柿渋とは
柿渋とは、熟す前の青い柿をつぶして絞った汁を発酵・熟成させた液体です。防腐・防虫効果などがあるため、古くからさまざまなところで活用されてきました。その歴史は古く、平安時代に着物の染料として使用されたのが始まりといわれています。柿のみからできている完全自然由来成分のため、近年では化学成分に代わる塗料・染料として注目されています。
古くからの使用例
柿渋はかつて、さまざまな方法で利用されてきました。一例をご紹介します。
- 番傘・うちわ…使用されている和紙の防水・補強のため
- 魚網・釣り糸…糸(綿や麻製)の防腐・補強のため
- 酒袋(もろみ袋)・米袋…防虫・抗菌・補強の為
- 民間薬…やけど、しもやけの塗り薬として
ボタニ子
柿渋の❝渋❞の正体
未加工の渋柿をそのままかじってしまったことはあるでしょうか?渋柿をかじってしまったときに口に広がるあの渋みの成分はタンニンといいます。お茶やワインの渋みもこのタンニンによるものです。タンニンはポリフェノールの一種でタンパク質と結合する性質があり、口に入ると舌や口腔粘膜のタンパク質と結合して変性させます。その感覚をわたしたちは渋みとして感じるのです。これからご紹介します柿渋の効果はそのタンニンによるものなのです。
柿渋の特徴
柿渋色とは
液体の柿渋は半透明で、赤みがかった褐色をしています。その柿渋を染料として染めた布や紙は、なんとも優しい色あいになります。画像が柿渋色です。柿渋色という言葉は柿渋本来の色ではなく柿渋で染めたものの色を指します。茶でもなくオレンジ色でもなく、夕暮れ時のようなノスタルジックな色です。
独特なにおい
柿渋は強烈なにおいがあることでも知られています。渋柿の絞り汁が発酵する過程で酢酸や酪酸といった種類のにおいのもとが作られてしまうのです。
- 酢酸…酢のにおい。汗のすっぱいにおい。
- 酪酸…熟した銀杏のにおい。不快性の強い腐敗臭。
柿渋の種類
柿渋には用途や仕様の異なる種類があります。主なものをご紹介します。
染料・塗料向け柿渋
柿渋2Lペットボトル入り/柿渋京都西川本店
柿渋2Lペットボトル入りたっぷりの2000ml即日発送
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塗装、布染め用の柿渋原液。❝玉渋❞とは長期間熟成した高品質の柿渋の呼び方です。
無臭柿渋
顆粒タイプ
飲む柿渋
古伝「のむ渋」玉の渋300ml/大阪西川
大阪西川 柿しぶ 玉の渋 たまのしぶ 300ml
参考価格: 2,052円
飲用向けに5年以上熟成させた柿渋です。さまざまな健康効果があるといわれています。
次のページでは、柿渋の作り方をご紹介します。
柿渋で補強を施したうちわは「渋うちわ」と呼ばれ、上手に使えばなんと100年以上も壊れなかったそうです!長寿の縁起物として贈り物にもされたとか。