蜂蜜種(ミード)とは
古い歴史を持つ黄金色の酒
蜂蜜酒(ミード)とは、蜂蜜と水を原材料とする醸造酒です。甘い味わいと黄金色の色合いの美しさから、女性や酒が苦手な方にも愛されています。蜂蜜と水を混ぜて置いていると、酒の成分であるアルコールができます。このことから、ワインやビールよりもずっと昔から存在した人類史上もっとも古い酒であるといわれています。
ローマの英雄ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)も、蜂蜜酒を飲んでいたという記録が残っているよ。
ハネムーンの語源
新婚旅行を「ハネムーン」と呼ぶのは、蜂蜜酒が由来です。古代~中世のヨーロッパには、新婦は結婚後の1カ月の間、外出せずに蜂蜜酒を作り、それを新郎に飲ませて子作りに励むという風習がありました。これは当時、蜂蜜には強壮作用があると定義されていたことと、蜂が多産であることから「たくさんの子供を産めるように」という、縁起かつぎで生まれた風習であるといわれています。
当時はお祝いのための宴会も、1カ月もの間行われていたんだよ。
これらのことから「蜂蜜の1カ月」、転じて「蜜月(ハニームーン)」という言葉が生まれました。
そして「新婚旅行(ハネムーン)」の語源にもなったんだ。
蜂蜜酒(ミード)の味と度数とは
蜂蜜酒(ミード)はどんな味?
蜂蜜を原材料とすることから、非常に甘い味を想像される方が多いでしょう。その味は強いてあげるなら、「甘い香りのビール」です。蜂蜜酒は蜂蜜を水で薄め、アルコール発酵を起こして作るのですが、この過程で糖分が分解されるため、そのぶん甘い味は薄まり、蜂蜜の甘い香りが残ります。また、醸造酒であることから「白ワインに近い味わい」とも評されています。
実際は蜂蜜の産地や販売国、製法や製造メーカーによって、味わいはかなり異なっています。
ヨーロッパでは伝統的な製法で蜂蜜酒を製造しているところが多いよ。それと、蜂蜜酒を自作している家庭も多いんだ。
蜂蜜酒(ミード)のアルコール度数は?
蜂蜜酒のアルコール度数は、製法の違いなどによって異なりますが、平均すると12%前後です。蜂蜜の量が多くて熟成期間が長いものほど、アルコール度数が高くなっていきます。ちなみに蜂蜜酒のなかで、もっともアルコール度数が高い酒はリトアニアの「ジャルギリス」です。そのアルコール度数は75%と非常に高く、ウォッカに匹敵します。
通常の蜂蜜酒のアルコール度数は、普段から酒を愛飲している人なら普通に飲める程度だから、安心してね。
蜂蜜酒には、アルコール度数10%未満の物もあります。あまり酒が強くない場合は、そちらがおすすめですよ。
蜂蜜酒(ミード)の飲み方は?
おすすめの飲み方①ストレートやソーダ割り
口当たりのよい蜂蜜酒は、そのままストレート、もしくはソーダで割っても美味しくいただけます。特に初めて蜂蜜酒を飲む、または種類の異なる蜂蜜酒を飲み比べる場合は、最初はストレートで飲んで、味を確かめてみましょう。また、蜂蜜酒はかんきつ類との相性がよいので、ソーダ割りにするときはレモンやライムを加えると、さらに美味しくなりますよ。
おすすめの飲み方②温めて飲む
寒い季節にピッタリな飲み方です。材料として蜂蜜酒のほか、シナモンやクローブなどのハーブ類も用意しましょう。蜂蜜酒とハーブを入れた鍋を、弱火でハーブの香りが立ってくるまで温めます。甘い味が強いと感じたなら、湯やミルクで割るとマイルドな味になりますよ。就寝前に飲むのもおすすめです。体が温まるので寝つきがよくなります。
おすすめの飲み方③凍らせて飲む
暑い季節なら、凍らせて飲む方法がおすすめです。蜂蜜酒は均等に凍るので、シャーベットのような感覚で楽しめますよ。また、蜂蜜酒はバニラアイスとの相性がよいので、バニラアイスにかければ、大人向けの甘いスイーツとして美味しく食べられます。
おすすめの飲み方④カクテルにして飲む
新しい味を求める方、おしゃれな飲み方を楽しみたい方には、カクテルにして飲む方法がおすすめです。ウィスキーやカシス、ジントニックなどをブレンドすれば、簡単に作れます。口当たりがよくて甘い蜂蜜酒は、ミルクなど相性のよい飲み物が多いので、カクテルのレシピも豊富です。いろいろと試してみると面白いでしょう。
蜂蜜酒(ミード)の歴史
蜂蜜酒の起源は、今からおよそ1万年以上もの昔にあります。ある狩人が獣に荒らされて破損した蜂の巣にたまっていた雨水を飲んだのがきっかけです。蜂蜜が雨水で薄められ、糖度が下がることによって発酵した結果、蜂蜜酒が誕生しました。人類最古の飲酒であると同時に、もっとも原始的な方法でできる発酵飲料の誕生ともいえるでしょう。その後は製造方法が発展し、現在の形に近づいていきました。
古代~中世時代にかけては、蜂蜜酒の全盛期といえるでしょう。青銅器時代にはすでに、蜂蜜酒の生産が拡大していたと推測されています。
でもそれ以降は、いろんな醸造酒が台頭してきて、蜂蜜酒の存在感も薄れていったんだよね。
北欧と蜂蜜酒のつながり
北欧は農耕技術が発展した現在でも、ワインの原材料であるブドウの栽培が難しい地域です。そのため、ワインが台頭してきた時代においても、ワインよりも蜂蜜酒が愛飲されてきました。後述する北欧神話も、北欧と蜂蜜酒とのつながりの強さを表しているといえるでしょう。現在でも北欧諸国で蜂蜜酒はとても愛されています。
ポーランドの蜂蜜酒「ミュート・ピトニィ(Miód Pitny)」は、欧州委員会(EC)から正式な伝統ブランドに認定されているよ。
バルト三国の1つであるリトアニアは昔から養蜂業が盛んな国で、蜂蜜酒の醸造所もあります。このため多くの蜂蜜酒が作られたんですよ。
リトアニアには、ユニークな蜂蜜酒のレシピがたくさんあるんだよ。なかには英国女王から特許を与えられたレシピも存在するんだ。
蜂蜜酒(ミード)の神話
北欧神話には「詩の蜜酒」という蜂蜜酒が登場します。クヴァシルという賢い神が殺されたとき、その血を混ぜて作られたという蜜酒です。この酒には、飲めば誰でも詩人や学者となり、あらゆる情報を物語ることができるようになるという不思議な力がありました。のちに北欧神話の主神オーディンによって神々の国へ運び出され、神々と詩の才に秀でた人間に与えられるようになったと伝わっています。
次は、蜂蜜酒の作り方や、蜂蜜酒に合うつまみをご紹介します!
蜂蜜酒は、古代ギリシャ・ローマの時代においては「神々の酒」として崇められ、愛されていました。