エンドウ豆とは、サヤの中の豆だけを食べる「実エンドウ」に分類されるつる性一年草です。紀元前からエジプトなどで栽培されていて、日本では明治時代から本格的に品種改良が進められていきました。ビタミンC、A、B1、カリウムなどが豊富で、比較的育てやすいため家庭菜園にも人気の互い野菜です。
園芸部類 | 野菜 |
形態 | 一年草 |
樹高 | 40cm~200cm |
花の色 | 白・ピンク |
耐寒性 | やや強い |
耐暑性 | 弱い |
耐陰性 | 弱い |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
エンドウ豆は、中央アジアや中近東が原産のマメ科エンドウ属の植物です。葉は丸い羽のような形で互生し、先端の葉は細いヒゲ状になっているのが特徴です。花はマメ科特有の蝶形で、白やピンク色の花を下から順番に咲かせます。果実はサヤ状で複数の丸い実が中に入っているのも大きな特徴です。
ウスイエンドウとは、明治時代にアメリカから大阪府羽曳野市の碓井地区に伝わった誉田碓井えんどうを品種改良したもので、現在は和歌山県の特産品として有名です。実が大きくて皮が薄く、ほくほくとした食感が特徴で、青臭さも少ないので豆ごはんや卵とじなどの料理に利用されます。
ツタンカーメンのエンドウ豆は、ツタンカーメンの墓で発掘された豆を栽培したものの子孫だとされている品種です。紫色のサヤが大きな特徴で、このサヤは熟してくると色が薄くなり中身が透けて見えてきます。実は薄緑色ですが、豆ごはんにして数時間保温しておくと赤飯のように色が変化する特性があります。
植え付け時期 | 2月~3月、10月~12月 |
花が咲く時期 | 4月~5月 |
実がなる時期 | 4月~6月 |
収穫時期 | 4月~6月月頃 |
エンドウ豆は、株が小さい時期に寒い環境にないと花を咲かせない特性があるため、10月~11月に種をまいて冬を越すのが適しています。芽や本葉が小さい時期は寒さに強いのですが、大きくなりすぎると寒さや霜に負けて枯れてしまいます。そのため、植え付けに適した時期は10月~12月上旬までです。
エンドウ豆は、プランターと露地栽培のどちらでも育てられます。エンドウ豆を栽培するのに適したプランターは深さ20cm以上、幅60cm以上で、植木鉢の場合は8号以上の大きさのものがよいでしょう。プランターで育てると用土や水分調整がしやすく、霜が降りない場所への移動もできるので初心者におすすめです。
エンドウ豆は草丈が2mに成長することもあり、屋外で育てるのに向いています。
エンドウ豆は日光を好み湿気に弱いので、日当たりと風通しのよい場所で管理するのが適しています。プランターや鉢で育てる場合は、日当たりがよく霜が当たらない場所に置いて管理しましょう。
エンドウ豆は連作障害を起こしやすい野菜です。エンドウ豆は、一度マメ類育てた土地では3年~5年は栽培しないようにしましょう。プランターで栽培する場合は、土を変えれば連作できます。
エンドウ豆を露地栽培するときには、水はけをよくして病気を防ぐために畝を作る必要があります。適した畝の大きさは、高さ10cm~20cm、幅60cm~120cmです。水はけの悪い畑の場合は、高めの畝にするとよいでしょう。
エンドウ豆は酸性の土に弱く、中性~弱アルカリ性の用土が栽培に適しています。また、水はけが悪いと根腐れを起こしてしまうので、水はけのよい場所や用土を選んでください。
露地栽培の場合は、種まきの2週間前に1㎡あたり100g~150gの苦土石灰を混ぜて中和させておくことが重要です。その後、種まきの1週間前には堆肥を1㎡あたり5kgと化成肥料を1㎡あたり50gを混ぜて耕しましょう。
プランターや鉢で育てる場合は、市販の野菜用の土、または赤玉土(小粒)7:腐葉土2:バーミキュライト1の割合の用土に苦土石灰10gを入れたものなどを使用します。種まきや植え付け前に、プランターや鉢に鉢底石を深さ2cmほど敷きつめてから8分目くらいまで用土を入れてください。
エンドウ豆の定植に適した時期は10月~12月です。自分で育てた苗は本葉が3枚~4枚になったら定植できます。また、エンドウ豆などのマメ科の植物は根が切れると育ちにくくなるので、根を傷つけないように注意してください。
エンドウ豆を定植するときは、株間は30cmほどあけましょう。ポリポットと同じくらいの大きさの穴をあけ、根を傷つけないようにポリポットを逆さにして苗を取り出します。土を落とさずに穴に入れて、土をかぶせて軽く押さえましょう。定植後はたっぷりと水を与えてください。
畑やプランターに種をまく場合は、株間を30cm~40cmくらいあけて、瓶などの底を使って深さ3cmほどのくぼみを作ります。1カ所に4個~5個の種をまき、2cmほど土を被せましょう。鉢で育てる場合は、1つの鉢に3個~4個の種をまきます。
種をまいた直後はたっぷりと水やりをし、その後発芽するまでは土が乾かないように水やりをします。また、寒さから守るためと鳥に種を食べられないように、寒冷紗や防虫ネットをかけておきましょう。鳥よけには、防鳥テープなどもおすすめです。
露地栽培では、根がしっかり張るまではたっぷりと水を与えますが、根が張ったら降雨だけで問題ありません。ただし、何日も雨が降らず土が乾ききっている場合は水やりをしてください。プランターや鉢植えでは、土の表面が乾いたら水やりをしますが、与えすぎると根腐れを起こすので注意しましょう。
本葉が5枚~6枚出てきたら、長めのしっかりした支柱を立てましょう。路地植えやプランターの場合は、支柱とエンドウネットの組み合わせが安定感があっておすすめです。2mの支柱をプランターの両端や畑に等間隔に立ててネットを渡します。鉢の場合は四隅に支柱を立てるとよいでしょう。
エンドウ豆のツルが20cmくらいに伸びたら誘引しましょう。ネットや横に張ったビニールテープにツルがまっすぐなるように、麻縄や誘引用の金具で留めます。留めるときにはきつく縛らないようにしてください。鉢植えの場合は、支柱に直接誘引しても大丈夫です。誘引をするときに、花があまり付いていない茎などを剪定して整枝しましょう。
エンドウ豆は霜に弱いので、防霜対策で寒くなる前にマルチングを行います。株元に軽く土寄せし、ワラやもみ殻などを敷いてください。露地栽培では、畝を作ったタイミングでビニールの穴あきマルチングシートを敷いてもよいでしょう。
追肥は「暖かくなってツルが伸び始めるころ」「花が咲き始めるころ」「収穫が始まるころ」の3回行います。エンドウ豆の根には窒素を作る根粒菌がいるので、チッソの少ない肥料やマメ類専用の肥料を与えましょう。露地栽培の場合は1㎡あたり50gほど、プランターや鉢の場合は1株あたり5gほどの肥料を与えてください。
エンドウ豆の葉が黄色くなって枯れてしまうのは、立枯病によるものです。マメ類を連作したときや酸性の土で栽培したときに起こりやすくなります。対処法は薬による治療です。
エンドウ豆は、育ち始めの時期に寒さに当たらないと花が咲かない性質をもっています。種をまく時期が遅いと花が咲かないことがあるので、種まきは10月~11月の寒くなる前にしましょう。
立枯病は、土の中のカビが原因で起こる病気です。連作したり土が多湿になったりしたときに起こりやすく、発病すると茎や葉が黄色く枯れていきます。連作を避け、株元の風通しをよくしてしっかり日光に当てるなどで予防しましょう。発病したら薬で治療してください。
春になると、葉や茎、サヤなどが、白く粉をまぶしたようなうどんこ病にかかりやすくなります。原因はカビで、空気の乾燥や風通しが悪くなると発生しやすい病気です。発病したらその部分を取り除き、広がったら薬を使用してください。
その他の病気 | |
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褐斑病 | カビが原因で3月~6月の雨が多い時期に発生しやすい病気です。褐色でデコボコした病斑が、葉・茎・サヤ・種などにできます。発生したら薬剤を使って対処しましょう。 |
ハモグリバエは3月~5月に多く発生するエンドウ豆の天敵です。幼虫が葉の中に潜って葉肉を食べ進むため、食べたあとが白い線を描いたようになります。発生したら被害を受けた葉を切り取ったり殺虫剤を使ったりして対処してください。
アブラムシは、茎や葉、サヤについて汁を吸い取る害虫です。汁を吸うときにモザイク病などのウイルスを媒介したり、排泄物に黒カビが生えてすす病が発生したりします。発生したら殺虫剤などを使って駆除してください。
その他の害虫 | |
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ヨトウムシ | ヨトウガの幼虫で夜に活動します。葉や花を食べるので見つけたら殺虫剤などで駆除しましょう。 |
育苗ポットへの種まきは、直まき同様10月~11月にします。6cmの育成ポットに用土を入れ、少し間隔をあけて3個~4個の種をまきます。種を土に指で軽く押して2cmほど埋め込み、覆土してからたっぷりと水やりをしましょう。その後は土が乾かないように水やりをしてください。
発芽後、本葉が2枚~3枚になったら間引きします。間引きする株の根元をハサミで切って、生育のよいものを1本~2本残しましょう。30日ほど経って、本葉が3枚~4枚になったら定植できます。