ビカクシダビーチーとは
ビカクシダビーチーとはシダの仲間で、樹木や岩石に付着して生活する着生植物(ちゃくせいしょくぶつ)です。葉の形から「コウモリラン」と呼ばれ流通していて、インテリアとして板や流木などに着生させて飾る方法が人気です。ビカクシダの学名は「Platycerium(プラティケリウム)」で、和名は「麋角羊歯(ビカクシダ)」と書きます。
ビカクシダビーチーの特徴
ビカクシダビーチーの「胞子葉(ほうしよう)」は、コウモリのように垂れ下がった形をしていて、葉の裏に胞子がついています。ビカクシダビーチーは全身を覆うように広がる、星状毛(せいじょうもう)による白さが特徴的です。大きく成長して丸く広がっている「貯水葉(ちょすいよう)」は、水分や栄養を蓄え、樹木や岩石に着生させる支えにもなります。
ボタニ子
ビカクシダビーチーの品種
園芸品種レモイネイ
ビカクシダはオーストラリア、アフリカ、東南アジアなどの熱帯地域に自生しています。ビカクシダビーチーはオーストラリアが原産で、レモイネイという丈夫で育てやすい園芸種があります。レモイネイの胞子葉は美しい銀色が特徴的で、垂れ下がらずに前方に伸びます。丈夫なので初心者でも扱いやすく、人気のある品種です。
ビカクシダの購入方法
ビカクシダの購入方法は、園芸店かネットでの通販が主流です。園芸店は在庫が限られており、希望の品種が見つからない可能性がありますが、好みにあった鉢があればすぐに購入できます。一方でネット通販での購入方法は、写真と実物の印象が違う場合がありますが、品種が幅広く扱われており価格の比較も可能です。
ボタニ子
自分にあった購入方法で手に入れるといいわね。
ビカクシダビーチーの育て方
ビカクシダビーチーの育て方の注意点は、栽培環境を整えて水やりや施肥に気をつけることです。注意点に気をつけながら栽培すれば、立派な株に育てられます。より生きいきとした株に育てるために「ビカクシダビーチーが自生している環境にできるだけ近づける」を念頭に置きましょう。
育て方①栽培環境
日光
ビカクシダビーチーは日光を好み、日に当てることで丈夫な株に育ちます。春や秋は軒下などの明るい場所に出して、日光浴をさせましょう。夏の直射日光は葉焼けの原因になるため、明るい日陰に移動します。耐寒性の低さから屋外での冬越しは難しく、冬は室内の明るい場所に移すのが望ましいです。室内から屋外に出すときは、ゆっくりに日光に慣れさせるよう注意してください。
ボタニ子
いきなり日当たり良好な場所に置かないで、日陰から1~2週間くらいかけて少しずつ移動するといいわ。
風通し
ビカクシダビーチーは風通しのよい環境を好みます。厳しい環境で自生するため丈夫な品種ですが、蒸れると葉が黄色くなったり、害虫が発生したりする原因になるため、風が循環する置き場を選びましょう。どうしても風通しがよくない場合は、扇風機やサーキュレーターで風を人工的におこして蒸れを解消すると、病気や害虫の予防になります。
ボタニ子
直接ビカクシダビーチーに風をあてるのではなく、天井や壁にむけて間接的に風をあてて、部屋の空気が動くようにするのがコツよ。
温度管理
ビカクシダビーチーは熱帯地域の植物なので、耐寒性があまりありません。生育環境の温度は10℃以上を保つように調整してください。氷点下にならない限りは屋外でも冬越しできますが、安全のためにも冬場は室内に移動することをおすすめします。一方で、高温を好む植物なので、夏場は屋外で管理するとよいでしょう。
育て方②水やり
ビカクシダビーチーには貯水葉があるため、水の与えすぎは枯れる原因となります。水苔や土が乾いてから水を与えましょう。きちんと乾いた状態では鉢や株が軽くなるため、水やりの目安になります。貯水葉の中にも水が行き渡るように、たっぷり水やりをしてください。
育て方③施肥
ビカクシダビーチーは過酷な環境で自生している植物で、肥料を与えなくても育ちますが、施肥するとより立派な株に成長します。春や秋の成長期中の2カ月に1回、緩効性化学肥料か生油粕を置き肥してください。貯水葉が重なっている部分の中や裏側、あるいは鉢の隅に置きます。ただし、肥料の与えすぎは枯れる原因になるため注意しましょう。
ビカクシダビーチーの増やし方
ビカクシダビーチーの増やし方は「株分け」と「胞子から増やす」方法の2種類あります。いずれも、春~夏にかけて行うのが理想的です。根づまりをおこしたり大きく成長しすぎたりした株は、植え替えのタイミングで小分けにして、株分けをしましょう。胞子をつけた株は、胞子から発芽させられます。
増やし方①株分け
株分けで用意する道具は「ワイヤー」「ハサミ」「キリ(千枚通し)」「水苔」です。
- 胞子葉から円を描くように子株を切り取る
- 板に水苔を敷き、その上に切り取った子株を置く
- 板と子株を固定するため、子株の周りにキリで3カ所ほどワイヤー用の穴をあける
- あけた穴からワイヤーを通し、板を立てても子株が落ちないていどに固定する
増やし方②胞子から
株が熟成すると胞子をつけることがあり、この胞子からもビカクシダビーチーを増やせます。用意する道具は「保水性のある土か水苔」「タッパー(深めの受け皿)」「スプーン」です。
- 葉の裏側についた胞子をスプーンでやさしく削り取る
- 湿らせた土を入れたタッパーに胞子をまく。保湿のためにフタをして、乾燥を防ぐ
- 20℃くらいの明るい日陰に置いて、発芽を待つ
ボタニ子
胞子から増やす方法は簡単ではないわ、上級者向けね。でも、挑戦してみる価値はあるから、胞子ができるまで育てたらチャレンジしてみて。
ボタ爺
こまめに霧吹きをするのが発芽のコツだよ。乾かさないということが注意点だぞ。
ビカクシダビーチー栽培で注意したい病害虫
害虫
注意しておきたい害虫は「カイガラムシ」です。室内で乾燥していて、風通しが悪いと発生します。屋外から室内に入れる場合は、葉に付着したホコリを取り、葉水で湿度を保ちましょう。また葉に風が直接当たらないような置き場で、周辺の空気を循環させる工夫もしてください。発生してしまったときは、ビカクシダビーチーを傷つけないよう柔らかいブラシでやさしく除去します。
病気
特定の病気に注意する必要はありませんが、草体が傷つくと菌が侵入しすぐに腐ってしまいます。植え替えや葉同士の擦れが原因となるため、傷がつかないよう注意しましょう。傷がついてしまった場合は、すぐに風通しのよい場所に移動し、水やりを中断します。傷ついた草体だけでなく全体を乾燥させるとよいでしょう。
薬剤
シダの仲間は薬害を受けやすい植物で、薬剤の散布は葉の枯れや奇形の原因になることがあります。とくに新芽は影響を受けやすいため注意が必要です。病害虫対策に有効な薬剤ですが、規定の濃度よりも薄めて使用しましょう。薬害は回復が難しいため、発生しないよう注意して散布してください。
ボタニ子
被害の内容を知っておくことで、何が原因で症状が出ているのかを特定して、対処しやすくなるわ。
ボタ爺
早期の発見、対処で被害を最小限におさえられるので、しっかり覚えておくといいの。
ビカクシダビーシーと暮らしてみよう
ビカクシダビーチーはとても個性的な容姿の観葉植物です。一鉢インテリアとして部屋においてあるだけで、素敵な空間を作り出してくれます。増やし方は意外にむずかしいですが、育て方はポイントさえ押さえておけば、初心者でも臆することはありません。手に入れるチャンスがあったら、一緒に暮らしてみましょう。
ビカクシダビーチーは乾燥森林の中にある水辺で自生しているために、乾燥に強く生命力のある品種になったのよ。