テマリカタヒバとは
基本情報
学名 | Selaginella lepidophylla |
種類 | シダ植物 |
科名 | イワヒバ科 |
属名 | イワヒバ属 |
原産地 | メキシコ |
特徴
テマリカタヒバは、はっきりとした雨季と乾季がある岩山に自生しているシダ植物の一種です。見た目がそっくりな「イワヒバ」とは近縁種にあたります。長期にわたる干ばつにも耐えられるほど、乾燥に非常に強いのが特徴です。乾季には全体的に茶色に変色し、葉を閉じ丸まった状態になりますが、雨季が来ると葉を広げ緑色に変わります。
ボタニ子
テマリカタヒバの別名
テマリカタヒバは、茶色く乾燥し枯れているように見えても、水を浴びると再び葉を広げることから「復活草」とも呼ばれています。乾季にクルッと丸まっている様子が石に似ているため「石の花」、歴史の古さから「恐竜の植物」、聖書の都市名を取り入れた「ジェリコのバラ」など、別名が多くあります。
利用方法
テマリカタヒバは、主に観賞用植物として扱われています。また「トレハロース」と呼ばれる高い保水力を持つ成分を多く含み、保湿効果が期待されているため、化粧品の材料としても使われます。海外では漢方薬として使用されることも多く、風邪やのどの痛みを和らげる効果への期待が高いです。
テマリカタヒバが復活する様子
①枯れた状態
テマリカタヒバが乾季を迎え、植物全体の95%の水分が抜けたときの様子です。日本ではこの状態で販売されていることがほとんどです。枯れているようにも見えますが、実際は乾燥し茶色く変色しているだけで枯れていません。乾季を乗り越えるために実を丸め、余分な活動をしない「休眠」に似た状態です。
②水に浸けて約1時間後
テマリカタヒバを水に浸けて1時間頃の様子です。水に浸ける際は、葉が巻いているほうを上向きにして、テマリカタヒバの半分ほど水に浸かるようにしてください。カラカラの状態だった葉や茎がグングンと水を吸い込み、ゆっくりと葉を広げ始めます。なかなか葉が広がらない場合は、上から少し水をかけてあげましょう。
③数時間後
テマリカタヒバを水に浸けて数時間経過した様子です。テマリカタヒバの乾燥具合にもよりますが、水に浸して早くて1時間、遅くても3~4時間ほどで完全に葉を広げます。葉が水分を取り戻し、全体的にふっくらとしてきます。放射状に葉を広げるのが特徴です。
④数日後
テマリカタヒバを水に浸けて、数日経過した様子です。購入時の状態によっては水に浸けて数時間で緑になるものもありますが、全体が緑色に変わるまで基本的に2~3日必要です。葉は完全に潤いを取り戻し、茶色から緑色に変わります。この状態から再度乾燥させると、徐々に茶色く丸くなり、初日の状態に戻ります。
テマリカタヒバが枯れずに復活するのはなぜ?
テマリカタヒバが復活するまでの動画
テマリカタヒバが乾燥した状態から、水を吸収し復活するまでの様子の動画です。テマリカタヒバが枯れずに復活する理由や仕組みはまだ明確にされてはいませんが、有力な説は2つです。
仮説①
テマリカタヒバの細胞内には「トレハロース」と呼ばれる成分が豊富です。植物は水分を失うと、細胞が傷つき枯れていきます。テマリカタヒバはトレハロースの作用によって、細胞内の核酸や膜などのさまざまな構成成分を破壊から守るため、乾燥が極限状態になったときでも枯死することなく耐えられるといわれています。
仮説②
テマリカタヒバが持つトレハロースは、水の代わりに細胞内のタンパク質などのほかの成分と水素結合ができるため、外部から水を得られなくなっても簡単には枯れません。さらに、細胞内の水分が消失すると、植物全体の分子運動を極限まで遅くする性質があります。常に植物の状態を安定させようと働くため、極限の乾燥状態でも枯死しないといわれています。
テマリカタヒバの育て方【購入~植え付け】
日本では貴重なテマリカタヒバが手に入ったら、水に浸けて復活させるだけでなく、鉢に植えて育ててみるのもおすすめです。国内ではまだあまり栽培されておらず、細かい管理方法は明らかになっていませんが、近縁種であるイワヒバの育て方が参考になります。
購入方法
テマリカタヒバは、一般的な園芸店や花屋での取り扱いがほとんどないため、購入方法としては通販がおすすめです。アマゾンや楽天などの大型インターネットショップではあまり販売されていないので、レア植物を取り扱う専門ショップで探しましょう。まれに雑貨屋やデパートなどでも手に入ります。
用土と鉢の準備
テマリカタヒバは根を浅く張り葉を大きく広げる植物なので、高さは低めで葉の直径と同じか少し大きめの植木鉢を選びましょう。用土は排水性のよいものを好みます。市販のサボテン用の培養土か、日向土や軽石、バーミキュライト、ゼオライトの混合土を用意してください。
植え付け
テマリカタヒバを植え付ける前に、半日ほど水に浸けて葉を広げておきましょう。植え付けの適期は、春~秋にかけての20℃~30℃が保てる暖かい時期です。発芽していない状態なので、土表面にくぼみを作り、軽く置くように植え付けましょう。飛ばされないように、強風の当たらない場所で管理してください。1カ月ほどで発根します。
テマリカタヒバの育て方【管理方法】
肥料
イワヒバの仲間は肥あたりを起こしやすいので、肥料を施す必要はありません。
肥あたりって何ですか?
肥あたりとは、肥料が濃すぎることにより植物の成長が阻害されることを指す言葉です。「肥料焼け」「肥料障害」「肥料負け」などともいわれます。
置き場所
テマリカタヒバを植え付けた直後はまだ植物の状態が安定していないため、刺激の少ない半日陰の強風の当たらない場所に置きましょう。発根するまでは、1日1回植物全体にかかるようにたっぷりと水やりしてください。発根後は、基本的には風通しのよい木漏れ日の当たる場所での管理をおすすめします。
季節ごとの管理のポイント
春と秋
春と秋は暖かく、テマリカタヒバにとって過ごしやすい気候なので、特に注意する点はありません。晴れの日には1日1回水やりしましょう。雨の日は水やりしなくて大丈夫です。この時期の日差しはそれほど強くありませんが、直射日光は避けて明るい半日陰や木漏れ日の当たる場所で管理してください。
夏
テマリカタヒバは夏の乾燥には強いですが、直射日光や蒸し暑さは苦手です。日本の夏はとても蒸し暑いので、夏場は休眠させることをおすすめします。梅雨明けから秋が始まるまでの間は、乾季と同じ環境をつくるためにも、水やりは完全にやめましょう。日の当たらない、風通しのよい場所で管理してください。
冬
テマリカタヒバは暖かい環境を好むため、冬の寒さが苦手です。冬場は室内で管理し、5℃~15℃を保つ必要があります。室内が寒い場合は、空調や保温マットを使用しましょう。温度管理が難しい場合は、夏と同様に水やりをやめ、休眠させても構いません。
テマリカタヒバの復活する様子を観察してみよう
テマリカタヒバは、水分を失い茶色く乾燥した状態でも、水を吸い込むと元気に復活する不思議な植物です。枯れても何度でも復活することから「縁起のよい植物」ともいわれ、プレゼンととしても人気です。珍しく手に入れにくい植物ですが、手にする機会が訪れたときにはぜひ水に浸して、復活する様子を観察してみてくださいね。
テマリカタヒバは成長がゆっくりで長寿なのも魅力的!盆栽として育てるのも人気だよ!