はじめに
スギナは雑草の中でも地下茎で増えるとても除去の難しい植物です。畑だけではなく、庭に芝生に花壇にどんどんと根を伸ばします。地表から抜くようにしても、途中で切れて根は土の中に残ってしまいます。今回はスギナの枯らし方について、除草剤(ラウンドアップやサンフーロンなど)はもちろん、塩や石灰資材を使う駆除方法、有効な道具についてご紹介していきます。
スギナはどんな雑草か
スギナはトクサ科に属し、シダ植物に分類されています。地下茎を伸ばして増えていく方法と、春の野草であるツクシとして胞子を飛ばす方法で繁殖していきます。つまり、ツクシが大量に発生している場所は、後々にはスギナが繁茂する場所になるということが多いです。
スギナが見られる期間はどのくらいでしょう
草丈は1cmから長いと60cmにもなります。国内での分布状況は北海道から九州まで、日本の寒暖差なら影響を受けずに、どこでも見られます。生育期間はツクシとして登場する3月から、霜がおりるころまでスギナとして地表で確認できます。なお、ツクシのときは光合成をすることがなく、スギナとして姿を変えてから光合成を始めます。
繁殖器官は3つ、胞子、そして根茎と塊茎(合わせて地下茎)です。
根茎(こんけい)の特徴とは
根茎は文字通り根のことですが、縦に(垂直に)伸びる茎と、横に(水平に)広がる茎に分かれます(そのため、手で抜く方法は難しく、力を入れても途中で切れてしまうのです)。ある実験によると、垂直な茎は萌芽適温が20℃、水平な茎は10℃という結果がありました。つまり、冬の間に地面の中で横に広がり、暖かい春を迎えるといっぺんに地表に顔を出すといったことでしょう。
塊茎(かいけい)の特徴とは
塊茎とは根茎の所々にできるこぶ状のものです。ここには栄養が豊富に詰まっています。耕耘によって地下茎が寸断されても、塊茎から芽が発生します。萌芽の適温は20℃と言われています。ただし、温度の幅は広く地下茎のどちらも5℃から35℃の間でも、休眠せずに根の伸長活動を続けていきます。トラクターや管理機で除去しようとした結果、逆に散らばって生育範囲が広がってしまったといったことにもなりかねません。
こんな違いがあります
根茎と塊茎のどちらがより耐性が強いかと言うと、根茎になります。なんと45℃以上の高温や土の中の水分率が60%も失われる乾燥状態になっても枯死することがありません。しかも、深く耕せば耕すほど、その深さに対抗するように地下茎を下に下に伸ばしていく性質があるのです。
スギナが生息しやすい場所
スギナは生息する場所を選びません。家庭菜園をしている畑でも、花壇でも、芝生でも、庭でもお構いなしです。地上部でキレイに区画していても、地中がひと続きであれば地下茎は際限なく伸びていきます。それでも好みの環境はありますので、見ていきましょう。
土壌酸度は酸性が好み
シダ科の植物であるスギナは、酸性土壌で生えやすいと言われています。ただし、中性に近いところでも生育することはあります(むしろ、中性土壌が最も適しています)。スギナが群生しているような場所で野菜を育てることは難しいかもしれません。
ボタニ子
実はこんな話もあります!
元々、酸性土壌で生育する作物は少ないです。スギナを含めて酸性の土壌でも生える雑草は、酸性の土壌でしか育たないというわけではありません。土壌のpHに大きく左右されないだけです。アルカリ性の土壌でも全く育たたないわけではありません。酸度を測れる道具を持っているならば、スギナが生えている場所を測ってみるといいでしょう。
乾燥より湿気が好み
前述したとおり、スギナは45℃以上の高温でも、土壌の水分率が60%を切っても生長が止まることはありません。ただ、生長しやすい場所に向かっている結果、乾燥している土よりもある程度の湿り気のある土を選んで群生してしまうということになります。植物も動物も居心地のよい場所が空いていれば、そこに向かってしまうのは同じでしょう。
日なたより日陰が好み
日陰で目にすることの多いスギナですが、日なたを苦手としているわけではありません。日なたではよりその環境に適している雑草が茂っているため、相対的にスギナが少ないと感じてしまうだけでしょう。日陰で目立つのは、日陰で育つ雑草の種類が日なたのそれに比べると少ないため、スギナがよく育つと錯覚してしまうのです。
スギナが厄介である理由
スギナを撲滅させるのが困難な理由は地下茎にあります。その深さは浅いところでも地表から30cm下にあると言われています。スコップで掘れば到達しますが、横に広がり、ほんの小さな一片でも土の中に残っていれば、そこから新芽が出てきます。地力の低い場所でも生長するので、一度生えると厄介です。除草剤(ラウンドアップやサンフーロンなど)を散布しても平気な場所なら、それが手っ取り早いですが、他にもいくつかの方法を見てみましょう。
出典:写真AC