ブロッコリーには虫がつきやすい
ブロッコリーの基本情報
学名 | Brassica oleracea var. italica |
和名 | メハナヤサイ |
分類 | アブラナ科アブラナ属 |
ブロッコリーは、彩りもよく栄養価も高い野菜です。しかし、アブラムシをはじめ多くの種類の寄生虫が集まる野菜でもあります。これは、アブラナ科の植物が出す香りに多くの害虫がひきつけられるからです。また、小さなつぼみが入り組んだ形をしているため、水でざっと流しただけではゴミやほこりが残ってしまう場合もあります。
つぼみの中に隠れている
ブロッコリーは主に、小さなつぼみが集まっている部分を食べる野菜です。しかし複雑な形のため、青虫などの幼虫たちがもぐりこみやすいのです。料理中や食卓に虫が現れることもあるでしょう。使いかけのブロッコリーを生のまま常温で置いておくと、花が咲いて虫が出てくることもあります。
生で食べるときは要注意
ゆでたブロッコリーは栄養がお湯に流れてしまう点から、日本でもブロッコリーを生で食べるという考えが広まってきました。しかし、ブロッコリーにつく虫の中には、毒を持つものがいます。つぼみの中に潜んでいるのは、安全な虫とは限らないのです。
ブロッコリーを好む虫の種類
ブロッコリーは、アオムシなどの被害を受けやすい野菜です。ブロッコリーが属するアブラナ科の植物は、害虫の被害を防ぐ香りを含むカラシ油配糖体という成分を持っています。しかし害虫の中には、このカラシ油配糖体が効かなかったり、逆に利用したりするものも存在します。
ブロッコリーを好む虫①アオムシ
アオムシは、モンシロチョウをはじめとした、チョウ目の幼虫です。アオムシは、カラシ油配糖体が効きません。そのため、ほかの害虫から身を守るためにアブラナ科の植物を利用します。特にブロッコリーは小さいつぼみが密集しているため、アオムシにとっては餌場であり隠れ家です。
ブロッコリーを好む虫②アブラムシ
アブラムシは、カメムシ目アブラムシ上科に属する昆虫の総称です。アブラムシもまた、カラシ油配糖体が効きません。さらに自分の体にため込めるので、これを利用してほかの虫から身を守っています。アブラムシはモザイク病などの原因ウィルスを運ぶため、発生すると徐々に野菜が弱ってしまいます。
ブロッコリーを好む虫③ヨトウムシ
ヨトウムシは、チョウ目ヤガ科ヨトウ亜科に属する昆虫です。名前の由来は、幼虫の性質です。昼の間は土の中に潜り、夜になると姿を表して植物を食べます。ヨトウムシは通常の虫と違い、カラシ油配糖体の匂いがわかりません。そのため、アブラナ科の植物であってもお構いなしにかじってしまうのです。
火を通せば食べても大丈夫
ブロッコリーを加熱すると、寄生虫は死にます。また、害虫の持つ毒成分も、加熱することで無毒化されます。ゆでたり焼いたりして食べる場合には、虫の取り方に気をつける心配ありません。どうしても気になる場合は、その部分を取り除いてから料理しましょう。
ブロッコリーの洗い方
ブロッコリーを生で食べるときや、どうしても虫を落としt調理したい場合は、正しい方法で虫を落とさなければいけません。しかし、簡単に流水で流したり、短時間のためすすぎをしたりしただけでは、虫はなかなか落ちません。ブロッコリーのつぼみが虫たちの隠れ家になっているためです。流すのではなくつけることで、つぼみを開く必要があります。
まずは小房に切る
ブロッコリーは、丸のまま洗うより小房に切ってから洗うほうが、虫などを効果的に取れます。大きい形で料理をしたいとき以外は、小房に分けてから洗うほうがよいでしょう。その際は、Yの字に分かれる根元から斜めに落とすと、芯の部分も料理しやすくなります。
表面の白い粉は落とす必要なし
ブロッコリーの表面には、白い粉がついています。これは、洗い落とす必要はありません。ブロッコリーやぶどうなど一部の植物は、自分を守るために天然のワックス成分を表面にまとっています。一見するとほこりやゴミのようにも見えますが、実はブロッコリーの成分の一部です。
洗い方①つけおき洗い
簡単な虫の取り方は、つけおき洗いです。ブロッコリーをボウルなどに入れ、20分水につけます。その後、シャカシャカと水の中で振れば終わりです。水につけることでつぼみが開き、中に隠れているアブラムシなどが出てきます。ブロッコリーは水に浮かぶため、皿などを重しにするとよいでしょう。ビニール袋に水とブロッコリーを入れて空気を抜くのもおすすめです。
重曹を使うとより効果的
つけおき洗いをするときに重曹を使うと、より効果的に虫を落とせます。つけ置き洗いをする水に、小さじ1杯の重曹を溶かして、ブロッコリーをつけるだけです。汚れや虫だけでなく、農薬も処理できますよ。ただし、必ず食品用と書かれている重曹を選びましょう。
洗い方②50℃洗い
つけおき洗いは簡単ですが、どうしても時間がかかってしまいます。そんなときは、50℃洗いをするのがおすすめです。50℃のお湯に3分つけるだけで、虫などをきれいに処理できます。また、50℃のお湯につけることで、ブロッコリーが鮮度を取り戻し、あざやかに発色するのも魅力です。
洗い方③流水洗い
「どうしても時間がなく、早く料理をしたい」というときには、流水洗いでも大丈夫です。幼虫やアブラムシは、加熱すれば毒も無毒化されるため、食べてしまっても問題ありません。ただし、どうしても虫が見えて気になる場合や生で食べるときには、流水洗いだけでは不十分です。できるだけ、つけおき洗いや50℃洗いをしてください。
洗い方④ふり洗い
ブロッコリーを洗う時間がどうしても取れないときは、小房に分ける前にふり洗いをするのも1つの方法です。まず、ボウルに水を十分にためます。次にブロッコリーの茎を持ち、つぼみの部分を水につけてシャカシャカと振ります。水をかえてもう一度同じことをすれば完了です。もちろん、ほかの洗い方と併用するのもおすすめですよ。
ブロッコリーをおいしく食べるコツ
ブロッコリーは、一見するとゴツゴツとしていて硬そうに見えます。しかし、実際はその大半はつぼみのため、柔らかく火の通りも早いです。沸騰したお湯でさっとゆでるほか、電子レンジで加熱も可能です。短時間の加熱なら、栄養を逃しません。また、生のまま冷蔵庫に入れておくと、花が咲いて味が落ちてしまいます。冷凍するか、早めに使い切るようにしましょう。
コツ①短い時間でゆでる
ブロッコリーは、とても火の通りが早いという特徴があります。そのため、短めにゆでたつもりでも余熱で火が通り過ぎてしまう、ということがあります。おすすめのゆで時間は、2分です。サラダにしたりバーニャカウダソースで食べたりするのに、ちょうどいい硬さに仕上がります。また、ゆでたブロッコリーをさらに水にさらすと、栄養成分が抜けてしまうので注意しましょう。
コツ②食べきれないときは冷凍する
ブロッコリーは冷凍保存できます。まず水気をよく切り、バットに並べてラップをし、冷凍庫に入れます。凍ったら、ジップ付きの袋に入れて冷凍庫に戻せば完了です。生のままでも、ゆでた状態でも、どちらでも冷凍できますよ。冷凍庫で1カ月はおいしく食べられます。
まとめ
ブロッコリーは、つぼみの中に虫がいることが多い野菜です。そうとはいえ、ブロッコリーを加熱して食べる場合は、気にする必要はありません。しかし生で食べたいときや、虫をどうしても見たくないという人は、正しい取り方で虫を落としましょう。ただ流水で洗うだけではなく、水やお湯にしっかりつけることが大切です。
出典:写真AC