グリーンピースは、サヤエンドウやエンドウ豆と同じ「マメ科エンドウ属」に分類される野菜です。4月〜5月にかけてピンク色や白色の花を咲かせるのが特徴で、花後につける「さや」がパンパンに膨らんだらさやごと切り取り、中からグリーンピースを収穫します。
園芸部類 | 野菜 |
形態 | つる性、多年草 |
樹高 | 30cm〜400cm |
花の色 | 白、赤、ピンク |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 弱い |
耐陰性 | やや弱い |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
グリーンピースはつる性の多年草で、4月〜5月にかけて白色の花を咲かせます。花後の4月下旬〜6月上旬が収穫時期です。開花してから約20日〜25日後に、さやにうっすらとしわが出てきたときが収穫のタイミングといわれています。さやの付け根部分をハサミで切り取って、中からグリーンピースを収穫してください。
グリーンピースは、エンドウ豆のさやの中にある未熟な種子の部分です。エンドウ豆はさやの硬いものが「硬莢種(こうきょうしゅ)」、さやのやわらかいものが「軟莢種(なんきょうしゅ)」に分類されます。赤エンドウ豆や青エンドウ豆は硬莢種、グリーンピースは軟莢種です。
名前の由来は?
グリーンピースはエンドウ豆から採取されます。エンドウ豆の英名は「Pea(ピー)」で、緑色をしているエンドウ豆の粒という意味で「green peas(グリーンピース)」と名付けられました。
花言葉は?
グリーンピースには「いつまでも続く楽しみ」「永遠の悲しみ」「必ずくる幸福」「約束」という花言葉がついています。グリーンピースはつるを長く伸ばし、実を次々とつけるため「いつまでも続く楽しみ」という花言葉がつけられました。
ウスイ豌豆 ウスイエンドウ
参考価格: 330円
ウスイエンドウは、グリーンピースの品種のなかでも皮が薄く、ほくほくとした食感が楽しめるのが魅力です。ハウス栽培が盛んで、早いものでは12月ごろから収穫できます。豆ご飯や卵とじにもぴったりの品種です。
生産地 | 和歌山、大阪 |
---|---|
色 | 黄緑色 |
緑ウスイ
参考価格: 825円
緑ウスイは名前の通り、皮や実が濃い緑色をしています。ウスイエンドウの改良種で、実が大きく鮮度が長持ちするため、農家でもよく栽培されている品種です。
生産地 | 和歌山 |
---|---|
色 | 緑色 |
種まきの時期 | 10月〜11月 |
肥料の時期 | 2月、4月〜7月 |
花が咲く時期 | 4月〜5月 |
実がなる時期 | 4月〜6月 |
収穫時期 | 4月〜6月 |
栽培適期は?
グリーンピースは耐暑性がやや弱いため、涼しくなってきた10月〜11月に種まきをして、暑くなる前の6月には収穫を終わらせるように育てます。グリーンピースは、苗が若い状態のときがもっとも耐寒性が強いので、寒冷地の場合は11月下旬に種まきするのがポイントです。苗が大きく育ってから冬越しさせると、弱ったり枯れたりするので注意しましょう。
グリーンピースは、地植えでも鉢植えでも育てられます。地植えで広いスペースが確保できる場合は、畝を立てて管理しましょう。グリーンピースの生育適温は15℃〜20℃で、耐暑性がやや弱いのが特徴です。温度管理が難しいため、初心者は鉢やプランターに植え付けて、季節ごとに置き場所を移動できるようにすると便利です。
グリーンピースは日光を好むため、基本的には屋外で管理するのがおすすめです。アパートやマンション住まいで栽培スペースがない場合は、プランターに植え付けてベランダ栽培でも育てられます。室内でも管理できますが、窓辺などの日光がたっぷりと差し込む場所で管理してください。
グリーンピースは、日当たりと風通しのよい場所で管理します。日当たりの悪い場所で育てると花付きが悪くなり、花後にできるグリーンピースの量が少なくなります。また、グリーンピースは多湿の環境が苦手なため、風通しのよい場所で管理して病気や害虫被害を予防しましょう。
葉が黄色く変色する場合は?
グリーンピースの葉が黄色くなっている場合は、日照不足が疑われます。グリーンピースは日当たりのよい場所を好むため、半日以上は日光の当たる場所で管理してください。地植えの場合は、ほかの植物や建物の陰にならない場所で育てましょう。室内で管理する場合は日照不足になりやすいので、置き場所選びが重要です。
グリーンピースはマメ科に分類されており、マメ科の植物は連作障害を起こしやすいのが特徴です。連作障害を起こすと、成長が滞り収穫量が少なくなったり、病害虫被害を受けて枯れやすくなったりします。そのため、翌年も育てる場合は、同じ場所に植え付けないように注意してください。
鉢植えの場合の連作障害対策は?
グリーンピースをプランターや植木鉢で育てている場合は、収穫が終わったら新しい用土に交換してください。古い用土を使いたい場合は、ホームセンターや園芸店などで「再生材」が販売されています。古い用土の上からパラパラとまくだけで、連作障害の予防ができる便利なアイテムです。
グリーンピースを地植えで育てる場合は、排水性をよくするために畝を立ててから植え付けます。畝の高さは10cm〜20cm、畝間は30cm以上あけてください。広いスペースが確保できる場合は、畝の幅を90cm〜100cmほどたっぷりあけておくと、根がよく張って立派なグリーンピースが栽培できます。
グリーンピースは、水はけと水もちのよさを兼ね備えた用土で管理します。鉢植えにする場合は、市販されている「野菜用培養土」を使用すると便利です。自分で配合する場合は、赤玉土と腐葉土を混ぜ込んでから、少量の堆肥を加えた用土を使用してください。
地植えにする場合の用土作りは?
グリーンピースを地植えで育てる場合は、酸度濃度の調節が必要です。グリーンピースは酸性の用土を嫌う性質があるため、植え付けの2週間ほど前に「苦土石灰」や「消石灰」を混ぜ込み、酸度濃度をpH6.5〜pH7.0程度に調節しておきましょう。
グリーンピースの種まきに適した時期は、10月〜11月です。畝やプランター、植木鉢などに直接種まきしても構いません。プランターに種まきする場合は、株間を10cm〜20cmほどあけてください。植木鉢の場合は、1つの鉢に2粒〜3粒ほど種をまきます。種まき後はたっぷりと水やりをしてください。
畝を立ててから種まきする場合は?
畝に植え付ける場合は、ビンや空き缶の底を利用して深さ3cmほどの植え穴を掘っておきます。植え穴の間隔は30cm〜40cmほど、余裕をもってあけておくのがポイントです。1つの植え穴に4粒〜5粒ほどパラパラと種をまいたら、土を2cmほど薄くかぶせましょう。
グリーンピースは種をまいてから発芽するまでは、水切れを起こすと発芽しなかったり枯れたりします。そのため、朝と夕方の2回に分けて水やりをしても構いません。鉢植えの場合は、風通しのよい半日陰で管理するのもおすすめです。グリーンピースの発芽適温は20℃前後のため、寒冷地の場合は室内に移動させたり、マルチングをしたりして発芽をまちましょう。
グリーンピースの種は鳥に狙われやすいため、一旦育苗ポットに種まきをして、室内で発芽させてから地面に植え付けても構いません。はじめから畝に種まきしたり、鉢を屋外で管理したりする場合は、種まきをしてすぐにビニールや寒冷紗をかけて鳥対策をしておきましょう。
グリーンピースは本葉が3枚ほどになったら「間引き」を行います。葉が込み入っている部分や、茎が細くて弱っている部分を取り除いていきましょう。1カ所に株が2本立っているのが理想です。健康な株だけを残し、栄養分が分散しないように育苗してください。
育苗ポットに種まきをした場合は、本葉が2枚〜3枚まで出てきたら定植します。根を傷つけないように丁寧に掘り起こし、株間を20cm〜30cmほどあけて植え付けましょう。しっかりと根付くまでは、毎日水やりをしてください。
グリーンピースは元肥として「完熟堆肥」と「過リン酸石灰」「緩効性化成肥料」を混ぜ込んでおきましょう。種まきする2週間前には、元肥を混ぜ込んでおいてください。また、元肥を混ぜ込みながら用土を耕してふかふかの状態にしておくと、根が成長しやすくなる利点もあります。
グリーンピースを地植えで育てている場合は、発芽後に完全に根付いてしまえば降雨のみで十分です。鉢植えの場合は、土の表面が乾燥してから水やりをします。受け皿に残った水はすぐに捨てて、用土が蒸れるのを防ぎましょう。グリーンピースは、多湿の環境で育てると根腐れを起こして枯れる原因となるので、やや乾燥気味に育てるのがポイントです。
グリーンピースはつる性の植物のため、ネットや支柱に誘引しながら育てます。つるが15cm〜20cmほどに伸びてきたら、株元にネットや支柱を立ててください。誘引が遅れると、茎が倒れたりほかの植物に巻きついたりします。
グリーンピースは「鳥対策」と「寒さ対策」をかねて、マルチングを施しておくと安心です。種まき~発芽までは、種が鳥に食べられないようにビニールを使用してマルチングをしてください。耐寒性は強いですが、雪や霜に当たると下葉から枯れ込んでくる恐れがあります。そのため、ワラやバークチップでマルチングをしてから冬越しさせましょう。
グリーンピースの追肥は、3回に分けて行うのがポイントです。1回目は、開花時期が終わったときに化成肥料を与えます。2回目は、収穫時期にあわせて緩効性肥料を与えてください。3回目は、収穫時期の追肥から1カ月後に与えます。肥料の与えすぎは「肥料やけ」を起こして枯れる原因となるため、肥料は少量ずつ与えましょう。
グリーンピースの葉がふちの部分だけ赤くなる場合は、冬の寒さで株が弱っているのが原因です。株が大きく育ちすぎている場合は、耐寒性が弱くなっている恐れがあります。地植えの場合は、しっかりとマルチングを施してください。鉢植えの場合は、寒さをしのげる軒下や室内へ移動させてから冬越しさせましょう。
グリーンピースがつるぼけする場合は、さまざまな原因が考えられます。まずは「肥料の与えすぎ」です。グリーンピースは追肥をしながら育てるため、規定の分量より少なめに施しても構いません。次に「多湿と酸素不足」が原因の場合もあります。水の与えすぎには注意して、土の表面が乾いてから水やりをしましょう。
つるぼけとは?
つるぼけとは葉や茎ばかりが成長して、根や実が大きくならない現象をさします。肥料に含まれている窒素が関係しており、窒素を多く摂取した植物はつるぼけを起こしやすいのが特徴です。葉や茎の色が濃くなっている場合は、つるぼけの初期症状の恐れがあるので注意深く観察しながら育てましょう。
グリーンピースの実が大きくならない場合は、栄養分が足りていない可能性があります。育苗のときにしっかりと間引きをして、株数を減らしておきましょう。また、葉が密に茂りすぎていると、葉の光合成が妨げられて成長が滞ってしまいます。葉にたっぷりと日光が当たるように管理してください。
うどんこ病は、カビの菌糸が原因で発生する病気です。感染した部分が、うどん粉をまぶしたように白く粉をふくことから「うどんこ病」と呼ばれています。葉の光合成が妨げられて、株が弱ったり枯れたりするため、ほかの部分への感染を防ぐためにも早めに切り取って処分してください。
立ち枯れ病は「苗立枯病」とも呼ばれている病気で、感染すると葉や茎が赤色や褐色に変色するのが特徴です。株元から枯れ込んできて、症状が進むと茎が細くくびれて腐敗がはじまります。立ち枯れ病は連作すると起こりやすい病気のため、同じ場所で栽培する場合は、3年〜4年以上期間をあけましょう。
アザミウマは「スリップス」とも呼ばれている害虫です。体長が1mm〜3mm程度ととても小さく「微小害虫」に分類されています。知らないうちにアザミウマが増殖し、グリーンピースが弱ったり枯れたりするので注意しましょう。花後に花がらを放置すると発生しやすく、こまめに花がら摘みをすることが大切です。
ハダニはやや乾燥した時期に発生しやすく、葉の裏側などの見つけにくい場所に発生します。発見が遅れると大量発生している恐れがあるため、水やりのときに葉の裏側までしっかりとチェックしながら管理しましょう。水が苦手な性質を利用して、定期的に葉水を行うと予防ができます。
出典:写真AC