米麹とは
米麹は、醤油・みりん・味噌など日本食にかかせない調味料の原料にもなっているカビの一種です。米を蒸して、そこに麹菌を繁殖させることで作られます。作り方を紹介する前に、米麹の種類をみていきましょう。
種類
生麹と乾燥麹
米麹には、できたばかりの生麹と、それを乾燥させた乾燥麹があります。生麹は味や香りがよりよい状態で、味噌などをよりはやく発酵させることができるのが特徴です。生麹は雑菌が増えやすいので長期保存には向きませんが、乾燥麹はそのとき必要な量だけを水でもどして使えるため、少しずつ使いたい場合にとても重宝します。
白米麹と玄米麹
白米から作られる白米麹と、玄米から作られる玄米麹は、それぞれ特徴に違いがあります。白米麹は入手しやすく、味は甘みがしっかりして発酵香のクセはあまりありません。一方、玄米麹は白米麹とくらべて見かけることが少ないかもしれません。玄米特有の個性的な味わいで、苦みやコクがより深く感じられます。また、玄米麹は白米麹よりも麹菌を繁殖させるコツが必要になるともいわれていますよ。
米麹の作り方
米麹は約3日ほどでできあがりますが、米の精米度合や作る季節によってもかかる時間はかわってきます。また、麹菌を雑菌から守るため、使用する器具や手を清潔にしておくのも米麹づくりを成功させるポイントです。
材料
米(もち米は水分が多すぎ麹菌が繁殖しにくいので、うるち米使用) |
種麹 |
ザル |
蒸し器または圧力鍋 |
蒸し布 |
しゃもじ |
温度計 |
毛布(保温用/冬のみ) |
消毒用アルコールまたは焼酎 |
強度のある米袋または紙袋 |
温熱装置 |
米麹を作るときの分量は、米1合に対して種麹は0.1~3gほどです。できあがる米麹は約180gですが、米の浸水や蒸し方、発酵の進み方によっても変化しますよ。作りたい分量によって米と種麹の量を増やしてくださいね。
- 種麹は多く入れるほど成功率が上がります。多く入れることに問題はないので、コツがつかめるまでは多めに入れておくと安心です。
作り方
①米の下準備
米は2~3回水をかえながら研いで、水のにごりをとります。そして水を入れ直してから一晩つけおきしてください。冬場はつけておく時間を長めにするとよいでしょう。そして3~4時間ほど水切りしておきます。このとき、途中で米をまぜたりザルをかたむけたりして全体の水分を均等に取り除くとよいです。
②米を蒸す
米は蒸し布に包んでから蒸し器にいれて蒸しましょう。蒸す時間の目安は40分~60分です。蒸し米は、普段食べる米よりもかためで、手でつぶして芯が残らない状態に仕上げます。蒸し器がない場合、米は圧力鍋で15分ほど蒸して、自然に減圧させてから取り出してください。
- 蒸しあがった米をすこし取り出して、ひねりつぶしてみましょう。ひねり餅といって、ひねりつぶせて餅状になるくらいのかたさが最適です。
③蒸した米を冷ます
蒸しあがった米は、消毒用アルコールまたは焼酎で除菌したトレイに広げます。しゃもじで切るように米全体を混ぜながら、あら熱をとって水分を飛ばしましょう。そして米を素手で触れるくらいの温度(40℃くらい)になるまで冷まします。なお、麹菌は高温だと死滅してしまうので、温度はかならず守ってくださいね。
④種麹をまく
米が適温になったら、種麹を数回にわけてふるい入れます。全体に種麹がいきわたって固まらないように、少し高めの位置からまくとよいでしょう。米をつぶさないように手早く混ぜて、温度が下がらないようにしてください。冬は温度が下がりやすいのでエアコンのきいた部屋でおこなうのがおすすめです。
- 茶こしなどでふるい入れると、まんべんなく種麹が広がりやすいです。
⑤保温する
米は清潔な布や紙袋、米袋などに包んで、30℃~32℃くらいの温度で保温します。このとき米を小さくまとめておくと発酵しやすくなりますよ。発酵器がなければ、温熱装置は電気毛布や湯たんぽ、こたつなどでも代用できます。装置によって熱が一部に集中するときは、裏返して全体を保温しましょう。ヨーグルティアをつかう場合は、底に水分がたまるので穴のあいた紙皿をしくなど工夫が必要です。
⑥手入れ(種麹をまいてから18時間~22時間後)
麹菌の発酵がすすむと甘い香りがしてきて、米は白色になってきます。かたまりになっている米の粒をほぐしながら全体の温度をととのえ、酸素を行き渡らせて菌が増えやすい環境を作りましょう。温度が下がらないように時間をかけないのがポイントです。反対に時間よりはやく40℃を越えたら、麹菌の死滅を防ぐためにその時点で取り出しましょう。そして米をまとめ直したら再度保温します。
⑦手入れ(種麹をまいてから30時間~34時間後)
温度があがってくるので、かたまりになっている米はほぐし、38℃くらいにします。かたまりの米は、3cmくらいの厚みで平らにしてください。そしてまた袋にもどし、保温します。このとき、麹菌は酸素が必要になるので、保温容器が完全に密封されないようにしましょう。温度はときどき確認して、高すぎる場合は混ぜて温度を下げ、低すぎる場合は平たくした米に厚みを持たせます。
⑧完成
種麹をまいてから、順調にいけば45時間~50時間くらいで完成します。甘くて栗のような香りがして、菌糸がしっかりついて締まった米がほぐれやすくなっていたら、よい米麹ができた証拠です。米麹が固まらないでパラパラになることもありますが、失敗ではありませんよ。
次のページでは米麹の保存方法や増やし方、米麹をつかったレシピを紹介します。
出典:写真AC