果があるのか?
ケイ酸には水稲に対して以下の効果が期待できます。
- 倒れにくくなる
- 光合成の能力が向上する
- 病害虫に強くなる
- 根の活性が高まる
- おいしいお米がたくさんとれる
倒れにくくなる
根から吸収されたケイ酸は表皮組織へ集まり、膜となる細胞(ケイ化細胞)を発達させるため表皮組織が強化されます。そのため倒れにくく、丈夫な水稲になります。
光合成の能力が向上する
倒れにくくなると水稲の葉は直立できるため、効率よく光を受けることができます。そのため光合成の能力が向上し、より多くの養分を生産できることになります。また、枝の徒長も抑えられる効果も期待できます。
病害虫に強くなる
表皮組織の強化により、いもち病をはじめとした病原菌の侵入やウンカなど害虫の食害に強くなります。また、もみ殻のケイ酸含有量が高まると斑点米の原因となるカメムシの食害が抑えられます。
根の活力が高まる
植物は根から有機酸を出すことで土壌中の有害な物質を無毒化するだけでなく、必要とする元素の取り込みにも役立てています。この酸化力が増すことで根の活力が高まり、根腐れなどの防止につながります。
おいしいお米がたくさんとれる
お米のおいしさはタンパク質が大きく関係しており、米粒中の量が多くなれば味が落ちてしまいます。タンパク質を作るには根から吸収された窒素が使われますが、ケイ酸はその窒素をでんぷんなどの炭水化物の生産に回すため、その分タンパク質の生産量が少なくなり味がよくなります。また、もみ殻中に含まれるケイ酸が多くなると、もみ殻が太り粒の大きな玄米がとれるようになります。このようにしておいしいお米がたくさんとれるようになるのです。
まとめ
ケイカルは日本の食卓には欠かせないお米をつくるのに、重要な役割を担う肥料でしたね。小規模なホームセンターではなかなか入手しづらいかもしれませんが、興味のある方はインターネット販売なども利用してみてはいかがでしょうか?これを機会に家庭菜園でもぜひ取り入れて頂き、よりよい土づくりを目指してみてくださいね。