冷凍ブロッコリーにも栄養はある
スーパーやコンビニで見かける冷凍野菜は年々種類が増えています。ブロッコリーは栄養も豊富で健康に役立つ野菜のため、市販の冷凍食品のなかでも冷凍ブロッコリーは人気です。「冷凍野菜は栄養素がない」といった意見もありますが、高い冷凍技術により、栄養素はほとんど生と変わりません。また、「冷凍ブロッコリーはまずい・臭い」ともいわれますが、方法次第でおいしくできます。
生のブロッコリーと冷凍ブロッコリーの栄養比較
カロリー | カリウム | カロテン | 葉酸 | 食物繊維 | ビタミンC | |
生ブロッコリー | 40(kcal) | 460(mg) | 900(mg) | 220(μg) | 5.1 (g) |
140(mg) |
ブロッコリーは栄養が豊富で、健康を気づかう人におすすめの野菜です。市販の冷凍ブロッコリーも生のブロッコリーと同じ栄養成分で構成されますが、冷凍することで「変わらない栄養成分」と「減る栄養成分」があります。
生のブロッコリーと変わらない栄養成分
冷凍してもほとんど変わらないものはカロリー、カロテン、食物繊維があげられます。とくに、油に溶ける性質があるカロテンは冷凍しても失われにくく、生のブロッコリーとほとんど変わりません。カロテンや食物繊維は健康にかかせない成分で、冷凍食品からとれるというのはうれしいポイントですね。
生のブロッコリーより減る栄養成分
冷凍すると減るものはカリウム、葉酸、ビタミンCなどです。いずれも水溶性の性質をもつ栄養成分で、冷凍することで壊れた細胞から流出してしまうと考えられます。数値は生のものと比べて1/3~1/2に減少します。
ボタニ子
ボタ爺
それが単純にそうとはいえず、時期によっては冷凍ブロッコリーが生のブロッコリーを上回ることがあるんじゃよ。ポイントは「旬」じゃ!
生のブロッコリーの栄養値は変動する
①収穫時期による変化
1年中、店頭に並ぶ生野菜ですが、収穫時期によって栄養素は変動します。ブロッコリーも同じで、たとえば12月に収穫したブロッコリーのビタミンCは100gあたり160mgですが、8月では80mgほどです。冷凍のブロッコリーとそれほど変わらないといえるでしょう。健康のためにブロッコリーを食べるのであれば、時期によって冷凍食品を取り入れるのがおすすめです。
②保存期間による変化
買ってきた生のブロッコリーをただ冷蔵庫に入れておくと、酵素や温度の働きによってビタミンCなどの栄養成分はどんどん減少します。1週間程度冷蔵庫に入れておくと、ビタミンCは30%も減少するという報告もあるほどです。一方、冷凍庫の温度管理が適切なら、冷凍ブロッコリーのビタミンCは減少しにくい傾向にあります。
ボタニ子
冷凍ブロッコリーのほうが生のブロッコリーより栄養面で優れているときもあるんですね。
ボタ爺
そういうことじゃ。とくに旬の時期以外に買うのであれば冷凍を使うと便利に健康に役立てられるの。
冷凍ブロッコリーの栄養が変動しない理由
冷凍ブロッコリーは生のブロッコリーと比べて栄養値の変動が少ないことがわかりましたが、理由は冷凍方法にあります。
理由①ブランチングによって酵素失活
ブロッコリーの可食部を切り分けて洗浄したあとの工程がブランチングです。ブランチングは瞬時に軽く熱をとおす工程のことで、熱によって酵素を失活させる効果があります。時間とともに生のブロッコリーが変色したり、栄養成分が減少したりするのは酵素の影響もあるため、ブランチングはブロッコリーの鮮度維持に重要です。
冷凍食品は洗う必要なし
市販の冷凍ブロッコリーはブランチングの前に事前に洗浄されているので洗う必要はありません。洗わずにそのまま使えるのは冷凍食品の大きなメリットといえるでしょう。
理由②急速冷凍で氷晶を発達させない
ブランチング後の工程は急速冷凍です。一般的に、氷晶が発達する温度帯は-5~-1℃で、この温度帯の時間が長いほど氷晶が大きくなり、食材の細胞にダメージを与え、栄養成分を壊します。急速冷凍はこのダメージが大きい温度帯を早く通過し、細胞が安定する-18℃以下に素早く到達させる冷凍技術です。急速冷凍技術によって冷凍食品の栄養は守られているといえるでしょう。
冷凍ブロッコリーの上手な解凍方法
冷凍ブロッコリーは上手に解凍しないと食感や味がまずいことがあります。冷凍ブロッコリーはコンビニなどでも売られていて手にいれやすい便利な食材です。おいしく解凍する方法を覚えておくと毎日のおかず作りに役立つでしょう。
解凍方法①冷凍のまま使用
冷凍ブロッコリーの解凍方法で栄養のロスが少ないのは「冷凍のまま調理する」です。ビタミンCや葉酸、カリウムなどの水溶性ビタミンは解凍のタイミングで水分と一緒に外へ流れ出てしまうので、冷凍のまま使えば水分とともに流出してしまうロスが防げます。冷凍食品は洗う必要もないため、スープなどの煮込み料理に冷凍のまま入れるだけで解凍可能です。
解凍方法②軽く湯通し
軽く湯通しして解凍する方法は、ブロッコリーの食感が失われにくく、栄養の流出も少なく済みます。レアな食感にとどめておきたい魚介類などとあわせてソテーする場合などに事前に軽く湯通しする方法はおすすめです。市販の冷凍ブロッコリーはブランチングされているのでさっと熱をとおせば食べられます。
解凍方法
- 鍋に湯を沸かす
- 冷凍ブロッコリーを必要量いれて湯通しする
- 30秒~1分でザルにあけ、調理に使用する
解凍方法③電子レンジ
電子レンジの解凍が一番手軽で忙しい朝などに活躍しますね。ポイントは加熱しすぎないことです。長時間加熱するとブロッコリーがぱさぱさになり、味もまずいものになってしまいます。また、熱に弱いビタミンCなども壊れてしまうので加熱時間の調整は重要です。
解凍方法
- 耐熱容器にブロッコリー(3~5房)と小さじ2杯の水をいれてふんわりとラップする
- 電子レンジ600Wで1分30秒~2分加熱する
- 様子を見ながら時間を追加する
ビタミンCなどの水溶性ビタミンの量が冷凍によって減るのであれば、やはり生のブロッコリーのほうがいいってことなんですね?