尿素肥料とは?
尿素肥料の成分
尿素肥料の成分は窒素(N)です。肥料に必要とされる重要な成分は、窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)で肥料の三要素とよばれます。土の中には養分がないわけではありませんが、自然界に存在する養分だけでは足りないため、尿素のような肥料を使用するわけですね。とりわけ、肥料の三要素とは、特におぎなわなければならない三つの成分であり、尿素肥料はその中の一つである窒素(N)のみを46%含む単肥です。窒素以外の成分は炭素(C)、水素(H)、酸素(O)です。
尿素肥料は化学肥料
尿素肥料は化学肥料です。肥料には有機質肥料と化学肥料があります。有機質肥料は動物のふんや米ぬかなど、動物性の有機物を原料としたもので、独特の臭いがあります。一方、化学肥料はおもに無機物からつくられていて、臭いの気にならないものがほとんどです。化学肥料には尿素、硫安、硝安、硫酸加里などがありますが、化学肥料を2成分以上含んだものは「化成肥料」とよばれます。
肥料三大要素の効能
尿素肥料は窒素を含む肥料です。まず、窒素の効能についてご紹介しますが、肥料の三要素であるリン酸とカリウムの効能についてもまとめてみました。
窒素(N)は葉や茎を大きく育てる
尿素肥料の成分である窒素(N)は「葉肥」ともよばれ、葉や茎の成長に効能があります。窒素(N)は植物のからだをつくるタンパク質の重要な構成要素ですので、尿素肥料は葉や茎の成長を促進する効果があるのです。
リン酸(P)は花つきや実つきをよくする
リン酸(P)は花つきや実つきをよくし、茎や葉を丈夫にする効果があります。リン酸が不足すると開花や結実が遅れたり果実の甘みが落ちるほか、下葉から葉柄が紫色になり幅も狭くなります。
カリウム(K)は根や葉、茎を丈夫にする
カリウム(K)は根の発達を促進し、葉や茎を丈夫にする効能があります。カリウムが不足すると病気に対する抵抗力や耐寒力の低下など環境への抵抗力が弱まります。
成分 | 効果 | 欠乏症状 |
窒素(N) | 葉や茎を大きく育てる | 生育がおとろえる。 下葉の葉先から順に黄色くなってくる。 |
リン酸(P) | 花つきや実つきをよくする | 開花や結実が遅れたり果実の甘みが落ちる。 下葉から葉柄が紫色になり幅も狭くなる。 |
カリウム(K) | 根の発達を促進し、葉や茎を丈夫にする | 病気に対する抵抗力や耐寒力の低下など、 環境への抵抗力が弱まる。 |
尿素肥料の特徴
即効性がある
尿素肥料は即効性のある肥料です。元肥としての使い方もできますが、すぐに効果がでるのでどちらかといえば追肥に向いています。一方、有機質肥料はじわじわと効果があらわれて長く効くので、元肥にむいています。
液肥として使用できる
尿素肥料は非常に水にとけやすいので、液肥としての使い方ができます。具体的な使用方法は後ほどご紹介します。
尿素肥料とよく似た肥料(硫安)
硫安肥料とは?
硫安肥料は尿素肥料とよく似た肥料です。尿素肥料と同じく、窒素のみを含む単肥ですが、窒素は硫酸アンモニウムというかたちで含まれています。効き目がはやくあらわれる化学肥料で、尿素肥料と同じ目的でよく使われる肥料です。
窒素含有量が違う
尿素肥料と硫安肥料では窒素含有量が違います。尿素肥料は窒素含有量46%ですが、硫安肥料は21%です。尿素肥料の方が窒素含有量が高いので、施しすぎに注意が必要です。とくに気温が高いときには分解がはやく、障害が出やすいので注意しましょう。
pHが違う
硫安肥料は尿素肥料と違い、土壌を酸性にします。そのため硫安を使用する場合には、作付け前に土のpHを調べ、必要であれば石灰を投入して中和する必要があります(硫安をまく7〜10日前に)。尿素は中性ですので、そのような必要はありません。硫安には、あえて土壌を酸性にしたい場合に施すという使用方法もあります。
尿素と硫安の違いのまとめ
尿素と硫安の違い
尿素 | 硫安 | |
窒素含有量 | 46% | 21% |
pH | 中性 | 酸性 |
効き方 | 早い | 早い |
コストパフォーマンス | 良い | 良い |
尿素肥料を与える時期・タイミング
尿素肥料を与える時期
植物の新芽が出ようとするときや、茎や葉が旺盛に伸びているときが尿素肥料を与える時期です。尿素肥料は茎や葉の成長に効能があるからです。逆に真夏や真冬で植物が成長していない時期は必要ありません。
尿素肥料が必要な植物のサイン
なんとなく葉や茎の成長が悪いなと思ったら、窒素(N)の不足かもしれません。尿素肥料の成分である窒素(N)が不足すると、植物は生育がおとろえ、葉や草丈が小さくなります。また下葉の葉先から順に黄色くなってきます。窒素(N)は茎や葉の成長に効能があるので、このような現象を改善する効果があります。
尿素肥料は過剰にあたえない
尿素肥料は過剰にあたえてはいけません。葉や茎の成長に欠かせない肥料ですが、薬も過ぎれば毒となります。尿素肥料をやりすぎると、葉が濃い緑色になり、茂りすぎる状態になります。葉や茎ばかりが成長した状態になり、開花や結実がおくれます。また株が弱って病害虫にかかりやすくなります。葉や茎などが、うどん粉をまぶしたように白くなる「うどん粉病」は窒素肥料をあたえすぎることでよくみられます。
ボタニ子
続いて、尿素肥料の使用方法(使い方)をご紹介!
尿素肥料の使用方法
土に混ぜ込む
元肥として土に混ぜ込んで使うことができます。即効性がある反面、効果の持続性は短いので、元肥として使うにはその点に注意が必要です。1回の使用量は1㎡に20gまでです。やりすぎに注意しましょう。
液肥にしてまく
液肥としての使い方でも、施しすぎにならないように希釈と計量に注意しましょう。水で100〜200倍にうすめてまきます。水6ℓに20gを溶かします。土に混ぜ込む場合と同様に、これが1㎡あたり1回の使用限度量です。液肥は施してから数時間後には植物に吸収され、効果を発揮します。
葉面散布する
尿素肥料には、スプレーで葉面散布するという使い道があります。葉色が悪く、株の生育が悪いなと思うときに水で薄めた尿素肥料をスプレーするとよいでしょう。特に根が弱っているときには液肥にしてまくよりも葉面散布がおすすめです。水1ℓに尿素5〜3.3gを混ぜます。200〜300倍の希釈です。液肥としてまくよりも効果がはやいです。
素手でさわらない
水を吸って溶け出した尿素を素手でさわると手が荒れることがあります。液肥で使用する際にはビニール手袋などをはめて、素手でさわらないようにする使用方法をおすすめします。
しっかり封をして保存
水にとけやすい性質である尿素は湿気を吸って固まりやすいので、使いかけのものは密閉して空気になるべくふれないように保存しましょう。1回で使いきれる量を購入するのもよいでしょう。
まとめ
尿素肥料の特徴と使い方
- 尿素肥料の成分は窒素
- 肥料の三要素は窒素、リン酸、カリウム
- 尿素肥料は葉や茎の成長に効能
- 尿素肥料は即効性のある化学肥料
- 尿素肥料は液肥や葉面散布に使用できる
- 尿素肥料は施しすぎに注意する
- 尿素肥料と硫安の違いは窒素含有量とpH
例えば、住友化学園芸社の「花工場」は窒素5%、リン酸10%、カリウム5%を含む化成肥料です。