スパニッシュモスの概要
スパニッシュモスは「ウスネオイデス」や「サルオガセモドキ」という名前でも流通しているエアープランツです。モフモフとしたかわいらしい姿が人気で、インテリアグリーンや観葉植物とても人気があります。用土を必要としないため、天井から吊り下げたり、ワイヤーバスケットを使用して仕立てたりと、おしゃれな飾り方ができるのが魅力です。
基本情報
学名 | Tillandsia usneoides |
英名 | Tillandsia usneoides、Spanish moss |
別名 | ウスネオイデス、サルオガセモドキ |
科名・属名 | パイナップル科・チランジア属 |
耐寒性 | やや強い |
耐暑性 | やや強い |
特性・用途 | エアープランツ、観葉植物、インテリアグリーン |
栽培難易度 | ★☆☆☆☆ |
特徴
スパニッシュモスは北アメリカ南部~南アメリカが原産の多年草です。ほかのエアープランツの品種と比べて成長スピードが速く、こんもりとした咲き姿を楽しめます。スパニッシュモスは常緑性のため、いつでも美しい葉を楽しめるのが魅力で、観葉植物としても人気です。株が大きく成長すると、不定期でまれに優しい香りのする緑色の小さな花を咲かせます。
名前の由来は?
スパニッシュモスは「スパニッシュ(スペインの)モス(苔)」という意味がそのまま名前の由来になっています。別名の「ウスネオイデス」は英名の「Tillandsia usneoides」からつけられました。また「サルオガセモドキ」は垂れ下がるように伸びる「サルオガセ」という植物に似ているためについた別名です。
花言葉は?
スパニッシュモスには「不屈」という花言葉がついています。スパニッシュモスはエアープランツに分類されており、用土がなくてもすくすくと成長して花を咲かせるのが特徴です。その丈夫な性質から「不屈」という花言葉がつけられました。
スパニッシュモスの育て方①栽培環境
栽培方法
スパニッシュモスは育て方が簡単で、用土が不要なことから購入後そのまま机の上に置いておくだけでも育てられます。茎が長く伸びるため、吊るして下に枝垂れるように飾るのがおすすめです。
育てる場所
置き場所・日当たり
スパニッシュモスは、風通しのよい置き場所で管理してください。耐陰性がありますが、日光の全く当たらない場所で育てると、茎だけが徒長して葉付きが悪くなります。また、直射日光に長く当てると、葉焼けを起こして枯れる恐れがあるため注意しましょう。適度に湿度がある場所を好むことから、エアコンの風が直接当たるような置き場所は避けてください。
室内・屋外
スパニッシュモスを室内で育てる場合は、壁にぴったりくっつけて飾ると、壁に触れている部分が変色したり弱ったりします。そのため、壁から離して風になびくように吊るすのがポイントです。屋外で管理する場合は直射日光が当たらないような場所で育てます。木の枝に引っ掛けたり、ベランダに吊るしたりして風に当たる場所で管理しましょう。
スパニッシュモスの育て方②管理のポイント
スパニッシュモスはエアープランツですが、とても水を好むタイプに分類されます。空気中の水分だけでは足りず、しっかりと水やりをしないと枯れてしまいます。また、一般的な草花は根から水分や栄養分を吸収しますが、スパニッシュモスは根からは吸収しません。水やりや肥料の与え方のコツをおさえて、上手に管理していきましょう。
水やり
エアープランツは空気中の水分を吸収しますが、全く水やりをしないと枯れてしまいます。葉の色をよく観察しながら育てましょう。葉の状態をみながら「ミスティング」と「ソーキング」という方法で水やりをします。
ミスティング
ミスティングとは、名前のとおりミストをふりかけるように、霧吹きで全体にまんべんなく水分を与える水やり方法をさします。スパニッシュモスは夜中〜明け方にかけて水分を吸収する性質があります。1週間に1回〜2回の割合で、夜になってから株がしっとりと湿る程度にミスティングをしてください。
季節ごとの水やりのコツは?
春〜秋にかけては、風通しのよい半日陰に吊るし、2日〜3日に1回たっぷりと水を与えます。気温が低い時間帯に水を与えるのが重要で、昼間の直射日光に当たる場所で水を与えると株が蒸れてしまうため注意が必要です。冬に室内で管理している場合は、エアコンの使用などで株が乾燥しやすくなることから、毎日ミスティングをしても構いません。
ソーキング
ソーキングとはバケツなどの大きな容器に水を張り、株ごと水に浸す水やり方法をさします。空気中の水分とミスティングの水分だけでは足りない場合があり、水分をたっぷりと与えるために行う水やり方法です。ソーキングは1カ月に1回、3時間〜6時間程度行います。株の付け根から先端部分まで、しっかりと水に浸かるような水量で行うのがポイントです。
肥料
スパニッシュモスは比較的丈夫な植物のため、肥料を与えなくても問題なく育ちます。しかし、株を大きくしたい場合や、花を咲かせたい場合は肥料を与えてください。春と秋に1カ月に1回の割合で、規定の分量よりも薄めた液体肥料をミスティングの代わりに施しましょう。肥料を与えすぎると、肥料やけを起こして枯れる原因になります。
枯葉取り
スパニッシュモスを育てていると、根元付近の葉が茶色く枯れ込んでくる場合があります。きちんと管理していても、エアープランツにはよく見られる現象のため「枯葉取り」をして、きれいに整えるのがおすすめです。茶色く変色している部分は手で優しく触れるだけでポロっと取れます。無理な力を加えないように枯葉取りをしてください。
枯葉取りは必要?
スパニッシュモスは、中南米では自然界に自生している植物です。野生のスパニッシュモスは枯葉取りなどを行わなくても問題なく育ちますが、室内で管理している場合は枯れた部分を放置すると腐敗したりカビたりします。また、見た目も悪くなるため、枯葉取りは必ず必要ではありませんが、きれいに株を保つためには欠かせない作業です。
スパニッシュモスの育て方③病害虫被害
スパニッシュモスは多湿な環境が苦手なため、風通しのよい場所で管理しないと病気や害虫被害を受けやすくなります。室内で管理する場合は、壁にくっつけたり、浴室などの湿度の高い場所で管理したりするのは避けてください。
病気対策
すす病
すす病は「糸状菌」というカビが原因で発生する病気です。すす病に感染した部分は、すすで覆われたように黒色に変色します。葉の表面が変色すると光合成の妨げになり、株が弱ったり枯れたりするため注意が必要です。アブラムシやカイガラムシの排泄物に菌が繁殖する場合が多く、殺虫剤などを使用して害虫を駆除しておきましょう。
害虫対策
ハダニ
ハダニはやや乾燥した時期に発生しやすい害虫です。葉の内側や裏側などの見つけにくい場所に発生するのが特徴で、スパニッシュモスの栄養分を吸汁しながら成長します。水が苦手な性質のため、葉を乾燥させないのが発生を防ぐポイントです。定期的にミスティングすれば、ハダニは予防できますよ。
コナカイガラムシ
コナカイガラムシもスパニッシュモスの葉を吸汁します。まるで小さな綿ぼこりのような害虫です。ほこりのように見えるのは粉状の白いロウ物質で、これで身を守っています。厄介なのが、ロウ物質のために殺虫剤が効きにくいという点です。駆除する場合は、歯ブラシなどを使用して株から優しく払い落とします。強くこすると、スパニッシュモスの葉や茎を傷つけてしまう恐れがあるため、力を加えずに払い落としましょう。
ボタニ子
コナカイガラムシがつくのはまれだけど、つかないとは言い切れないわ。もし白い綿ぼこりのようなものを見たら要注意ね!
次のページでは、増やし方とおしゃれな飾り方をご紹介します。
出典:写真AC