オオタニワタリとは?
オオタニワタリは、別名タニワタリとも呼ばれる、亜熱帯性のチャセンシダ科に属する植物です。温暖な気候を好み、主に野外では岩や樹に着生しています。日本では一部の地域に自生していますが、本州で天然のオオタニワタリを見ることは稀でしょう。
オオタニワタリの基本情報
和名 | オオタニワタリ |
学名 | Asplenium antiquum |
科名 | チャセンシダ科 |
属名 | チャンセンシダ属 |
原産地 | 日本・韓国・台湾 |
アスプレニウムとは
オオタニワタリの学名となっているアスプレニウムは、チャセンシダ科に属する植物の総称です。世界中に約700種類が存在し、日本では沖縄地方を中心に約30種が自生していると言われています。
オオタニワタリの特徴
外見
オオタニワタリは鮮やかなグリーンの、波打った形状の美しい葉っぱが特徴的です。葉の直径は約1mで、同じチャセンシダ科の仲間であるシマオオタニワタリの1.5mに対して、サイズはやや小さめです。
特性
オオタニワタリは高温多湿の環境を好み、耐暑性に優れている反面、直射日光には弱いという特徴があります。そのため屋外よりも室内で育てる方が管理がしやすく、また温度管理と水やりが生育のうえでの重要なポイントとなります。
バイオームとの関係
バイオームとは、動物・植物・土壌の生物の集合体により形成される群系のこと。気温や降水量などの違いにより分類されます。オオタニワタリの属する亜熱帯多雨林は、年間平均気温18℃以上、年間降水量1300mm以上の気候条件で、シダなどの着生植物がバイオームの中心的な役割を果しています。
オオタニワタリを使った料理
実はオオタニワタリは、天ぷらや煮物、炒め物など幅広い料理に活用できる万能な食材で、インターネットでの取り寄せも可能です。沖縄県の八重山地方では、お祝い事などにも使われるポピュラーな食べ物で、山などに自生しているオオタニワタリを採取して食べるのが一般的です。台湾ではシャンスーと呼ばれ、ニンニクや豚肉などと一緒に炒めて食べられています。
オオタニワタリ料理のレシピ
オオタニワタリを調理する際は、おもに独特のコリコリとした食感をもつ新芽の部分を使います。以下にオオタニワタリを使った料理として代表的な、「天ぷら」と「チャンプルー」のレシピをご紹介します。
料理レシピその①天ぷら
材料
- オオタニワタリ
- 小麦粉
- 卵
- 水
- 油
オオタニワタリを3等分にカットして、小麦粉、卵、水を混ぜた衣をたっぷりと付けて揚げましょう。新しい油でカラッと揚げるのが、天ぷらが美味しくなるコツです。肉厚なオオタニワタリは歯ごたえもあり、食べごたえ十分です。
料理レシピその②チャンプルー
材料
- オオタニワタリ
- 木綿豆腐(200g)1丁
- 豚バラ肉(薄切り)100g
- 卵 1個
- 顆粒和風だし 小さじ1
- 酒 大さじ1
- しょうゆ 大さじ1/2
- 砂糖 小さじ1/2
- ゴマ油
最初にゴマ油で、豚肉とオオタニワタリを中火でじっくり炒めましょう。火が十分に通ったところで、酒、醤油、砂糖を加えて味付けをします。次に豆腐を入れて他の具材としっかりなじませ、最後に和風だしを混ぜた溶き卵を流し込み完成です。
オオタニワタリの育て方
オオタニワタリは高温多湿の環境を好む性質上、室内で育てるなら水やりと冬期の温度管理に気をつけなければなりません。逆に言えば、それさえこなせば比較的簡単に管理できる植物でもあります。
植え方
オオタニワタリを植える場合には、大きめのプランターを用意します。使用する用土は赤玉土7:腐葉土3の割合で配合したものがよいでしょう。植え替えるなら、5月~8月の温かい時期が理想的です。
育て方
水やりと温度管理は重要
オオタニワタリは明るい場所を好みますが、直射日光があたると葉っぱが乾燥して傷んでしまうため注意が必要です。冬の時期ではできるだけ、室内が5℃以下にならないように調節しましょう。またエアコンの近くに置くときには、乾燥しないよう葉水をしっかりと行うことが大切です。
肥料は時期により調整
注意点
根詰まり
オオタニワタリの根詰まりは枯死の原因となるため、早目に対策しましょう。水を十分あげているのに、新芽の葉っぱが委縮していく場合には根詰まりが疑われます。葉っぱの先から黄色く変色していくのは水切れのサインなので、すぐに葉水をおこないましょう。
冬の水やり
冬場の水やりは、土が乾いたあと数日経過してからおこないましょう。これにより耐寒効果を期待できます。
オオタニワタリの病気や害虫について
住友化学園芸 殺虫殺菌剤 ベニカXファインスプレー 1000ml
参考価格: 1,110円
オオタニワタリは害虫がつきやすい植物なので、見つけた場合はなるべく早く対策することが重要です。また病気についての情報もあわせてご紹介します。
ハダニ
ハダニは1mm程の大きさで、主に葉っぱの裏に寄生し栄養を吸汁します。繫殖力が高いため、早目の対策が必要です。水に弱く乾燥には強い特徴があるため、葉っぱの裏側を中心に霧吹きで湿らせておくとよいでしょう。
牛乳を使う手もアリ
霧吹きで葉っぱの裏側を中心に牛乳を散布すると、牛乳の膜によりハダニが窒息して死滅します。殺虫剤のような即効性はありませんが、健康的かつ効果絶大なので、殺虫剤の使用がためらわれる場合は、ぜひ試してみてください。
カイガラムシ
カイガラムシの排泄物には、糖類が含まれています。それが虫や細菌などを誘因する原因となるので、早目の除去が大切です。成虫には殺虫剤の効力が薄いため、直接葉っぱからそぎ落としましょう。カイガラムシの発生予防には、こまめな葉水が効果的です。
病気
軟腐病は、5月~10月ごろまでの高温多湿な時期に発症する病気で、水はけの悪い土が原因で起こります。カビの発生により根元が腐ってしまう病気なので、風通しと水はけのよい土を使用しましょう。
オオタニワタリとシマオオタニワタリの見分け方
オオタニワタリと外見が似ているシマオオタニワタリは、観賞用の植物として人気があります。両者の見分け方のポイントは、葉っぱの大きさと胞子嚢群の付き方の違いです。
見分け方のポイント
まず見分け方のポイントとして、オオタニワタリよりシマオオタニワタリの方が、葉の直径が長い点が挙げられます。さらに胞子嚢群は、シマオオタニワタリが葉の幅の1/2以下なのに対して、オオタニワタリは2/3~3/4ほどつくため、判別の大きな目安となります。
まとめ
オオタニワタリは別名タニワタリとも呼ばれ絶滅危惧種にあたる貴重な植物です。沖縄以外では天然で自生している姿を見る機会はあまりありませんが、観賞用としては比較的ポピュラーな植物です。台湾や八重山諸島の地域では食材としても食べる機会も多く、歯ごたえのある食感を楽しめます。インテリアとしても食材としても使えるオオタニワタリを、みなさんもぜひ育ててみてはいかがでしょうか。
出典:写真AC