ビカクシダ・リドレイはどんな植物?
ビカクシダ・リドレイはとてもユニークな見た目で人気の植物です。2種類の葉はそれぞれどのような役目を持っているのでしょうか。まずは育て方の役に立つ基本情報や特徴から紹介します。
ビカクシダ・リドレイの基本情報
分類 | シダ植物 |
科名 | ウラボシ科 |
属名 | ビカクシダ属 |
原産地 | マレー半島やオーストラリアなどの熱帯地域 |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い(夏の直射日光はNG) |
花言葉 | 信頼・助け合う・魔法 |
特徴
樹木に生息する着生植物
ビカクシダはインドネシアなどの熱帯地域が原産で、種子を付けず樹木に絡みつき着生する植物です。花言葉の「信頼・助け合う」は、そういった自然との信頼関係をもつ生態に由来しているといわれています。
別名はコウモリラン
ビカクシダは胞子葉がコウモリが飛んでいるような見た目をしていることから「コウモリラン」とも呼ばれています。和名の「ビカクシダ(麋角羊歯)」は、葉が鹿の角(麋角)に似ていることから、日本に入ってきた明治時代初期に名付けられました。
葉は2種類ある①貯水葉
貯水葉は水や養分を貯えるスポンジのような働きをもつ葉です。雨があまり降らないときにも補給できるように水を蓄えます。葉は株元で根の部分を覆うように広がり重なり合っていきます。茶色くなった貯水葉も養分にとして取り込むので、枯れたように見えても取り除かないようにしましょう。
葉は2種類ある②胞子葉
胞子葉は前に向かって伸びている葉です。別名「繁殖葉」のとおり、繁殖するために葉の裏には胞子が付いています。緑色の葉が褐色に変わって抜け落ちるのが寿命のサインです。
ビカクシダ・リドレイの育て方
ビカクシダ・リドレイは暖かく風通しのよい環境を好みます。置き場所や水やりの方法など、育て方のコツを知って元気な株を育てましょう。肥料のやり方や病気・害虫の対処法も紹介します。
置き場所
よく出回っている栽培種は、野性種のビカクシダ・リドレイよりも葉の色がきれいで柔らかい印象だといわれています。日光にあまり強くないという特徴もあるので、日光の当て方や置き場所には注意が必要です。
春は日当たりのよいカーテン越し
風通しが良く明るい日陰、または気温が15℃以上なら日当たりのよい屋外でも管理できます。春からは成長期に入るので日光が必要です。
夏の直射日光はNG
ビカクシダ・リドレイは30度くらいの気温や日光を好みますが、暑さが厳しすぎると葉焼けして変色するので気を付けましょう。置き場所は30%ほど遮光できる風通しのよい日陰にします。
しかし、冬の間に日陰に置いていた株を急に直射日光に当てると、葉焼けを起こしてしまいます。かといって全く光や風が当たらないと、株は弱って害虫被害も増えてしまうので注意しましょう。
秋は朝の日差しを当てる
時間帯によって置き場所を変えます。秋の午前中の柔らかい日差しによく当てるようにしましょう。午後はベランダやレースのカーテン越しなどの明るい日陰で管理します。
冬は直射日光が当たる室内へ
日当たりのよい窓辺などの室内で管理するのが冬越しのポイントです。昼間の時間帯で暖かく風のない日は、外で日に当てましょう。冬越しできる最低温度は15℃です。
15℃以下になると休眠状態に入るので、春の目覚めも悪くなってしまいます。どうしても15℃を切る場合は、水やりを控えめにしましょう。
水やり
乾き始めたら水やりをします。基本はシャワーで水やりするのがおすすめです。夏場にバケツにつけて水やりをする場合は、風通しのよい場所で余分な水を乾かすようにしてください。湿度が高いままだと根腐れすることもあります。
反対に水が少ないと胞子葉が垂れ下がってきます。そのときはしっかりと水やりをして水不足を補うようにしましょう。季節や気温・日当たりを考慮して加減しましょう。
手入れ
葉は枯れても取り除かない
貯水葉も胞子葉も枯れたからといって取り除かないようにしましょう。貯水葉は風の通り道をつくったり、クッションの役割を果たしたります。胞子葉は無理に抜くと株に負担がかかるので、抜け落ちるまで放っておくのがいいでしょう。
黄色く変色した葉は生え変わるのを待つ
葉の色が黄色く変色するのは輸送時のストレスの可能性があります。黄色い葉は生え変わるのを待ちましょう。新しい葉は今の環境に順応したものが生えてきます。
肥料・追肥
ビカクシダ・リドレイは肥料が好きな植物なので上手に追肥をするようにしましょう。気温の高い生育期に2ヶ月に1回ずつ、緩効性化学肥料または固形の肥料を埋め込むと成長が早まります。
固形肥料を埋め込むときは、直接根や葉に当たると肥料焼けしてしまうので注意が必要です。貯水葉で株が隠れている場合は、枯れている部分を少し取り除くなどして置くといいでしょう。
病気・害虫
病気や害虫は早めの対処が大切です。正しく対処すればまた元気な姿を取り戻しますよ。ここでは代表的な病気・害虫トラブルと解決策を紹介します。
黒い斑点ができる「炭そ病」
黒い斑点ができ、穴が開いて枯れてしまうのが「炭そ病」です。ほかの植物にまで被害が広がるので早めに対処しなければなりません。炭そ病の症状がある場合の対処法として、葉を根もとから切り落として風通しのよい日陰に置いておきましょう。
大量発生する白い害虫「カイガラムシ」
カイガラムシはビカクシダ・リドレイに発生しやすい害虫です。もし見つけたら大量発生する前に除去してしまいましょう。このとき葉を傷つけないように注意が必要です。大量発生している場合は株ごと水に漬けると葉に付いた虫が浮いてきます。
虫食い被害の対処法と対策
葉が虫食い被害にあうこともあります。葉に穴をあける虫はナメクジや夜盗虫・ゴキブリなどが考えられます。ビカクシダ・リドレイは薬剤に弱いので、虫食い被害にあっても害虫駆除剤は使用しないようにしましょう。おすすめの対処法は水に漬けこむことです。また虫対策として、虫が寄り付きにくい高い所にビカクシダ・リドレイを置いたり、夜の間は室内に取り込んだりするようにしましょう。
増やし方は2種類
胞子からビカクシダ・リドレイを増やすには、まず胞子葉の裏の胞子を採取します。湿らせた土か水苔の上に胞子を撒いて20度前後の明るい日陰に置き、乾かさないようにしましょう。大きく育ったら小分けにして植え替えます。株分けは株が大きくなりすぎたら行います。子株を切り取って水苔を巻き、ワイヤーなどを使って板に固定します。定着するまで風通しのよい日陰に置きましょう。
ビカクシダ・リドレイの通販
ビカクシダ・リドレイは通販サイトでも人気の観葉植物です。ホームセンターなどでも取り扱われていることがありますが、通販サイトでは色んな種類や品種の中から好みの株を選べるのがうれしいですね。
ビカクシダ・リドレイの選び方
生育環境や状態のよいものを取り扱っている通販サイトから選びましょう。葉が大きく育っているか、貯水葉が切り取られていないか、また枯れた胞子葉が付いたままになっていないかをチェックしてください。
まとめ
コウモリランとも呼ばれる存在感抜群のビカクシダ・リドレイは、生態もユニークです。ひとつひとつ表情が違い、インテリアとしても高い人気を誇っています。ぜひ育て方をマスターしてあなただけのビカクシダ・リドレイを楽しんでくださいね。
出典:写真AC