マツリカは「アラビアンジャスミン」という名前でも流通している、半つる性の低木です。開花時期には甘い香りを楽しめるのが魅力で、ジャスミンティーの原料やアロマオイルとしても人気があります。
園芸部類 | ハーブ、花木 |
形態 | 半つる性、低木 |
樹高・草丈 | 40cm〜150cm(つるの長さ) |
花の色 | 白、薄ピンク |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 常緑性、香りがある、開花時期が長い、ハンギング |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
マツリカは、インドやスリランカなどが原産の常緑性低木です。耐暑性は強いですが、耐寒性がやや弱く、あまり寒さに当てると落葉する恐れがあるので注意しましょう。開花時期は7月〜9月で、朝早く開花を始めるのが特徴です。咲き始めは真っ白な花弁をしていますが、時間がたつと薄ピンク色に色づいていく過程を楽しめます。
マツリカの利用法は?
マツリカはクチナシによく似た、甘くて濃厚な香りがするのが特徴で、香水の原料や料理の香りづけとしても利用されています。また、摘みたての蕾を緑茶の茶葉を混ぜ込み「ジャスミンティー」を作るのもおすすめです。精油成分が豊富に含まれており「マツリカ」の名前で漢方としても販売されています。
八重咲きマツリカ アラビアジャスミン ピカケ
参考価格: 687円
マツリカ・ピカケは、八重咲きの花を咲かせる品種です。ボリューミーな咲き姿が特徴で、結婚式のブーケにもよく利用されています。ハワイではレイの材料としても人気があり、夏の暑さに強いのが魅力です。
咲き姿 | 八重咲き |
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草丈 | 40cm〜100cm |
アラビアジャスミン(サンバク)
参考価格: 1,399円
マツリカ・サンバクは、マツリカのなかでもやや耐寒性があり「半耐寒性常緑低木」に分類されています。香りが強く、ジャスミンティーに利用されているマツリカは「マツリカ・サンバク」がほとんどです。春先は葉の先が黄色がかっているのが特徴で、夏が近づくと鮮やかな緑色に色づきます。
咲き姿 | 一重咲き |
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草丈 | 50cm〜150cm |
植え付け時期 | 6月〜7月、9月 |
植え替え時期 | 6月〜7月、9月 |
肥料の時期 | 5月〜7月、9月〜10月 |
剪定の時期 | 6月〜9月 |
花が咲く時期/開花時期 | 7月〜9月 |
マツリカは耐寒温度が10℃で、日本では沖縄でのみ地植え栽培が可能です。沖縄以外で越冬させるには鉢植えで育てましょう。地植えで育てると株が大きく成長するため、広いスペースを確保してから植え付けてください。半つる性のため、ハンギング仕立てにして垂れ下がるように成長する姿を楽しむのもおすすめです。
マツリカは、日当たりと風通しのよい場所で育てましょう。耐陰性があるので半日陰でも栽培できますが、あまりにも日当たりが悪いと花が咲かない恐れがあります。秋の終わり頃には、寒さをしのげる室内へ移動させましょう。春になり気温が10℃以上になったら、屋外の日当たりのよい場所に出してください。
上手に置き場所を移動させるコツは?
春になり屋外へ移動させる場合に、急激な温度変化を与えると株が弱ったり枯れたりします。そのため、直射日光が強く当たらないような場所に置き、徐々に屋外の環境へ慣らしていくのがコツです。
マツリカは排水性の高い用土で育てます。市販されている「山野草用培養土」や「草花用培養土」を使用しても構いません。自分で配合する場合は、赤玉土の小粒に少量のピートモスを加えた用土を使用してください。地植えにする場所が粘土質の場合は、腐葉土をよくすき込んでから植え付けましょう。
ハンギング仕立てにする場合の用土は?
マツリカの苗をハンギングバスケットに植え付ける場合は、軽い用土を使用するのがポイントです。赤玉土の小粒とピートモス、パーライトとバーミキュライトを同じ分量で配合した用土を使用しましょう。
マツリカの水やりは、季節ごとに水の量を調節するのがポイントです。春と秋は土の表面が乾燥してから、鉢底から水が流れ出る程度にたっぷりと水を与えてください。夏は土が乾燥し、水切れを起こしやすくなるため、朝と夕方の2回に分けて水やりをします。冬は休眠期に入り水をあまり吸わなくなるので、水やりを控えめにしてやや乾燥気味に管理しましょう。
肥料は5月〜7月と9月〜10月にかけて、液体肥料を規定の分量に薄めたものを、2週間に1回の割合で株元に施します。植え付けの用土に元肥として、緩効性の化成肥料を混ぜ込んでおいても構いません。冬に肥料を与えると、株が弱る原因となるので避けてください。
アブラムシは、年間を通して発生しやすい害虫です。集団で寄生する性質があり、マツリカの栄養分を吸汁しながら成長します。数が少ないうちに、ガムテープなどに貼り付けて駆除しましょう。大量発生した場合は、殺虫剤を散布して駆除してください。光り物が苦手なため、園芸用のシルバーテープを張り巡らせておくと、アブラムシの発生を予防できます。
マツリカは比較的丈夫な植物のため、かかりやすい病気はとくにありません。しかし、アブラムシの駆除が遅れると、排泄物から「すす病」に感染する恐れがあるので注意しましょう。すす病に感染した部分は薬剤を散布しても治せません。ほかの部分への感染を防ぐためにも早めに切り取って処分してください。
花後に花がらを放置すると、カビが発生しやすくなります。カビが原因の「灰色カビ病」に感染する可能性があるため、こまめに花がら摘みをしながら育てましょう。また、花がら摘みを行うと次の花芽が伸びやすくなり、開花を促進する効果も期待できます。
マツリカをポット苗の状態で購入する場合は、葉につやがあり、花芽のたくさんついている苗を選びましょう。葉の裏側までしっかりとチェックして、病害虫被害を受けていない苗を購入してください。
マツリカは根が大きく成長するため、2年〜3年に1回は植え替えが必要です。根が張ったままの状態で育てると、成長が滞ったり花つきが悪くなったりするので注意してください。根を傷つけないように丁寧に掘り起こし、根についている古い用土を落とします。腐っている根をカットしてから、ひと回り大きな鉢に植え替えてください。
マツリカの剪定は、6月〜9月にかけて行います。マツリカは花が終わった枝が茶色く枯れ込んでくる性質があるため、開花時期には適度に切り戻し剪定が必要です。花茎から剪定するのではなく、枝の付け根部分から深めに切り戻しましょう。また、葉が込み入っている部分や枝が伸びすぎている部分を剪定し、樹形を整えてください。
マツリカは耐暑性が強く、屋外でも夏越しが可能です。気温が高いのは問題ありませんが、直射日光に長く当てると葉焼けをおこす恐れがあります。また、水切れを起こしやすくなるため、受け皿に水を溜めたままにしておくのもおすすめです。
マツリカは耐寒性がやや弱く、沖縄以外の屋外で越冬させるのは難しいといわれています。そのため、秋の終わり頃には鉢ごと室内に取り込み、暖かい場所で冬越しさせてください。室内のエアコンの風が直接当たらない場所で、優しく日光が差し込むような窓辺に置いて冬越しさせましょう。
マツリカの挿し木は7月〜9月が適期のため、剪定で切り落とした枝を使用しても構いません。若くて健康な枝を選び、先端から15cm〜20cmほどの長さで切り取ります。切り口を水につけてたっぷりと水を吸わせたら、赤玉土のなどの挿し木用の用土に挿してください。発根までは水切れに注意して、風通しのよい日陰で管理しましょう。
出典:写真AC