シダ系観葉植物の特徴
シダ類は非常に品種が多く、科や属性も多岐にわたっています。「シダ」とはそれら全てを含めた植物の総称です。耐寒性や耐暑性、耐陰性や耐乾性などの強さもそれぞれ異なりますが、シダ類に共通した特徴は花が咲かず種を作らないことです。そのため自然界でのシダ類の増え方は、胞子を飛ばすという方法になります。
おすすめのシダ系観葉植物①~⑤
①アジアンタム
アジアンタムはイノモトソウ科の植物で、シダ類のなかでは有名な品種です。一枚一枚の葉っぱが小さく薄くはかなげで、涼やかな印象の人気品種です。アジアンタムは直射日光が苦手で耐陰性は強いですが、1週間に数時間ほど優しい光にあてると、徒長や葉っぱの色が薄くなるのを防げます。
②プテリス
プテリスは熱帯や亜熱帯地域に自生するシダで、高温多湿な環境を好みます。葉っぱは葉脈にそって斑が入ったものや、淡い緑色や濃い緑色だけのものもあります。根っこが短いことと、羽のように広がった葉っぱの先端の1枚が長いことが特徴です。暖かい時期は庭の明るい日陰で、鉢植えにして育てられます。
③ハートファン(ヘミオニティス・アリフォリア/バレンタイファン)
ハートファンは名前のとおり、ハートの形をした葉っぱが特徴的な品種です。葉っぱの大きさは5cm~10cm、葉茎は長くなると30cmに成長します。葉っぱには光沢があり、濃いめの緑色をしています。耐寒性は強くないため冬越しするためには、15℃以上を保つようにしましょう。
④リュウビンタイ
リュウビンタイはリュウビンタイ科で、塊根というごつごつした根っこがワイルドで特徴です。そこからワラビのような葉茎が出て、鮮やかな緑色の羽状に葉っぱが展開し大型に育ちます。国内に自生する珍しい種類ですが、乱獲が原因で数を減らし、天然記念物に指定されている場所もあります。
⑤へゴ
へゴはへゴ科で樹木のように育つ木性のシダです。野生では樹高約15m、葉っぱは約2mほどまで育ちます。樹木のてっぺんに葉が集中するため、ヤシの木のような原始的な印象を与えます。観葉植物として鉢植えで栽培する場合は最大2mほどの大きさになり、葉は大きなワラビのような形から羽状に展開します。
おすすめのシダ系観葉植物⑥~⑩
⑥ツディ
ツディはツデーとも呼ばれるネフロレピスの仲間で、シノブ科(タマシダ科)の植物です。葉っぱは明るい緑色で最初上へ伸びてからしだれますが、葉茎が長すぎないのでこんもりとしたシルエットになります。シダ類の中では明るい陽射しを好むタイプで、徐々に慣れさせれば直射日光での栽培も可能です。
⑦スコッチモス
スコッチモスの葉っぱは切れ込みが細かく入り縮れており、一枝につく葉が多いためボリュームたっぷりにもこもこと育ちます。中心の密度が高く日差しが届きにくくなるため、枯れることもありますが心配しすぎなくても大丈夫です。明るい日陰や、レースのカーテン越しの日差しを好みます。
⑧ハッピーマーブル
ハッピーマーブルはライムグリーンの葉に、マーブル模様の黄色い斑が入るのが特徴の美しいシダです。耐陰性の強い植物なので暗めの部屋に置くと、明るい雰囲気をかもしだしてくれます。日当たりによって色合いに変化が出るので、1週間に数時間は明るい日陰で管理すると徒長や色あせの予防になります。
⑨ダフィー
葉の先が尖らずに、丸みをおびているのがダッフィーの特徴です。最初は上に向かって葉が伸びますが成長とともにしだれてくるので、ハンギンググリーンに仕立てるとふんわりした雰囲気を楽しめます。耐陰性や環境の変化に強く丈夫なので、初心者でも育てやすく人気のある品種です。
⑩トキワシノブ
トキワシノブはシノブ科の着生植物で、岩やほかの樹木などに着いて成長しますが、鉢植えで育てられます。トキワシノブは成長すると根っこが伸び、渦を巻くような形になる特徴があります。壺状に仕立てたり植木鉢に絡めたりすると、趣深い鉢植えになるので盆栽としての人気も高まっている植物です。
おすすめのシダ系観葉植物⑪~⑮
⑪オオタニワタリ(アスプレニウム)
オオタニワタリの葉は縁に切れ込みが入ったり、羽状になったりせず帯状に伸びるのが特徴です。沖縄や伊豆大島など温暖な地域では自生しており、新芽を山菜として食べる文化もあります。オオタニワタリは耐暑性が強いため、初夏~秋にかけては半分遮光した庭やベランダなどでも栽培できます。
⑫コウモリラン(ビカクシダ)
コウモリランは亜熱帯~熱帯地域に自生するビカクシダ科の仲間で、比較的日光を好み、葉がコウモリの羽を連想させます。手のひらや羽のような形の葉を胞子葉といい、胞子をつくり増える役割があります。下部の株を覆うように広がる葉は貯水葉で、水を貯えたりほかの植物や岩に着生したりするのが特徴です。
⑬クサソテツ
クサソテツは古くから日本を含めた北半球に自生するウラボシ科のシダで、葉は大きく羽のように展開します。シダ類は成長がゆっくりな品種が多いですが、クサソテツは成長が早く比較的日光を好むのが特徴です。クサソテツの新芽はコゴミと呼ばれる有名な山菜で、初春にはおひたしや天ぷらなどで食されます。
⑭フレボディウムブルースター
フレボディウムブルースターは茎を伸ばした先に、うねりのある青みがかった銀緑色の葉がつきます。最初は1枚ですが成長とともに切れ込んで、手の平のような形に展開するのが特徴です。シダ系としては珍しく、上へ伸びる習性があります。葉を光にかざすと輝いて見える人気の品種です。
⑮イワヒバ
イワヒバはイワヒバ科で、シダの仲間のなかでは耐寒性、耐暑性が強いのが特徴です。江戸時代から現代にかけて品種改良が繰り返されているため、現在でも新しい品種が生まれ続けています。イワヒバは水分が少なくなると手のひらのような葉を巻き込み、保水が十分になると開く特徴があります。
おすすめのシダ系観葉植物⑯~⑳
⑯レインボーファン
レインボーファンの名前の由来は、光の加減や角度によって葉の色が変わって見えることです。虹色のように七色あるわけではなく、青みがかったやわらかい葉がターコイズやコバルト、エメラルドグリーンなどに見えます。栽培下では日光が強めの場所では緑色が強くなり、日陰では青みが増します。
⑰ノキシノブ
ノキシノブの葉は濃い緑色でヤナギに似ており、裏には胞子嚢が2列に並んでいます。石垣や古木、軒下やブロック塀の穴などに着生するので、土がなくても生きていけます。乾燥が続くと葉が丸まり、水分が十分になると元の形に戻りますが、かなりの乾燥にも耐えられるほどの強さが特徴です。
⑱ジュウモンジシダ
ジュウモンジシダはオシダ科で真ん中の葉が長く大きく成長し、その付け根に小さな葉が左右に1枚ずつ生える姿が十文字に見えるのが名前の由来です。形が独特なので、初心者でも見分けがつきやすいでしょう。羽状に広がる葉には細かい切れ込みが入り、裏には胞子の入った胞子嚢があります。
⑲ベニシダ
ベニシダの葉は二等辺三角形でいわゆるシダ類の形状をしていますが、新芽が赤くさらに若い葉の胞子嚢が赤紫色をしているのが特徴です。葉は成長とともに緑色に変色するので、カラーリーフとしても楽しめます。葉の大きさは30cm~70cmと個体差がありますが、鉢植えの場合は大きくなりにくいです。
⑳シルバーフォール
シルバーフォールの葉軸は赤味がかった紫色をしており、葉はメタリックな銀色をまとった白っぽい緑色をしています。葉の形もきれいな二等辺三角形の集合でスタイリッシュな印象から、カラーリーフとして人気の品種です。春~夏にかけて温度が涼しいほどきれいに発色するので、鉢植えや庭の日陰での栽培に向いています。