クライミングローズ(つるバラ)とは、つる性のバラのことです。主に小型のショートクライマー、大型や大輪系のロングクライマー、枝垂れ状のランブラーに分けられます。クライミング・ローズには元々の性質と、木立ち性のバラから変異したタイプの2つの系統があります。(半つる性のシュラブローズや木立ち性のブッシュローズは、別に紹介します)
園芸部類 | バラ、花木 |
形態 | 落葉性低木、つる性植物 |
樹高・つるの長さ | 1〜6m |
花の色 | 白、黄色、ピンク、オレンジ、赤、紫、褐色 |
耐寒性 | 強い〜やや弱い(品種による) |
耐暑性 | 強い〜やや弱い(品種による) |
特性・用途 | アーチ仕立て、生垣にも向く |
栽培難易度 | ★★★★☆ |
クライミング・ローズは枝を剪定したり誘引したりして、自在に樹形を整えて育てるつる性のバラです。品種によってつるの伸び方や花の咲き方には違いがあります。主に春の一季咲きと四季咲き性があり、アーチ仕立てやトレリスなどでボリュームよく育てたいかたには、クライミング・ローズがぴったりです。
つるバラの親木として知られているのが、ロサギガンティアです。大輪の一重の一季咲きで、枝がよく伸びる割に花付きはそれほどよくはありません。
バラ 苗 【つるバラ ピエール ドゥ ロンサール (CL) 大輪 返り咲き】 2年生 接ぎ木大苗 アーチ向け 薔薇 ローズ バラ の 苗
参考価格: 1,980円
大輪のカップ咲きのクライミング・ローズで特に人気の高い品種が、ピエールドロンサールです。枝を長く伸ばすと花をたくさん付けるので、広い面積におすすめの品種です。アイボリーやレッド系もあります。
おすすめ度 | ★★★ |
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バラ 苗 【つるバラ アンジェラ (CL) 四季咲き】 2年生 接ぎ木大苗 アーチ向け 薔薇 ローズ バラ の 苗
参考価格: 1,980円
中輪のカップ咲きでセミダブル(半八重)の房咲き(まとまって咲く)品種が、アンジェラです。花期は春がメインですが、繰り返しよく咲きます。
おすすめ度 | ★★★ |
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バラ 苗 【つるバラ フランソワ ジュランビル (old) オールドローズ 中輪 一季咲き】 2年生 接ぎ木大苗 薔薇 ローズ バラ の 苗
参考価格: 1,980円
つるが柔らかく枝垂れるランブラー種のクライミング・ローズとして人気が高い、中大輪の一季咲きのフランソワジュランビルです。フェンスやトレリスなどで主枝を横方向に枝を誘引すると、きれいに枝垂れ咲きして見事です。俯いて咲くランブラー種は、窓辺の植栽におすすめします。
おすすめ度 | ★★★ |
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植え付け時期(春苗、秋苗) | 4〜6月、11〜3月 |
植え替えの時期 | 11〜2月 |
肥料の時期 | 1〜12月 |
剪定の時期(一季咲き、四季咲き) | 6〜7月、12〜1月 |
開花時期(一季咲き、四季咲き) | 4〜6月、5〜11月 |
つるバラの植え付け時期は?
クライミング・ローズの苗が流通する時期は、春と秋の年2回です。植え付けや根を整理せずに鉢を一回り大きくする鉢増しは、苗を入手したタイミングで行いましょう。
つるバラの開花時期は?
クライミング・ローズの花が咲く時期は、一季咲きが4月下旬〜6月で、四季咲きは主に5〜11月です。四季咲きは真夏に株を休めるため、つぼみを剪定して秋に開花させましょう。
クライミング・ローズを初めて育てるタイミングは、春と秋が最適です。バラの成長時期は春~秋で、クライミング・ローズの栽培には一年を通して作業が欠かせません。ポイントを押さえた管理で、きれいな花をたくさん咲かせましょう。
クライミング・ローズは庭植え・鉢植え・プランターでの栽培が可能です。ベランダやバルコニーなどで鉢植えにする場合は、床に鉢を直接置かずにスタンドやレンガで台を作って、根鉢に熱が伝わらないように管理しましょう。
クライミング・ローズは、屋外の日当たりと風通しのよい場所で管理します。特に風通しが大切で、庭植えする場合には、ほかの草花や樹木とほどよく間隔を空けて植え付けましょう。
クライミング・ローズは日光を好みますが、夏の高温多湿が苦手です。用土は水はけをよくして、梅雨明け~秋の彼岸までの高温期は、株元のマルチングや適度な遮光で強い日差しを避けて管理します。
クライミング・ローズの用土は水はけと通気性がよく、適度に水持ちのよい土が最適です。鉢植えにはバラの専用土や、花と野菜の土を使います。庭植えする場合は、赤玉土の中粒に牛フン堆肥や腐葉土を混ぜ込むのがおすすめです。有機物を含む土は微生物の働きがよくなり、土をふかふかにして根の成長を促します。
水やりのポイントは、用土がしっかりと乾いてからたっぷりと与えることです。春〜秋の成長期は葉がしおれたり枯れたりしないように、たっぷりと水やりします。梅雨時期と休眠中の水やりは控えめにしましょう。植え付け後は少し乾燥気味に管理することで、根の成長を促す効果が高まります。根の成長は株の抵抗力を高めて、病気や害虫・暑さ寒さに負けない丈夫なバラに育ちます。
水やりしたのに葉が萎れるのはなぜ?
葉が萎れてしまう原因は、根詰まりや根腐れ・高温・害虫などが考えられます。近年の酷暑で高温期に葉が萎れることがよくあります。ベランダでは輻射熱と強い日差しを避けられるように、真夏だけ室内の窓辺に移動するのもよいでしょう。
成長の旺盛なクライミング・ローズの肥料の与え方は、タイミングが大切です。庭植えの場合は一季咲き・四季咲き共に、春の花後の肥料と秋の追肥と冬の寒肥の年3回です。鉢植えの四季咲きには、奇数月に年6回与えます。鉢植えの一季咲きは11月を除く年5回です。固形の有機質肥料を使い、暑い時期は活力液や液体肥料で夏バテを防ぎます。
花がら摘み pic.twitter.com/tvMiVtZPiQ
— Violettes (@cledeux3cinq) June 14, 2016
クライミング・ローズの開花後は早めに花柄を摘み取って、次の花を咲かせましょう。つぼみのうちに剪定して、切り花として室内で楽しむのもよいですね。
つるバラもローズヒップが収穫できる?
ローズヒップを収穫したいなら、原種系のロサ・カニナなど一重の一季咲き品種がおすすめです。樹高を低く抑えて剪定で分枝して、花数を増やすとたくさん収穫できます。
クライミング・ローズに気をつけたい病気が、黒星病・うどんこ病・べと病などです。黒星病とべと病は梅雨時期に増える病気で、うどんこ病は春と秋に注意が必要です。春先に予防効果の高い殺菌剤を散布しておきましょう。効果的な肥料の与え方と剪定作業も大切なポイントです。
クライミング・ローズに気をつけたい害虫が、アブラムシ・ヨトウムシ・カイガラムシ・コガネムシ・カミキリムシなどです。吸汁して葉を枯らしたり、つぼみや茎を食い荒らしたりする害虫もいます。春先に予防効果の高い殺虫剤を散布しておきましょう。害虫が媒介する病気もあるので、作業の度によく観察するのがポイントです。
一季咲きのクライミングローズは、春の開花後の間引き剪定がおすすめです。つぼみをつけなくなった古い不要な枝や、病害虫が発生しやすくなる重なり合った枝を減らします。その年に出た若い枝をシュートと呼び、翌年にたくさんの花芽をつけます。伸び過ぎたシュートは誘引して、すっきりと夏越しさせましょう。
クライミング・ローズのつるを真っ直ぐに伸ばすと、枝先にだけ花芽をつけるという性質があります。常につるが斜めになるようにS字状に誘引すると、下のほうからもシュートが出てたくさんの花芽ができます。花数を増やすには斜め方向へ誘引するのがポイントです。
クライミング・ローズはトレリスやフェンスなどに平面的に仕立てるときも、株元から斜め横に誘引するのがポイントです。若い枝がたくさん伸びて、つぼみを数多くつけるようになります。均等に間隔をあけて誘引すると、バランスよく花芽ができます。
剪定や誘引作業の適期はいつ?
間引き剪定は初夏に、通常の剪定と誘引作業は落葉後がおすすめです。暖かい地域では冬剪定が遅れがちですが、葉が緑のうちに剪定するのはやめましょう。
きれいなアーチを作る剪定と誘引のコツ
クライミング・ローズには春に出回る新苗(冬に接ぎ木した若い苗)と、秋に出回る大苗(接ぎ木してから1年以上経過したもの)があります。春の新苗は若葉がたくさん出ている苗を選び、大苗は剪定したところが茶色く傷んだり枯れたりしていないものを選びましょう。また5月ごろから出回る開花株があり、花色や咲き方を見て確かめられるメリットがあります。
バラ苗のラベルに記載されている品種名の前後に、CLという記号が付いているのがクライミングローズです。SCLがショートクライマー、LCLがロングクライマーを示しています。枝垂れ咲きのランブラー種の記号はRです。品種名で「つる〇〇」と呼ばれるものは、元は木立ち性だった品種のつる性種を意味しています。
バラ 苗 デルバール 【つるバラ ナエマ (CL) 大輪 四季咲き】 3年生 接ぎ木特大苗 (長尺苗) アーチ向け 薔薇 ローズ バラ の 苗 デルパール フレンチローズ
参考価格: 6,578円
バラ苗の購入先でおすすめなのが、メーカー苗や品種・特徴を系統別にわかりやすく紹介しているショップです。植え付け方などの情報を教えてもらえることがあります。初心者にもおすすめのナエマはフランスのデルバール社が誇る、淡いピンクの四季咲き大輪系クライミング・ローズです。
おすすめ度 | ★★★ |
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サイズ | 7号ポット(直径21cm)、高さ1.3m |
暑さの厳しい夏の管理ポイントは、風通しと適度な遮光です。春の花後に混み合った枝葉を剪定して、風通しをよくします。四季咲き種はつぼみを摘み取って、真夏には開花させないようにします。日差しが強すぎる場合は適度に遮光するか、半日陰などに移動しましょう。水やりは早朝や夕方に行い、ミネラル類を含む液体肥料や活力液で栄養を補うのもおすすめです。
休眠中である冬の管理のポイントは、この時期にしかできない作業をしっかりとしておくことです。落葉後の作業には、剪定・マルチング・寒肥、カイガラムシの防除があります。秋苗の植え付けや植え替えもできますが、寒さの厳しい寒冷地では早めの対策がおすすめです。
クライミング・ローズの鉢植えを植え替えるタイミングは、1〜2年に1回で休眠時期の12〜2月がおすすめです。新しい用土に入れ替えて、株を成長させます。
出典:写真AC