国花とは?
国花とは何かご存じでしょうか。「その国を象徴する草花や花木のこと」で、コインの裏に描かれたり、エンブレムになったりと国民に広く知られているものであるにもかかわらず、その多くの国花は公的に制定されておらず、いまだ検討中というものが多く存在します。公的に決められていなくても、古くから国の象徴として「国花」として親しまれています。
日本の国花は?
では、質問です。日本の国花は何でしょうか?すぐに思い浮かぶのは「桜の花」でしょう。「梅花」も日本的な印象ですね。それとも「菊」の御紋でしょうか?正解は、なんと「日本に国花はない」です。実は公的に国花は決められていないのです。しかし昔からの慣習で「桜」と「菊」が日本を代表する花として広く国民に愛されています。

ボタニ子
日本は国花が制定されていないこと、TVのクイズ番組でも取り上げられていたので私は知っていたわ!
日本を代表する花①「桜」
桜は、バラ科サクラ属の落葉樹です。交配種のソメイヨシノ、原種の山桜などが有名です。桜は日本の春を代表する花木で、日本人の心の象徴ともいえるでしょう。春になれば、古くからの日本人の慣習として「お花見」が行われます。桜は日本の硬貨、百円玉のデザインになっていたり、受験シーズンには「桜咲く」「桜散る」といった隠語に使われたり、桜は私たちの生活に根付いています。
日本を代表する花②「菊」
菊は、キク科キク属の一年草または多年草です。野菊のような素朴な菊から、菊の愛好家の展示会で見るようなボリューム満点のものまで幅広く愛されています。菊は、夜が長くなると開花する短日植物の代表ともいえる花で、菊の栽培農家が菊を通年出荷できるように日照を調整する「電照菊」が有名です。

ボタニ子
日本の国花は古くからの慣わしで「桜」と「菊」なのね。では、世界の国花はどんな花があるのかしら?まずはアジアの国々を調べてみよう。
世界の国花① アジアの国花
この章では日本以外のアジア11か国の国花についてご紹介します。近隣諸国の国花に何が選ばれているのか気になりますね。
中国の国花は?
中国の国花は「牡丹(ボタン)」です、2008年制定されました。中国では牡丹か梅かで意見は二分しましたが、どちらも国民の支持率は40%越だったとか。中国の国樹(国木)はいまだ決まっておらず、中国の一般市民を対象にアンケートを行い、イチョウの木が中国の国民99%に近い支持率があったそうです。中国の首都は北京。
韓国の国花は?

ボタニ子
ムクゲは韓国語で「ムングファ」というそうです。
韓国の国花は正式には決まっていません。2016年7月韓国の国花を正式にムクゲと定めようと「大韓民国国花に関する法律」の制定案を提出しました。国民の感情的には韓国を代表する花といえます。議員らはムクゲのうちの1種を正式に国花に指定し、8月8日を「ムクゲの日」と定め、国花の意味を考える日とする案を提出したそうです。韓国の正式名称は大韓民国。韓国の首都はソウル。
北朝鮮の国花は?
北朝鮮の国花は大山蓮華(オオヤマレンゲ)です。ただし、北朝鮮では国花より、北朝鮮の政治的な意味合いを持つ「金日成花(キムイルソンファ)」や「金正日花(キムジョンイルファ)」のほうが有名です。金日成花は赤紫色のデンドロビウム、金正日花は球根ベゴニアで、静岡県の加茂菖蒲園が北朝鮮の指導者の名前がつくと知らずに譲渡してしまい、困惑したという逸話もあります。北朝鮮の首都は平壌。
台湾の国花は?
台湾の国花は梅(ウメ)です。台湾で梅が選ばれたのには意味があります。梅の5枚の花弁は台湾の憲法「立法」「行政」「司法」「考試」「監察」の五権を表しています。また、3つのおしべは「民族」「民権」「民生」を表し、台湾の人々の平和を願う心によりつけられた国花です。台湾と言えば熱帯でコチョウランなどのイメージでしたが、真冬の梅とは意外でしたね。台湾の首都は台北。
インドの国花は?
インドの国花は蓮(ハス)または水連(スイレン)です。インドと言えば、仏教発祥の地。水面に開く神々しい花は、極楽浄土に咲く花として仏教画に描かれます。インドでは蓮は泥の中から生えて美しい花を咲かせるところから国民の心情に訴える花です。インドの国樹(国木)は印度菩提樹です。インドの首都はニューデリー。

ボタニ子
そういえば仏像の台座も蓮のモチーフね。
スリランカの国花は?
スリランカもインド同様、宗教的な意味合いもあってスリランカの国花にハスが選ばれています。スリランカの寺院では仏陀に供える蓮の花が売られることも。熱帯地方のスリランカを代表する花は、ハイビスカスやカエンボクのような色鮮やかな花木ですが、清楚なハスを国花に選んだスリランカも宗教色が強いことが伺えます。スリランカの首都はスリジャヤワルダナプラコッテ。
ベトナムの国花は?
ベトナムもスリランカ同様、仏教とともにインドから渡ってきた蓮の花がベトナム国花となりました。ベトナム女性が身に付けるアオザイにも蓮の花が描かれることがあります。やはりベトナム人も濁った泥の中から咲く美しい花に、理想の人生をなぞらえています。ベトナムでは蓮は年に一度咲くことから忍耐力の象徴でもあります。ベトナムの国樹(国木)は竹です。ベトナムの首都はハノイ。
ネパールの国花は?
ネパールの国花は石楠花(シャクナゲ)です。中でもネパールの国花は「ラリーグラス」という赤色のシャクナゲです。ネパールの人々は、ネパール国旗も含め、赤色に思い入れがあります。2006年新たに導入されたネパールの国章でも最高峰の霊山エベレストを囲むように真っ赤なシャクナゲが描かれています。ネパールの首都はカトマンズ。
インドネシアの国花は?
インドネシアの国花は茉莉花(マツリカ)に制定されました。茉莉花とはジャスミンのことです。昔からインドネシアでは茉莉花が習慣的に国花となっていました。茉莉花はインドネシアの結婚式にも必ず使われるほど、インドネシアでメジャーな花です。インドネシアでは寝室に飾るとお化けが出るという言い伝えもあるそうです。面白いですね。インドネシアの首都はジャカルタ。

インドネシアで国花を決めるときに「胡蝶蘭」「ラフレシア」「スマトラオオコンニャク」も同時に国花に制定されました。
カンボジアの国花は?
カンボジアの国花はロムドゥオルです。聞き慣れない名前ですがカンボジアでは庭によく植えられる高木で、夜に花開く香りの強い花木です。カンボジアの言葉では「プカー・ロムドゥオル」と呼ばれます。この花はカンボジアの歌詞にもよく使われ、カンボジアの美しい女性を形容する言葉にもなっています。カンボジアの首都はプノンペン。
マレーシアの国花は?
マレーシアの国花はハイビスカスです。マレーシアの言葉で「ブンガ・ラヤ」といいます。ハイビスカスの5枚の花弁にマレーシアの人々は「マレーシアの神への信仰」「マレーシア国家への忠誠」「マレーシア憲法の遵守」「マレーシアの統治」「マレーシア人の徳性」の意味を持たせています。赤いハイビスカスはマレーシア人の勇気の色を表しています。

ボタニ子
続いて、ヨーロッパの国花をご紹介しますね。
出典:BOTANICA