すす病の予防方法
一度発生してしまうと防除が難しいすす病の対策として何より重要なのことは、すす病を発生させないように予防することです。ここでは発生し辛い環境を整えることから、農薬を使った方法まで、手軽な予防方法をご紹介します。
①風通しをよくする
すす病は高温多湿条件で多発するため、枝が密になっている箇所をこまめに剪定し、風通しがよくすることが有効な対策になります。日常的に剪定を行うことで、黒いすす状の病斑や、害虫の出現を早期に見つける可能性も上がり、素早い対処が可能になります。鉢植えの場合であれば、日当たりのよい、開けた場所に置き場所を変えることで病気が発生する確率は低くなります。
②木酢液を使う
化学農薬を使いたくないという方は、天然由来の成分から作られる木酢液や竹酢液を使用するという方法もあります。木材に含まれる酢酸などの成分を抽出した木酢液は、弱酸性を示し、消毒や虫よけ効果があると言われています。ただし、農薬としての効果には科学的な裏付けはないため、あくまで補助的に使うのがよいでしょう。木酢液は市販されていますが、自分で作ることも可能です。
木酢液の作成方法
木酢液は、木材に含まれる酢酸などの殺菌効果をもった成分を抽出したものです。製造の過程で有害な物質が混入しないように、原材料として使う木材には塗料や殺虫・殺菌剤が含まれていないものを選ぶ必要があります。木酢液を作成する手順は以下の通りです。
- 原材料として使う木材を炭焼き用の窯などに入れて焼く。
- 窯から出てきた煙をパイプに通して冷却し、液体化した成分をバケツなどの容器に集める。
- 容器を密封して、たまった液体を冷暗所で3~6か月程度保管する。
- 3層に液層が分かれるので、中間層にある透明な木酢液のみを抽出する。
③害虫を駆除する
すす病の根本的な原因はすす病菌と呼ばれるカビですが、一番効果的な対策は、カイガラムシ、アブラムシ、コナジラミなど、カビが増殖する原因となる害虫を防除することです。これらの害虫を防除する手段として、被害が狭い範囲であれば、水で洗うといった方法でも対処が可能です。ただし、広範囲に発生してしまっている場合は、農薬を散布して対処しましょう。
すす病の治療方法
黒すす症状が一度現れてしまうと根絶することが難しいすす病ですが、蔓延を抑えることは可能です。ここでは物理的な方法と農薬を使った化学的な方法の2つをご紹介します。
①発症した部分を除去する
すす病はほとんどの場合が、植物に直接寄生しているわけではないので、黒いすす状の病斑が出ている場所を布でふき取ることや、水で洗うことで、比較的簡単に黒すすを落とせます。ただし、感染が拡大するスピードが速いために、気づいたときには広範囲に黒すす症状が出ていることもあります。その場合には、症状が出ている部位を枝ごと切り取ってしまう方が対処としては簡単です。
②殺菌剤を使う
葉っぱについた黒いすす状の病斑を取り除いたり、水で洗うなどの対策を行ったとしても、カビを完全に根絶するのは難しく、多くの場合は、しばらくするとまた症状が拡大してしまいます。しかし、黒い病斑をある程度物理的に取り除いた後には、殺菌剤を散布し、消毒を徹底することにより、病気の拡大を防ぐことができます。